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義父が転院するらしい<6>

ちょっと前の話。

義父が入院し、この隙にと、義父の部屋の押し入れ下段から不要品を引っ張り出した中に、古い古いノートパソコンがありました。使いこなせないくせに新しもの好きだった義兄のものです。

機械モノは好きなので開いてみたら、液晶が粉を吹いていて、明らかにもうダメです。試しにコードを繋いで電源入れてみたら、かろうじてHDDが動こうとする音だけは聞こえましたが、当然起動などはせず。
壊れていてもリサイクルショップでひきとる、とは唄われていますが、明らかに液晶がダメになってるし、どうしたもんだろう。
と思って、ダメ元で調べたら、壊れてようがなんだろうが、パソコンって無料回収してもらえるんですね。しかも、自治体と提携している業者です。

パソコンがあれば、回収品目に該当する小型家電も同梱できるとのことで、これも義実家から発掘されたビデオデッキにIHヒーターも箱に詰め込んで回収待ちです。リネットジャパンで検索を。助かったー。

転院前に一仕事。

さて、今日は安倍氏の国葬の日。
同時に、義父が、救急搬送された病院から、千葉県某所の療養病院に転院する日です。
12時には出発、とのことなので、11時頃には病院に着く計画。
その前に、せっかく都内に行くのだから、義実家で一仕事です。朝の通勤ラッシュにひっかかりかけながら、朝の9時には義実家到着。

今日の仕事は、ほぼ空っぽの冷蔵庫の電源を落とすために、完全に中身を回収。
プラス、義母がディズ○ーグッズを押し込んでいた茶箱ふたつを空にして、一つを持ち帰る。
知り合いに声がけしたところ、茶箱が欲しいと即答した人がいたのです。ふたつあるうちの一つをあげますよ、という話になりました。

冷蔵庫には、ヘルパーさんが調理に使っていたカレー・シチューのルゥに、日常の調味料、義兄が残したと思われるこだわりの香辛料。
明らかに私たちが使わないもの、消費期限切れのモノはさっくり捨て、使えそうなめんつゆや醤油は持ち帰り。
なんで未開封の小麦粉が冷蔵庫に入っているのか、謎は尽きません。
冷えていたモノなので、念のため保冷バッグにいれて、冷蔵庫の片付けは完了。

あとは、茶箱を空にする作業。
持参した段ボールに中身を移して、状態を確認するだけです。
片方はテーブル代わりに使おうと思っていたので、必然的に小さい衣装ケース大の茶箱を知人にお譲りすることに。

大きい方はそのうち自分好みにリメイクしますが、今は当面、義母の写真置き場としてテーブル代わりに使います。
ざっと外側を拭いていたら、子供の落書きや、古いシールが貼られているのに気づきました。今回のタイトル画像です。

夫や義兄にも、これに落書きをして遊ぶような、子供時代があったのです。子供達と一緒に過ごした歴史が、この茶箱にもあったのです。
四畳半から引っ張り出して、元は仏壇があった場所に置きました。
上に白いテーブルクロスを掛け、義母の写真と一緒に、納戸から出てきた、義父母と義祖母が写っている町内会の集合写真も飾っておきました。

そしたらね、
「ちかちゃん、ありがとうね」
て、義母の声が、聞こえた気がしたのです。
この長い長い片付けの間、義母の怨念と抵抗しか感じなかったのに。
もちろんこれはただの勝手なイメージです。私の中で、きっとなにかがまた、一区切りついたのです。

病院に向かってしまったら、食事を取る暇も無いので、持参したカップラーメンやおにぎりを食べ、今日はもう戻ってこないつもりで小さい方の茶箱を乗せて、冷蔵庫の中身も持って、病院に出発。

居酒屋の料理か?(ツッコミ

11時頃ついたら、面談室でお待ちくださいとのことで、座って待つ。
退院前に、状況のお話とかしてくれるのかなと思って、じっと待つ。
このとき、スマホを義実家に忘れてきたことに気がつきます。

やっちまった。戻るのは確定です。

いや、今戻って取ってくるべきか、帰りがけに寄るべきか、葛藤していたところに現れる看護助手さん。持っているのは、
「洗濯物です」
どうやら、退院までに洗濯が間に合わなかった汚れ物です。そして引っ込む。
次にやってきたのは事務員さん。
「請求書と明細です、請求書をもって精算していってください」
そして去る。そして看護助手さんが現れる。
「このお薬、向こうの病院にそのまま渡してください」
そして去る。
小出しに小出しに、人がやってくる。

「この書類とCDを封筒ごと、主治医の先生に渡してください」
「お着替えです」
「お荷物です」
「紙おむつの残りも今持ってきますね」

テーブルに小出しに増えていく荷物。居酒屋の注文品か!

どうやら先生の説明とかはなさそうです。
しかしこの荷物、そのまま家に持って帰るわけにはいかない。やはり義実家に戻るのは確定です。

まだ時間があるならと、私は請求書を持って下の階の外来窓口で精算を済ませ、ついでに返された荷物を持って車に放り込む。
ていうか、安い。二ヶ月分一気に精算で、洗濯とかお願いしても、これから入る療養病院の一ヶ月分の入院費より安い。ずっとここがよかった。

談話室に戻ったら、夫がいません。
荷物も無い。
そういえば、1階の入り口に介護タクシーがいたけど、下りちゃったの?!

追いかけたら、義父はとっくに介護タクシーに運び込まれていました。
どうやら、一人なら乗れるというので、一緒に夫を積んで貰うことにしました。乗れないという話だったので、なんの心づもりもしていませんでしたが、この土壇場で、親子の時間が出来たようです。

看護師さんと介護タクシーを見送って、お礼を言って、さっくりお別れ。あっさりしたモノです。最後まで担当医さんは出てきませんでした。忙しいしね。

私は義実家に荷物を放り込み、スマホを回収し、あとを追います。スマホを忘れたのがむしろラッキーだった。戻る徒労感が無くて済みました。
続ける。

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