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東京オリンピックDAY8―菊池寛の「形」を読んだことがありますか?

いよいよ東京ではコロナ感染者が3000人越え。もう国民の動きは止められない。オリンピックをやっている一方でどうして一般国民の行動が制限されなきゃいけないのかという疑念から、どんどん外出者が増えているような気がする。

一時期、ウレタン製マスクは効果がないかのような研究結果が出たことがニュースになったと記憶しているが、たしかにいろいろな場面で不織布以外のマスクを多く見かける。マスクをつけていたら感染をしないという思い込みは捨てなければならないような気もする。

さて、そうはいってもオリンピックはどんどん続く。

野球

なんJ界隈ではイナバッハと呼ばれるその采配は、今日は特におかしい点はなかった。三塁ベースコーチが8回の場面で回したのは、鈴木誠也の打撃の調子の悪さから強行したのだろう。鈴木はシーズン成績こそ打率3割をマークするものの、月別の打率では波が激しい。練習の段階から良い当たりがなかったのだろうから、首脳陣としては打席に立たせるうちに感覚を掴ませるものとして起用しているのだろう。そして、感覚を掴んでいなくても打ててしまうのも鈴木誠也の持ち味である。4番が適任なのだろう。

投手陣は、当初の予定通りの継投だったと思う。北京五輪の星野のような権力者とは違い、稲葉と12球団の監督の立場は、対等か稲葉が下であろう。したがって、代表監督といえども、投手起用は好き勝手にできないはずだ。ケガをせずに球団に戻すことが最優先だから、誰がいつ投げるのかは代表首脳陣と各球団と選手の間で綿密に打ち合わせているはずで、その点特におかしい点がないのである。

北京五輪の頃は、川上憲伸が上原のYouTubeチャンネルで暴露していたように、星野の声一つで急に登板させられることもあったようなので、その点は常識的な投手運用になったといえる。

ストライクゾーンが独特で、コースが厳しいように思えた。打者有利ではあるが、スモールベースボールに自己肯定感を持っているお侍さんたちにとってみれば、むしろ投手有利のほうが戦いやすいはずだ。予選リーグということで、次は甲斐ではなく梅野を起用してストライクゾーンに慣れさせてみてはどうだろう。キャッチャーがゾーンの幅を知り、投手に的確な指示を出せるかどうかも勝敗に関わってくる。

体操男子個人総合

19歳の内村を思い出した。北京五輪でも十分強かったものの、銀メダル。橋本はそれを超えたのであった。前回のベルニャエフのような強さを他の選手から感じなかったのだが、それでも吊り輪の13点台をよくカバーしたものだ。

体操は体脂肪率が低く、風邪を引きやすいと聞く。他の競技よりも体調管理と加齢の影響を受けやすいので、彼にとっての山場は8年後のロサンゼルスだろうか。パリは圧勝するか、北園との一騎打ちになる予感がする。

アナウンサーはしきりに五輪個人総合日本勢3連覇と呼んでいたが、富田の存在も忘れてはならない。刈屋富士雄の実況でお馴染みの富田は、そもそも個人総合が強かった。内村も富田の後継者のイメージがあった。つまり、富田→内村→橋本と、オールラウンダーの系譜が仕上がったこととなる。こういうオールラウンダーが1人いると、団体で非常に心強い。あとはあん馬の亀山、体操の宮地、他に私も存じ上げないスペシャリストを各所に配置すれば、他国との差別化を図ることができる。

素行不良の選手が負ける?

これは単に私の印象だが、瀬戸、桃田、向と素行について難があった選手ほど早く負ける印象がある。

これについて日本の伝統的な価値観だと「お天道様が見ている」とか「日頃の行いが悪いから」とこじつけをするが、それは短絡的だ。厳密にいえば、競技以外に現を抜かしていたから練習が足りなかったということになる。

じゃあ、例として挙げた3名が練習に真摯に取り組んでいなかったのかというとそういうわけではないだろう。特に桃田と向の場合は対人スポーツで、それも相手も格下だっただろうから全力でぶつかってきた。瀬戸はオリンピックという晴れ舞台で、普段なら最後抜いても予選通過できたはずがそういう楽勝ムードではなかった。いずれにしても、これらに示唆を与えてくれるのが中学3年生の国語の教科書に収録されている菊池寛の「形」である。ぜひ読者の方々においても心に留めておかれたい。

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