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【マリー・ローランサンとモード】Bunkamura ザ・ミュージアム

淡いパステル調の色彩。儚げな女性たち。
こういう作風ってあんまりピンと来てなくって、行こうかどうか迷ったけれど。。
行ってみて良かったです!

第一次世界大戦と第二次世界大戦の間という、つかの間の平和の時代。パリという都市の空気感。人間模様。
アートは他の芸術分野と関りあい、影響しあっていた。
そういう時代の大きなうねりや熱が感じられました。

当時、絶大な人気を誇ったココ・シャネル。彼女のギャルソンヌ(少年のような少女)的なテイストとは違う、「フェミニン」にこだわり続けたローランサン。それはどこから生まれたのだろうか?

作品そのもの、時代背景、そして彼女の人生などから色々と考えちゃいました。

●イベントの概要(Webより)※ちょっと省略

ふたつの世界大戦に挟まれた1920年代のパリ。それは様々な才能がジャンルを超えて交錯し、類まれな果実を生み出した、奇跡のような空間でした。
とりわけ女性たちの活躍には、目を見張るものがありましたが、ともに1883年に生まれたマリー・ローランサンとココ・シャネルの二人は、大戦後の自由な時代を生きる女性たちの代表ともいえる存在でした。
女性的な美をひたすら追求したローランサンと、男性服の素材やスポーツウェアを女性服に取り入れたシャネル。
本展では美術とファッションの境界を交差するように生きた二人の活躍を軸に、ポール・ポワレ、ジャン・コクトー、マン・レイ、そして美しいバイアスカットを駆使したマドレーヌ・ヴィオネなど、時代を彩った人々との関係にも触れながら、モダンとクラシックが絶妙に融合する両大戦間パリの芸術界を俯瞰します。
時代とともにありながら、時代を超えた存在となったローランサンとシャネル。二人の創作の今日的な意味とその真価が、生誕140年を記念するこの展覧会で明らかになるでしょう。

●感想①:ローランサンの描く女性。淡くて可愛いのに、ちょっと暗い。

まず、ローランサンの絵をちゃんと見たのが初めてだったので、その感想を。
淡いパステルだけど、ほんのちょっと暗い。ちょっと不健康?
でもそれが魅力な気がする。そしてこの魅力はどこから来るのだろうか?
グレーの背景。物憂げで曖昧な表情。力が入っていないようなポーズ。立体感のない白い肌。
そこから伺える内面性は、子供っぽさ、あどけなさ、儚さとともに、つい見が追ってしまう色気のようなものも感じる。
これらが相まって、ローランサンの女性像ができているのかなと思いました。

●感想②:ローランサンの画法。形式と装飾性。

解説を読んで初めて、彼女がキュビスムや装飾的な表現をしている点に気づきました。確かに彼女が活躍した時代と場所(パリ)から考えれば当然かも。ナビ派の装飾的な表現との繋がりまでは探せなかったけれど、通じるものを感じました。色や造形が整理されていて、部屋に飾っておいたらオシャレって感じ。

●感想③:時代のおもしろさ。

展示会の解説で初めて知ったことばかりですが、この時代ってすごい。
以下、学んだことをまとめます。
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1920年代は「レザネフォル」(Les Années folles)、狂騒の時代と言われ、一次大戦前の「古き良き時代」、平和と繁栄への回帰を願いながら、一方で新たな歴史の創造を持ち革新へ向かった熱気あふれる時代だった。

そんな時代のキーワード「越境」。
スペインのピカソ、ロシアのシャガールやアメリカのマン・レイらがパリに集まり、美術・音楽・文学・ファンションといったジャンルもクロスオーバーし、新しいものが生み出された。

また、価値観の平等が進んだ。純粋芸術に対し低く見られていた装飾芸術の地位が向上したり、前衛芸術を日常生活に取り入れる試みとして、絵画が絵画として以上に新しい装飾様式としての役割も担うようになった。
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●まとめ。曖昧で多義的で甘美。

ローランサンの数々の作品を見て、この時代を知って、ココ・シャネルとの比較もして、その上でローランサンの「フェミニン」とは何か、どうして「フェミニン」にこだわったのか、を考える。

彼女は私生児として生まれ、バイセクシャルであったともいう。
子供の頃、「絹糸が好き。真珠や色のついた糸巻きを盗った」ことがあるという。
こういう繊細なものに惹かれる美意識、パーソナリティ、人生経験戦などを通じて、女性という存在やその本質を考えたのではないだろうか。そしてその答えが、このような多義的で曖昧で甘美な女性たちとなって表現されたのではないだろうか。

人の心の内やアーティストの脳内はわからないことだらけなので、本当のところは全くわからないけども。

最初、行こうか迷うほど興味が薄かったローランサンの絵ですが、結局とても楽しかったです。大満足~。






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