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「伝わる文章を書く」たった1つの方法

noteでいろいろな方の文章を読んでいると、読んでよかったと思う文章は、必ずしも上手い文章ではないこともあります。そうした文章は、「上手だな」と感想が出る代わりに、心がじーんと動くものが多い。

つまり伝わってくる文章です。

私は「コピーや文章の書き方」シリーズで、文章を書く方法やタイトルの付け方を紹介していますが、そうしたテクニックだけに固執した一見”上手な”文章は、かえって浅はかに見えてしまうこともあります。

タイトルに惹きつけられて思わずクリックしたけど、文章の中身がそれにともなわず、「釣られた」と思ったことがある人も多いのでは?読者にそうしたガッカリ感を一度与えてしまうと、信頼感が損なわれ、もう2度とその人の文章を読みたくないとさえ思わせてしまいます。

ではどうしたら、読んで良かったと思えるような、伝わる文章が書けるのでしょうか?


私はその答えは「本当に思ったことしか書かない」ことだと思っています。本当のことしか書いていない文章には、筆者のリアルな感情やその背景が伝わり、文章から誠実感がにじみ出てきます。

私たちは知らず知らずのうちに、文章で嘘をついていることがあります。私がそれに気づいたのは4年前。「ほぼ日の塾」という、ほぼ日刊イトイ新聞が主宰する文章塾に通ったときのことでした。

私が文章でついた嘘

私は初めて自分で書くエッセイの課題にチャレンジしました。八百屋さんにインタビューに行って、写真も撮って、それを自分なりに編集してまとめて。私にしては上出来!よくやった!完成度の高い記事が書けたと、自己満足していました(笑)

でも、ほぼ日の編集者さんから、文章のある箇所のを指摘されたのです。

どの野菜も新鮮でとびきりおいしいのに、
驚くほどに安いのです。
そして今まで食べたことなかった
新しい野菜に出会えたりもするんです。

冒頭にある上記の箇所、どの部分に嘘が隠されているか、わかりますか?

 ‥ 

 チッ(タイマーのなる音)

 チッ

 チッ

 チーーーン!

はい、答えは「とびきりおいしい」「驚くほどに安い」この部分です。
当たりましたか?(笑)

ほぼ日の編集者さんから「ほんとに驚いたの?」と聞かれて、私はハッとしました。また「とびきりおいしい」っていうけど、野菜がとびきりおいしいって、あんまりイメージ湧かない。それよりもっと、ぴったりの言葉があるんじゃないの?と。

確かにそうだったかも・・・。自分が無意識に嘘を書いてしまっていたことを知り、私は急に恥ずかしくなりました。

伝わる文章を書く”魔法の質問”

私たちは、ついつい、お決まりのフレーズを使ってしまうことがあります。上記はその典型例。そうしたフレーズはパッと浮かんで書けて、とても便利ですが、自分の本当の気持ちとはかけ離れていることが往々にしてあります。

読者はそうした既視感や、なんか盛ってる感を、無意識にキャッチしています。するとどんどん、リアルな文章の温度が伝わりづらくなっていきます。

伝わる文章はおしなべて「オリジナルなリアリティがある」と私は思います。他の誰かも書ける文章ではなくて、その人じゃないと書けなかった文章です。

そうしたリアリティのある文章に近づくためには、自分の本当に思った気持ちや、その文章で伝えたいことを、そのまま言葉にのせることです。

でもそれってなんだか難しい。私には表現しきれないかも?そう不安になることもあるかもしれません。そういう時はただ、文章を書いたあと「これは本当にそうだったの?」と自分に問いかけてみるくせをつけることが近道だと思います。

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そして自分が思ったことと文章が微妙にズレていると素直に思った時は、その言葉に代わるもっといい言葉を考えてみます。 上手い表現じゃなくて、「自分の気持ちにいちばん近い言葉」を探してみる、ただそれだけでいいんです。

4年後の私が書くなら?

もし私が、上記の八百屋さんの記事の冒頭を書き直すとしたら、きっとこう書くかなぁ。

お店には「さっき採れた野菜を詰めました」ってくらい、
色が濃くてパリッと新鮮な野菜が並んでいます。
なのに、サラダ菜が10円になっていたり、
旬のくだものがザルに山盛りで500円になることも!
おいしくて手に届きやすいからついつい買ってしまい、
その八百屋さんで「のらぼう菜」「わさび菜」「かきのきだけ」といった、
今まで食べたことのない野菜にも出会いました。

どうでしょうか。我ながら、「とびきりおいしい」「驚くほど安い」よりも、私の八百屋さんに対する思いが伝わるような表現になったんじゃないかと思います(笑)「安い」っていうのも安易に使うと文章にチープさが見えてしまうので、「手に届きやすい」とかいろいろな言い方があったなぁと、今の私は思います。


「本当のことしか書かない」ことを気をつけだしてから、本業のコピーでもリアルな実感がともなうものを書けるようになりました。コピーは1行で共感を誘う必要があるので、瞬間的に「本当のことを書いたものか」どうか読み手にバレてしまいます。

リアルなコピーを書く方法については、この記事も参考になるかもしれません。

今日は「伝わる文章を書く」たった1つのコツをご紹介してみました。意識するとだんだん、文章がイキイキと、伝わるものに変わってくるはず。試してみてくださいね。

小森谷 友美
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