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応用範囲が広い、3C分析で導き出されるものとは?

3C(サンシー)分析とは、企業や組織が自身の競争環境を評価するためのフレームワークです。食のブランドを構築する際の通過儀礼みたいなもので、その都度、新たな発見がありワクワクします。

この分析は、
市場・顧客(Customers)
競合(Competitors)
自社(Company)の3つの要素

に焦点を当てています。3C分析を通じて、企業は市場や業界の状況を理解し、適切なブランディングを策定する手助けになります。

「美味しいものをつくる」が最も重要ですが、口だけを満足させるのではなく、五感を通して心をみたしてもらうために、プロダクトアウトからマーケットインに思考を広げるのです。

それによって
さらに「美味しい」ものがつくれるようになるという仕組みです!

今回はその概要とプロセスを解説していきます。

たとえば、小さな喫茶店のコンセプトメイクから大企業のブランディングまで応用範囲が広く、ブランディングやマーケティングのセンスを磨くために役だつツールなので、その一例をわかりやすく解説してゆきます。

では、よろしくお願いいたします。

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はじめに

まず、「3C」を始める前にまずは、
挑む姿勢である「3カン」について説明させてください!

3つながりで、響きも近いコトバですね。マーケターとして成功するための重要な要素なのです。

すなわち
「観(Observation)」
「感(Feeling)」
「勘(Intuition)」
は、これらの要素をバランスよく活用することで、洞察力を深めることにつながります。日頃から、データ分析やフィールドワークのとき、このループが身についていれば最強になれるはず。オーバーに言えば生き延びるための条件みたいなものです。

まず、「観」に注目しましょう。市場や顧客の動向を注意深く観察することは、トレンドやニーズを把握するために不可欠です。新しい消費行動や市場の変化に敏感に反応し、競合他社の動向を客観的に追跡することで、ビジネスの方向性を捉えます。ここで重要なのは客観的分析です。

次に、「感」です。ブランディングでは感じること「考えるな!感じろ!」を重視します。生活者の感情や価値観を探ることは、理論的なものではなく、直感的に伝わってしまっているモノゴトをいかに捉えるかが重要です。好き嫌いの理由を探る前に、感情を想像してみましょう。

最後に、「勘」を大切にしましょう。データや分析だけでなく、直感や経験に基づいた、おそらく、こうかもしれない!という仮説が重要です。時には数値だけでは捉えきれない要素や、未来の展望を予測する際に勘を頼りにすることで、競争優位のチャンスを見逃さず進めます。

相反する「3カン」に感じるかもしれません、要はバランスを保ちながら活用することで、洞察力が鍛えられます。エビデンスを強く求められる傾向にありますが、「感と勘」による感情に訴えるストーリーから成功に向けて戦略が練り上げられていくのです。

それらを構造化して魅せることが、「3C」のツボなので、自分やチームの「感と勘」を引き出すこと忘れないようにしてください。

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目的は強みの「みえる化」

  1. 市場・顧客(Customers): この要素では、自身のターゲットとなる市場や顧客層を分析し、そのニーズや要求を把握します。顧客の選好や購買動機、購買パターンなどを理解することで、どのような価値提供が必要であるかを特定します。

  2. 競合他社(Competitors): 競合他社の分析は、企業が自身のポジショニングや競争戦略を評価するために不可欠です。競合他社の強みや弱み、戦略、市場シェア、顧客基盤などを調査し、自社の競争力との関連性を考察します。この情報に基づいて、どのように差別化し、競争相手に対抗するかを計画してゆきます。

  3. 自社のパフォーマンス(Company): 自社の資源や能力を正確に把握することは、戦略策定において重要です。これには、製品やサービスの特徴、技術力、ブランド価値、人材、資本、業務プロセスなどが含まれます。自社が持つ強みや特長を活かし、競争優位な方向を検討します。

  4. バリュープロポジション(value proposition):自社だけが提供できて、顧客がもとめているの領域を明確にし。そこにはまるモノやサービスのヒントがみえてくるというわけです。

3C分析は、3つの円に客観的な「観」の情報、重なる部分には「感」と「勘」を導き、ブランド強化の戦略を手助けする思考ツールなのです。


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3Cのプロセス例

それでは、実際のプロセス例にそって細かくみてゆきます。

■市場マーケティング:


①データからボリュームと構造を可視化
②データからターゲット設定を明確化

前に客観的と書きましたが、とにかくデータから導きだすことが必要です。
プロの方であれば、たいてい、売り場に行って、そこで得られる肌感覚を頼りに企画を進めてしまう傾向があります。

その情報は、後でデータを観て腑に落ちれば、顧客の円と競合の円が重なるところに書き込む要素になります。ここでは必要な数字(データ)を探して客観的なデータに集中して作業をしてください。


■顧客の定性分析:


③購買決定のプロセス

生活者は、機能的な理由と情緒的な理由でモノやサービスを手に入れ、使用し、捨てていきます。その体験を追うことによって、生活者の欲求がみえてきます。そのためには、属性を明確にしたほうが価値を追いかけやすくなります。

年齢だけで区切るのではなく、どのようなモノゴトに共感している人々なのかといったポイントも重要で、データと共に言語化してください。


■競合のアプローチ分析:


④競合の市場・顧客へのアプローチ

基本は、4P
Product(商品)
Price(価格)
Place(チャネル)
Promotion(販売促進)
を探ることから初めてください。

競合がはっきりしていない場合は、市場・顧客からそこにアプローチをしている企業を探して分析をしてゆきます。3C分析の軸となるものは、価値感をとらえてゆくことなので、モノ・サービスが同じでなくても分析は可能です。生活者がどのような価値に対して、反応して利用しているか?が重要になってくるのです。

ここもなるべく
客観的な「観」情報をメインにプロットし
主観的な「感」「勘」情報は、別に記録しておきましょう。


■自社パフォーマンスの分析:


⑤独自性の仮説構築

ここまでくると、たいてい、自分たちの至らぬ点が沢山みえてきて、肩を落としている状態になっているはずです。「隣の芝生は青く見える」のです。何度ワークショップをやっても、おもしろいぐらいに愚痴が聴こえてきます。

そこが、重要なポイントです!かならず愚痴を書きとめておいてください。

おそらく、愚痴は、自社でできないことです。ただ、普段企画をしているときには、そういうこともやらないといけないのか?という他社に追いつくことが頭をよぎりがちになります。しかし、そういった悩みは意味がないことに気づくはずです。自社の特徴の見極めに重点を置き、自社のアイデンティティーを活かすことが重要なのです。

たとえば、他社はワンマン社長で、その人のセンスでブランドの軸が通っている。対して、我が社は…、となったときまずは、経営層への研修から始めなければ!は無理があります。大きなブランドではなく、カテゴリーブランドを充実させて小回りの効いた戦略を立ててゆくなど、他社ができないことで際立たせるアイデアが必要になるのです。

ほかにも、他社は製造ラインを入れて安く大量に商品を出している。自社は職人の手作りで少量しかつくれない…。このようなケースでは、機械ではつくれない、職人技をいかす商品とは何だろうか?というアイデアが必要になるのです。

無いものに投資をするのではなく、あるものを活かしきることが、自社の「強み」となり、独自性を持ったブランディングにつながってゆくのです。

ここでは、他社と客観的に比較して、その要素をプロッティングしてください。相当な情報量が貯まりましたね!次はそれらを整理整頓する作業をしてゆきます。


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構造化してみる

①から⑤までの作業をすると、ものすごい情報量になっているはずです、パワポやエクセルなど、ページ数も多くつかっているはずです。それらのポイントを抽出して構造化して俯瞰できる資料をつくってみましょう。

下の図は市場動向を示したページの一例です。
コロナによって落ち込んだ売り上げがどのように推移してゆくか?の情報を一枚にまとめると、このような感じになります。

まとめ方の一例です。

市場動向を説明するのに2Pから3Pぐらいでポイントがわかる資料になっているのが理想的です。

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独自性(アイデンティティー)の掘出し

ここまで来たら、さらにポイントを抽出してゆく作業をします。パワポの数ページから外せない情報を下記のように配置します。

次に
①競合が市場・顧客に対しての提供価値を明確にします。

前の作業で出てきていた、主観的な「感」「勘」情報からコトバを探ってゆく方法がお勧めです。ワークショップなどでは、付せんに記入し、この段階で貼ってゆきます。

おそらく他社の戦略が明確にみえてくるはずです、そして、うまくいっている部分とそうでない部分も「感」と「勘」を働かせて記録しておきましょう。

②差別化のポイントは?

競合と自社が、違う価値感を持っているはずです。お勧めの分析は、ブランドパーソナリティーの比較です。

たとえば、広告に起用するタレントさんを想定してみたりすると、より価値感が明確にみえてくるはずです。

③自社にしかできない提供価値は?

ここまでくると、現状の掘出しや新たなアイデアなどなど、対話の中からヒントとなる情報が数多く出ているはずです。

最初に客観的に分析した市場・顧客が何を欲しているのか?
自社のミッション・ビジョンにもとづいた提供価値はなんなのか?

を掛け合わして軸を探ります。

これはいけそう!と勘じられる状態に
3C分析が一枚のページにまとめられれば完成です!

おつかれさまでした!
次は本格的な戦略づくりに移りましょう!


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まとめ

「3C」。コトバだけ聞いたり、分析結果みたりする場面は多いかもしれませんが、その考え方とプロセス例をまとめてみました。

実際にはその裏で、大変な労力のかかるフレームワークです。2〜3名のチームで作業をしても情報の収集や、それをまとめてゆく作業は相当な時間を要します。

自社の提供価値とはなにか?が明確になるのはもちろんですが、作業の中にひととおりのマーケティングの要素が含まれているため、センスや考え方が磨かれることに間違いはありません。


いかがでしたでしょうか?
ファシリテーションもやっております。

ぜひ、お声がけくださいませ。


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