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ちょっと面白い中国語の話 石の上にも三年

日本語のことわざに石の上にも三年というものがあります。
これは、冷たい石の上にも三年(=長い時間)座っていれば温かくなることから、「最初は辛くても辛抱すれば報われる」という意味です。

この意味に対応する中国語のことわざには
功夫不负有心人(gōng fū bú fù yǒu xīn rén)
というものがあり「努力は志ある人を裏切らない」という意味です。

確かに似たような意味なのですが、これらのことわざの意味の重点は微妙に異なります。
石の上にも三年は冷たい石の上に我慢して座り続ける、すなわち我慢が強調されており、三年座った後で温まるという後半部分は省略されています。
一方、功夫不负有心人は努力が報われるということをそのまま言っており、我慢のニュアンスは感じられません。

また、中国語で
树挪死人挪活(shù nuó sǐ rén nuó huó)
「木は動かすと枯れるが、人は動かすと活きる」
ということわざがあります。

中国人は日本人と比べて変化を厭わないメンタリティーを持っています。
これは日本人が狭い島国で一所懸命に頑張ることを美徳としたのに対し、中国には広大な国土があるため不都合が生じれば他の地へ移動してたくましく生きることを良しとした背景があると本で読んだことがあります。

努力が大切だという考え方は日本にも中国にも(そして多分世界の他の国にも)あるけれども、「石の上にも三年」は極端すぎて中国人は受け入れがたく感じるのではないか?と思います。
なぜ冷たい石の上に長期間とどまっていなければならないのか?さっさと移動しよう!となるでしょう。

余談ですが、中国で働いていた時私の会社は待遇も良く働きやすかったにもかかわらず転職してしまう人が多く、またその分たくさんの中途採用者が常に入ってくる状態でした。ベテラン社員はほとんどおらず、若くて経験の浅い人ばかりで手探りしながら回しているという感じでした。
転職理由はもっと待遇の良い会社に移るからとか、引っ越すからとか、とてもあっさりしたものでした。

日本人は一つの場所で頑張り続けるということに特別の価値を置いているように思います。中国で働いてみて、その価値観は万国共通ではなくかなり日本的なものなのではないか、と考えるようになりました。

確かに物事に取り組む姿勢として、最初は成果が出ず辛くても諦めずに辛抱するというのは大事だし、そこが世界に誇れる日本人の素晴らしい態度だと思います。

しかし、無理をしすぎる傾向があるのも日本人の特徴だと思います。
時には中国人のしたたかな生き方に学ぶ必要があるかもしれません。

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