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ジム・モリスよりも無謀な「オールドルーキー」の悩み

数年前、「オールドルーキー」という映画のDVDを観た。

その映画は、史上最年長となる35歳でメジャーリーグ(MLB)デビューを果たした高校教師、ジム・モリスの実話をもとに作られたものだ。

その当時は、主人公の挑戦に「なんと無謀なんだ!」と驚いた。彼の10分の1も根性がない自分には、絶対真似できない芸当だとも思った。

しかし今になり、「50を目前にライターを名乗り始めた私は、ジム・モリスよりもはるかに無謀な挑戦を始めてしまった『オールドルーキー』ではないだろうか?」と気づいた。

そして、自らの無謀な決断に、改めて身震いしてしまった。

これぞ「ミッドエイジクライシス」。自らの老いが見えてくる時期に、焦りや不安から突飛な行動に出る中年がいるとは聞いていたが、まさに自分はその一人だ。

どうりで、家族が「そんな年齢で一体何を始める気?」とあきれ、親兄弟が「一体どこに向かっているの?」と驚くわけだ。

ところで、私が2015年にこの仕事を始めた頃は、すでにライターを名乗る人が結構いた。しかし、今はさらにその数が増え、「石を投げれば必ず当たる」ほどの数に膨れ上がっている。

そんななか、無謀すぎるオールドルーキーは、とりあえず3年間続けることができた。いや、こんなレッドオーシャンで、よくぞ3年も生き残れたと思っている。

しかし一方で、オールドルーキーの最大の弱みである、体力的な限界もはっきりと見えてきた。

実を言えば、ライターの仕事は非常に面白い。どうしてもっと早くこの仕事を始めなかったかと後悔するほどに。だから、精神的にはほぼストレスフリーで仕事をしている。

しかし、脳みそをフル回転させて言葉を紡ぐ仕事は、思った以上に過酷なものだったらしい。

心のテンションが上がるのと反比例するように、体の調子が悪くなっていくのがわかる。だから、主治医にも仕事は極力減らすようにと警告されている。

そんなわけで、現在は仕事を大幅に減らさざるを得ない。悔しいがそれを受け入れるしかない。若いころなら多少の無理をしてもすぐ回復したが、もはや50を過ぎた今は、それが完全に不可能になったと悟った。

しかし、仕事を完全に辞めてしまえば、今度は精神に不調をきたすかもしれない。だから、せっかく出会えたこの仕事を簡単にやめたくはない

そんな葛藤で、毎日心は大きく揺れている。

物事を始めるのはいつからでも遅くはない。少なくとも、私はそう確信している。

とはいえ、五十路を前にしてレッドオーシャンなライターの世界に飛び込んだのは、体力的に無理があったかなあ……と悩む今日このごろである。

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