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12月の遊歩道には 花はない
あちらからきた散歩の仔犬が
すれ違いざまにこちらを見て
まるで魔法でもかけるように
フリフリと小さな尾を振ると
花の香りがするような南風が
大きくひとつふわっと吹いた
*
冬だというのに不思議なほどに暖かい日のあった12月
夏の名残とも 春の前触れともとれる暖かな風は、あの日のことを思い出させ、これから来る日のことを思わせてくれました
南風に乗って飛んできた わたしへのクリスマスプレゼント
それは 嬉しい再会と出会いでした
以前、オーストラリアからの短期留学生をひとりお預かりしたことがありました
その彼女が、先日のクリスマス休暇に 家族とともに会いに来てくれたのです
当時中学生だった彼女は、とても美しい優しい大人へと しなやかに成長していました
面影はくっきりと残っているけど、お化粧もして、お酒も飲めるようになっているし、所作や心配りも すっかりレディーになっていて、月日の流れを感じました
大学卒業後は、医療の現場で働くことがすでに決まっていて、救急救命に携わるそうです
会わない間にも、自分の夢へむかって まっすぐに歩んでいました
瞳をきらきらとさせて話す彼女に、わたしまで 誇らしい気持ちになりました
“あなたのことも娘のように思ってるよ
これからも ずっと応援しているからね”
社会に出たらきっと大変なこともたくさんあると思うけれど、わたしも彼女の心のお守りのひとつになれたら嬉しいなと思います
あの時と何も変わらないうちのリビングは、あの時よりもずっと賑やかな声と笑顔で溢れました
乾杯を交わし、食事をして、アルバムを眺める
あれもこれも懐かしいねって みんなで思い出を共有し、離れて過ごしていたそれぞれの生活や出来事を共有する…
とても幸せな時間でした
彼女のパパとママ、弟さんは初対面でしたが、
明るく気さくで、おおらかな笑顔が印象的な素敵なファミリーでした
お会いするまでは、わたしもかなり緊張してたのだけど、お酒と音楽が大好きという共通項もあって、打ち解けるのに 時間は少しもかかりませんでした
“これからも連絡を取り合いましょうね”
クリスマスシーズンの東京の街は、どこもかしこも人で溢れていて、きっと驚いて疲れたはずだけど、
懲りずに 日本を好きでいてくれたら嬉しいなと思います
“またここへ いつでも帰っておいでね ”
駅まで送り、ひとりひとりとハグを交わして、あの日と同じように 大きな笑顔で別れました
*
“ 今度はオーストラリアへ会いに行くね ”
その約束も きっと果たしたいと思うから
わたしも元気でいなくっちゃ
わたしも頑張らなくっちゃね
自分のことを覚えていてくれたり、思い出してくれるのはとても嬉しい
そして 自分の元へ来てもらえることは、心を寄せてもらえるということ
それはとても幸せなことなんだって思います
わたしもそんなきもちに お返しができたらと思っています
東京では、昨日 初雪が降りました
季節が真逆のオーストラリアは今は夏
彼女の住む街には 冬でも雪は降りません
ひらひらと舞い降りてくる大粒の雪を眺めながら、“雪に憧れてるの” って話していた まだあどけなかった彼女を思い出しました
冬本番、みなさんもあたたかくしてお過ごしください
どうぞ よい一日を、よい一週間を
#141. 『 ハグ 』
⭐︎年月と成長の関数グラフに点打つような娘へのハグ
⭐︎ハグをしてサンタの正体もごまかす ほらいつだってここにいるでしょ
ー ちる ー
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