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ライターやクリエイターとして、長く活躍するためのマインドセットとは

ライターは何歳まで成長できるのか

人間は何歳まで成長するのだろう。そんな不安混じりの疑問が頭をもたげてくる時があります。日本人の寿命が伸びて、働く期間も伸長している中、多くの人が抱えている不安だと思います。

とくにクリエイティブ関連の職種は、若い時分に全盛期を迎え、一般職より早めに終息していくと思われています。僕も30代の頃は40代が限界か、40代の頃は50代は無理だろ、と思っていました。でも、実際に50代になってみると、全然関係ありませんでした。むしろ、50代が最も成長している年代だと実感しています。

年を経ても活躍し続けていくためには、時代に合わせて能力や提供価値を変えていかなければなりません。そのためには、マインドセットを変える必要があります。

マインドセットとは、思考、信念、価値観などを総称した概念と言われています。マインドセットの研究で知られる心理学者キャロル・S・ドゥエックは、自分の能力は固定的で常に変わらないと信じている人を「硬直マインドセット」、自分の能力は努力次第で伸ばすことができるという信念をもつ人を「しなやかなマインドセット」と定義付けました。

キャロル・S・ドゥエックのマインドセット

以下、キャロル・S・ドゥエックの著書「マインドセット」からそのエッセンスを抽出します。

硬直マインドセットの人は能力はほぼ固定と考えるので、能力を伸ばそうとする意欲はありません。それより、能力があるように見せること、自分が特別であることを証明することに注力します。必然的に他人の目を気にするので承認欲求が非常に強くなります。

しなやかなマインドセットの人は、いつでも能力は伸ばせるという信念をもっているので、現在の能力を誇示するよりそれをどう向上させていくかの方に関心を寄せます。結果よりもプロセスを大事にし、何を学べるかという点に注目します。

失敗に対する考え方や反応も真逆です。硬直マインドセットの人は、失敗を「ぶさまなもの」と見なし、自分に能力がない証と考えます。それを目の当たりにしたくないので新しい挑戦はなるべく避け、能力があるよう装うことに執着します。

しなやかなマインドセットの持ち主は、失敗を経験として捉え、学びの原動力とします。能力は経験によって伸ばせると考えるので失敗を苦にせず、チャレンジに対する抵抗はあまりありません。実際はこれほど顕著なコントラストがあるわけではないでしょう。しかし、長い年月を重ねる中で両者の違いは大きく広がると考えられます。

子どもに対する褒め方で大きく変わる

それぞれのマインドセットをもつ要因はどこにあるのでしょう。やはり、子どもの頃の環境に左右され、とくに両親や学校の先生の影響が大きいことは想像にかたくありません。

キャロル・S・ドゥエックがニューヨークの12の学校で15年生400人余りを対象にした有名なテストがあります。まず、子どもたちに比較的やさしいパズルを行なってもらいます。次に、生徒たちを半分に分け、パズルの結果に対して半分の子どもたちには「頭がいい」と褒め、半分の子どもたちには「よく頑張った」と努力したことを褒めます。

次に、簡単なパズルと難しいパズルを用意し好きな方を選ばせると、「頭がいい」と褒められた子どもたちの多くは簡単な問題を、努力を褒められた子どもたちの多くは難しい問題にチャレンジしたのです。

スポーツでも「才能がある」「うまい」と褒められ続けた子どもが、だんだんと簡単なプレーを選択するようになり、チャレンジしなくなるというケースがよく見られます。天才小学生が高校あたりで普通の人になる典型ですね。子どもの褒め方はとても大事だということがわかります。

長く現場で活躍する最大の秘訣とは

子ども時代の影響はとても大きいでしょうが、大人になってからマインドセットを変えることは十分に可能だと思います。大切なのは、しなやかなマインドセットをもつと決めること。そして、他人から学ぼうとする意識を強くもつことです。

もう年だから伸びない。そんな硬直した考えをもっている限り、他人から学ぼうなんて意識は生まれません。書物やコンテンツより、人からの学びが最も効果的で身につくのも速いと考えます。しかも、人との関係性を育むこともできます。

年をとるということは、年下が増えるということです。年齢の上の方が偉いという硬直した基準をもっていると、年を経るごとに人から学ぶ機会も減っていきます。どんなに若い人でも、実績のない人でも、学ぶべき点は多々あります。そういう姿勢を維持することが長く現場で活躍する最大の秘訣なのです。

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