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手術を経験して見える世界

この世界に
「絶対」と言い切れるものは数少ない
それでも
「絶対」と言い切れること

「私たちはいつか必ず死ぬ」
ということ

覆ることのない
この世の絶対なる真理なのに
退屈な日常生活の中にいると
忘れてしまう

4月に人生初の手術を経験しました。
入院期間5日の腹腔鏡による胆嚢摘出手術。
おかげさまで、手術は無事に終わり、すでに仕事復帰できています。

手術としては軽いものですが、それでも経験前と経験後では見えてくる世界がまるっきり違います。

11月に急激なお腹の痛みと嘔吐をしてから、手術をしてようやく体調が落ち着きました。
とっても長かったです。
でも、この半年で気づいたことは非常に大きかったです。

忘れもしない。
昨年11月8日
皆既月食&天王星食の天文学的にも占星術的にも非常に珍しい現象の映像を、私は腹痛と嘔吐で力尽きて倒れながら見ていました。

これが、いわゆる胆石発作だったのですが、近くの医者では胃腸炎と診断され、その後ずっと痛みと不調が続いていました。

消化器科クリニックで超音波・胃カメラ検査をしても、異常なし。
精神的なものからきていると言われ、病名がつかない状態が4ヶ月
痛みと違和感、時に持病の頭痛も加わって仕事を休む日ことも何度かありました。

体に医学的な原因がないと言われているのに続く不調
この状態がいつまで続くのかわからない先の見えない不安
病名がないのに休むことに対する周りからのプレッシャー
精神的にも追い込まれていきました。
この頃は、病名が欲しくてたまらなかった。
自分も周りも納得できる病名が欲しいのに、体的には何もないらしい。
この痛みも不調も全て精神的なものだと言われている…

心療内科受診を考えていた時に、上司から総合病院受診を勧められ、とりあえず総合病院を受診することに。
超音波検査の結果、胆石発見と胆嚢の壁が厚くなっている部分があり良性か悪性かの精密検査になりました。

精密検査を受けることになり、親族に家系的な病気確認をしたところ、祖父が胆嚢癌で亡くなったことを知りました。
ここで初めて
「死」
を認識しました。

足元が崩れるような感覚でした。

不調が続いていたのに、死の存在だけは、なぜか完全に抜け落ちていました。
永遠に生きられるとでも勘違いしていたのか、絶対回避不可能な真実をなぜか見落としていました。

「私たちは死と隣り合わせの生を生きている」

母親は弟の出産事故で突然亡くなりました。
人の死とはそんなものだと、私は他の人よりわかってるつもりだったのに…
平凡な毎日は、いつ壊れてもおかしくないものなのに…

心臓の音・呼吸の音が大きくなって、背筋が寒くなるような感覚に襲われ
自分だけ周りの流れに取り残されたような、別の次元に迷い込んだような、なんとも言えない気持ちで検査結果が出るまでを過ごしました。

幸いなことに検査結果は、胆嚢腺筋腫症で良性、胆嚢摘出手術をすれば治るとのこと。

全身の力が抜けるような安堵感を味わいましたが、術後回復の早い腹腔鏡手術といえども人生初の手術…不安を抱えながら入院。

病院スタッフさんたちの親切丁寧で確実な仕事のおかげで無事に手術も終わり、予定通り退院することができました。

術後から翌朝までが体が動かせず、吐き気と痛みで眠れずにとても辛かったです。
でも、人間の体の回復力は素晴らしくて、翌日には歩いてお昼ご飯を食べていました。

生きていることの実感を、有り難さを、これほどまで感じたことは無かったかもしれません。

「まだ生きたい」と、これほど願ったこともなかったです。

だから、忘れないでいたいです。

手術前、不安で眠れずに見た夜景を
手術台に上がった時に見た天井を
手術後に痛みと吐き気の中で見た病室の天井を
退院の日に見た朝の景色を

病院は非日常で、「死」が近いところです。
病院スタッフの人達は手厚くサポートしてくれますが、入院期間中は人間ってやっぱり一人なんだと思いました。

一人だから他者を必要とするのです。

入院をして、手術をして、ようやく見えてくるものが、あまりに多すぎて、うまく言語化できないけれど…
あの時見た景色を思い出すと、日々の不満、日々の嫌なことなんて些細なことでしかないのだと思えます。

普段忘れている「死」の存在を認識すると、意識が変わります。

私たちは誰もが死からは逃れられません。
貧富、男女、年齢…ありとあらゆる境界線を超えて「死」は平等に訪れます。
時間は有限です。

このあたりまえの真実を、日常では忘れてしまいます。
あまりに安全で、退屈すぎるくらいあたりまえすぎて失ってから気づくことばかり。

この半年間の出来事、手術の経験を経て、
自分を支えてくれている人が誰なのか
自分が大切にしたいものは何なのか
自分はどんなことをしていきたいのか
淘汰されて見えてきました。

誰からも好かれたい。
あれもこれも欲しくて守りたい。
あれもしたい、これもしたい。
でも、
本当に必要なものなんて、数えるくらいしかないのです。

簡単な手術、5日の入院で大袈裟だよと思われるかもしれませんが、私にとってこの半年は出口の見えない洞窟の中にいるようで、その出口が手術だったのです。
とても大きな出来事でした。

忘れないために自分自身に書き残したい。
何度でも何度でも私に言いたい
あの時見た景色を忘れないでいて欲しい。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
皆さまも、お体にはくれぐれもお気をつけください。
自分を大事にしてくれる人たちを大切に、自分自身を丁寧に扱ってください𓂃*𓈒



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