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月10冊ペースで本を読んでいますが、そろそろ胃もたれを起こしかけています

こんばんは。千歳ゆうりです。表題通り。

今年読了した本がめでたく40冊になりました!馬鹿か?一カ月10冊ペース?(フルタイムでお仕事している社会人です)いやこいつ馬鹿じゃない……?と自分でも引いています。だって目の前に本があったら読みたい!読んじゃう!今すんごい胃もたれしてる!!!!!!!!あたりまえだね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!というわけで、少しでも胃もたれを解消すべく吐き出していきます。吐き出していきますよー!

というわけで本を列挙しようかと思ったんですが、むちゃんこ感動した!!!うえええええええん!!!!って言いながらnote書くような本があれば書いてるんですよとっくに。記事1つ書くほどでもないなー、けど思うことはあるなーーーー、みたいな本ばかりなのでそろそろ胃もたれを起こしそう、みたいな。列挙していきますが普段のnoteに比べておそらく一冊一冊へのコメントはゆるめです。ではではお楽しみくださいませ。

お勧め度は、☆(読んで得られるものはある)~☆☆☆☆(頼むから読んで……!)までです。個人の主観です!!!!!!!!

箱中天 ☆☆☆

ゆうとと文喫にデートに行ったときに、「これ姉さん好きそう」と言われ、しゅきーーーーー!よむーーーーーーー!!!!!!って読みました。こういうほんしゅきぃ……なんですが、それだけだとあまりにも中身が無いのでちょっと好きポイントを説明すると、骨董品の中でも、「箱形の道具」の「機能美」に焦点を当てた一冊です。例えば、大名道具というほど華美ではないけれども、大店が使う花見弁当であれば多少気品はあってしかるべき、みたいな装飾の話から、花見弁当であれば、熱燗ができるコンロを弁当の形に仕込む(直火にならないよう専用の筒と酒入れがついている)機能性の話まで。
博物館に行くのが好きなのですが、特に、かつて道具として使われた品々の、機能美や、託された物語などを摂取するのが好きなので、そりゃあこういう本好きですよ!!!!!とめちゃくちゃ興奮していました。

蜂と蟻に刺されてみた ☆☆

毒展に行ったときに、刺されたときの痛さレベルの展示があり、どうやら本当に刺されて痛さを測ったというトンチキな方がいらっしゃるらしい、と知って借りた本です。
ノリとしては「タコの心身問題」に近い感じ。正直に言うと、蜂も蟻も日本にいる彼らとはだいぶ離れていた点、翻訳の問題か筆者のテンションなのか、文の端々にアメリカで普通に生きていると入ってくる常識(有名映画とかアメフトの話とか、私は日本在住なのでわからない)があるのが少しノイズだった点、とかを考えると、アカデミックにまとまっていた「タコの心身問題」の方が個人的には好きです。が、昆虫よりタコさんの方が好き!という私個人の感情も入っていそうなので何とも言い難い。

もちろん褒めたいところは多々あって、刺されまくるってたいへんだし、どうして刺されまくるという選択に至ったのかとか、ただ虫を集めるのが好きな虫取り少年で終わっているわけではなく、生物の進化についてまじめに論じている点、特に、「針が痛い」原因を進化論と紐づけて考え、仮説実証を(刺されることで)しているのは好感が持てました。
単純に、針の形状や化学物質の成分をどれだけ突き止めたところで、それを人間が刺されることによる痛みは数値化できないから刺されてみるしかない、みたいな理由でしたが。それで刺されるって選択できちゃうのロックじゃないですか?刺されないように捕まえる術とか、この種はメスには針があるがオスにはないから平気って言いながらつかんでいくとか、ノリの良い面白い昆虫学者さんの話を聞いている感じ。私が狂ったように本を読んでいる理由として、誰かの執着を摂取しないと耐えられない、なので、こういう誰かの執着を摂取したいから本を読んでいるんだよ!!!!!!とすこし嬉しくなりました。まあ、とはいえ、今ちょっと過剰摂取でお腹壊しているのでなかなか塩梅は難しい……と言いながら「昆虫学者、奇跡の図鑑を作る」を読んでいます……Foo!

昆虫学者、奇跡の図鑑を作る ☆☆☆

読み終えたので書きまーす!!!!素晴らしい本でした。読んでください。と言うほかに、思ったことを二つ。
一つは、やりがい搾取やデスマーチというものに対して最も有効なのは、「行動と結果そのものが報酬になること」なのではないかとぼんやりと思ったことです。死んでいく昭和のノリのようなもの、というとあまりにも語弊を生みかねないのでアレなんですが、それこそ青春というか、ゲーム制作現場のデスマーチのような状況というか、それを楽しんでやっていたからこそ、素晴らしい図鑑になったんだろうな、と。身も蓋もないことを言うと、いや言いたくはないんですが、すべての労働に金銭的な対価が支払われていたら破産するような贅沢な図鑑だと思っていて(掲載された種の3倍の写真を撮影したと言いますからね)、じゃあそれでもどうして素晴らしい図鑑ができたの、って、「図鑑を作る」ということを旗印に、全国各地に採集に出かけ、写真を撮り、同定のために解剖し、解説文を執筆する、という一連の行為そのもの、そして、素晴らしい図鑑ができあがるという結果そのものが報酬としてあったのではないか。やりがい、という概念は、そういう意味の言葉ではないか。そんなことを考えていました。
二つめは、昆虫学者のこだわり、知らない世界を知れてワクワクしたこと。セルフィ―(隠語)とか初めて知りましたし、そもそも標本と生きている昆虫でこんなに色合いが違うんだ、というのも初めて知りました。昆虫はゆうパックで送れるとか。そして、数多の人が数多の思想とスタンスをもって図鑑作りにかかわっている、その事実自体が尊いし、関わった全員、そして読んでくれる子供、大人たちへのリスペクトを決して忘れない著者も本当に素晴らしいと思います。良い本を読みました。

解像度を上げる ☆

ビジネス書!!!!!!って感じでした。だとあんまりにもあんまりなのでサクッと感想を言うと、「解像度を上げたいなら物量を稼げ!」なんですけど、じゃあ、物量を稼ぐ、コストをかける(1000時間かければそりゃできるようになるよとは思うんですが)、解像度を上げたい対象の選定の話はさっくりだったので、うにゃーーーーーと思うなどしています。そりゃ会社から調べろ、って言われたら調べるよね、選定の余地ないもんねえ……、とも思いつつ、さっくりではあったけれども対象の選定の話や、諸所にちりばめられた細かいTIPSは役に立つなあ、という感じなんですが、なんだろう、役に立ちそうな細かいコツみたいなものを集めても全体の3割くらい、なので、文章量多いし、頑張って読んで得られる内容として、仕事で解像度を上げる必然性がないのであれば正直コスパしょっぱめじゃないかなあ、なんて思っています。

絵が上手くなる5つの習慣 ☆

なんで借りたんだっけ?確か作業通話している友人が珍しくゲームじゃなく読書してたのがこれだったからとかそんな感じの理由だったような気がします。いやまあ棒人間すら描けない私は今更絵が上手くなりたい気持ちもないんですが、私が作曲でやっていることもまあまあ当てはまるなーーーなんて思いながら読んでいました。これの作曲版だれかボカロP出してくれないかなー、とかぼんやりと思っています。

詳細は同書を読んでいただくにしても、私が作曲に置き換えてわかりみー!ってなったポイントを挙げておくなら、「どういう曲を書きたいのか」を明確に意識すること、そして、自分が手癖で書く曲が、たまたまその理想像に芯は添っていたから自分は継続できたんだなあ、と気づかされたとか、常に新しい技法なり学び(新しい音源、使ったことない楽器、ジャンル、歌唱法など)に挑戦することを強迫観念のように思っていたのはある種効果があったんだなとしみじみとしたとか、まあ学びはありました。最後について言うと、リズムゲームみたいなものだと思っていて、リアルスキルの向上がある種私にとっての作曲の面白さなので、リアルスキルが向上するような作曲?というのは普段から心がけているのはあります。ゆうりさんに曲を書いてほしいという皆様、お気軽にご依頼お待ちしております

2023年 VTuber市場の徹底研究 ~消費者調査編~ ☆☆☆

めちゃめちゃ面白かったんですが、ガチ市場研究の企業向け高額資料なので内容について書くつもりはないです。大学図書館とか行けば読めると思うのでぜひ読んでみてください。
仮説を立てながら数字を見て、「あーーーーね」っていう楽しみもあれば、「えっこんな数字になるんだ、あ、もしかしてこういう理由?」とか考える楽しみもあります。すうじみるのたのしーーーーーい!VTuber事務所ごとの統計もあったりとかなり細かいので、VTuberファンであればかなり楽しめる内容だと思います。所感として、VTuberファンの特徴を見れば見るほどお友達になりたいと思った、というのと、VTuber市場についての統計を見れば見るほど「これはソシャゲでは?????????」と叫んでいた、ということだけ書いておきます。

みんなが手話で話した島 ☆☆☆☆

すき。こういう本好きです。中身の話をすると、遺伝の関係から先天的な聾が出やすい島で、(一時期、とある村では住民の1/5が聾だったらしい)手話と口語の両方をナチュラルに使い分けていたため、住民にとっては「耳が聞こえない」というのが髪や目の色くらいの違いしかなかった、という島の話です。とはいえ、日本で言えば江戸時代くらいの話なので、いかにその島に関して確からしい情報を得るか、という社会科学的な話、先天的聾が多かった理由を歴史学と生物学の方向からきちんと論じている話、そして、島では聾が文字通り「ハンディキャップでなかった」という事実の検証、島の人々が実際に語った言葉、本当にどれも興味深かったです。
単行本がかなり前で絶版になっていたのがようやく文庫化されたようで、文庫化してくれてありがとう!!!!!!!!!!という感じ。個人的には、健聴者も手話と口語の両方を使い分けていた(女性の前で猥談するときとか手話でこそこそやると聞こえないもんね)とかでうまく使いこなしていたんだなあ、とか、みんなが手話と口語の両方を使っていると、そりゃ健聴者も手話を覚えるし、皆が手話と口語の両方を使っていれば、耳が聞こえないのは確かにコミュニケーションにおいては障害にはなりえないなあ、としみじみとしていました。

ラブカは静かに弓を持つ ☆☆☆☆

ひどく、ひどく、うつくしい話を読みました。久方ぶりに、心に染み入る良い小説を読んだなあ、と思っています。
音楽というものが、救い……というほど仰々しいものではないのだけれど、そうだな、慰め、になるとしたら、きっとこういうことなのだろうと、どこまでも溺れていくように感じていました。そう、静かに溺れていくような恍惚感がありました、良いお話だった……。
印象的だったのは2つで、1つ目は、演奏について指摘される「曲に合わせたイメージを自分でしっかりと描いたうえで、それを聞く人に届けるための小窓を用意する」という感覚です。アクタージュか何かでも描かれていた気がしますが、単にその感情であるだけではだめで、それを届ける「小窓」というのはとても良い表現だと思いました。もう1つは、主人公のトラウマについて。ネタバレにならないようぼかしますが、決して主人公が悪いわけではない(よくあるただの何もできない犠牲者だった系のアレ)ことによるトラウマだけれども、それが、「自分のせいであってほしかった」というのは、うん、わかる……わかるよ……と思ってしまいました。そうなんだよ……「自分のせいであってほしかった」って思っちゃうものなんだよ……。著者のトラウマ持ちへの解像度が高くてビビりました。すごい。

エンタメ小説家の失敗学 ☆

えっと、上記には書いていないんですが、「3・15卒業闘争」という本を読みまして、雰囲気も好きだし面白かったけれども、どういう話だったのか(どういうメッセージを籠めたかったのか)がよくわからなかったので、同著者の書いた本を読めばあれがどういう話だったのか少しでも分かるのではないか、と思って読んだ、みたいな流れです。
なんというか、先日この記事でも書いたんですが、伝えるためには、
・伝わりやすい情報に、情報をパッケージングする技術
伝えられる人が開封しやすいように情報を届ける技術
が必要なのではないか、と思っていて、この著者には明らかに、「伝えられる人が開封しやすいように情報を届ける技術」が弱いのだろうな、と思いました。それは決して悪いことではなく、伝えられる人に迎合しないで芸術性を極めるルートはあると思うのですが、そのルートに行かず(行けず)エンタメ小説というルートに固定されてしまったのなら、そりゃあ、しんどいべ……という感想でした。
そう、言うなれば、先述の「小窓」が足りない状態なんだと思います(こういうところに狂ったように本を読むことの読み合わせの妙があります)が、それは別にこの著者に限った話ではなく、私も足りないなあと日々感じているところなので、精進しようと思いました、みたいな話でしょうか。
あと単純な話として、この著者少し神経質な気配があり、世の中生きづらそう……と勝手に思っています、みたいな。

そんな感じ!ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
気が向いたらおすすめした本を読んでみてください!な!


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