アンチ横文字

最近、巷に横文字があふれている。

例えば、今ちょっとYahoo!ニュースをチラ見しただけでも、最高経営責任者を意味する「CEO(chief executive officer)」、費用という意味の「コスト(cost)」、女子高生言葉?の「KY(空気読めない)」などが目に入った。それらを含む横文字は私たちだって正確な意味を問われたらとっさに答えられるかどうかわからないものも多い。特にインターネットになじみのない人が比較的多い高齢者世代だと、よほど流行や時事問題にアンテナを高くしていないと「?」という感じになるらしい。

つい昨日も、70代後半の実家の母と電話で話しながら「~のアドバンテージ(advantage)が…」と言うと、母が畳みかけるように「それってどういう意味?どんな時に使うの?よくTVでそういう言葉を聞くけどわからないのよ」と問うてきた。だから「英語だと『優位』という意味になるよ、例えば…」と、いくつかの実例を挙げて説明したら、ようやく納得したらしい。そして「最近はやたらとTVでも新聞でも横文字だらけで困る。学校を卒業してから英語なんてやってないからもう覚えていないのよ」と溜息をついた…という出来事があった。

実を言うとそのようなやりとりはこれまでにもよくあり、そのたびに母から「横文字ではなく日本語を使ってくれ」と言われてしまうのだ。

他にも、親と同年代の人に何気なく使った横文字の言葉が相手には通じず、「学がなくて恥ずかしいです…」なんて言わせてしまい、こちらが平身低頭で謝ったこともある。

そんな高齢者は決して無知だとは思わない。むしろ、その疑問は当然ではないかと思う。つい自分が意味を知っているという理由だけでそのような言葉をよく使ってしまう私が悪い。本来ならそのような言葉は使わないか、思わず使ってしまったら必ずその意味も添える配慮が必要だと痛感する日々だ。

冒頭にも書いたが、巷には本当に横文字が多い。本来なら日本語で表記すればいい言葉まで英語(略語含む)、あるいは英語(やその他外国語)がもとになったカタカナ言葉があふれている。私自身も含めて、どの程度の日本人がそれらの横文字言葉の正しい意味をちゃんとわかっているかどうかは怪しいところだ。案外多くの人がそれらの横文字の意味を詳しくは知らないままなんとなく使っていることの方が多いのではないだろうか?仮にある程度知っていても案外微妙に意味を取り違えて間違った使い方をしていることは多そうな気がする。いいのか?それで。

言葉は生き物だ。怪しげな和製英語だって多くの人に長い期間使われていれば日本語として認知される。逆に、日本酒を意味する「酒(sake)」や、「津波(tsunami)」など日本語が世界共通語になっているケースもあるので、横文字が一概に悪いとは言わない。

しかしながら、日本語で表記したほうがより多くの人が理解できる言葉なら、わざわざ英語で表記したり言ったりする必要はないだろうと思う。特に、他者と話す時やこのnoteのように、不特定多数の色々な人に向けて発信し、読んでもらいたいと思っている場合は、相手が最も理解しやすい、平易でより一般的に使われている日本語を使うべきではないだろうか。

英語を習得することは今の時代必須だ。最低限英語くらいはよどみなく話せなければ、これからはまともな仕事など得られないと思うくらい大事だ。しかし、英語を習得することの重要性と、日本語で話す折に正しい意味を理解しているかどうかわからない横文字をわざわざ文脈に入れることを混同してはいけない。そういう観点から、最近私は「アンチ横文字」な考えに傾きつつある。

どうせなら、日本人同士で話す時ぐらい小さな子どもでも英語を習ったことのない高齢者でもわかる日本語でちゃんと話そうよ。既に全世代の日本人が知っているような横文字ならいいけど、それ以外の言葉をどうしても文脈に入れたいときは、その言葉の意味がわからない人にもちゃんと説明を添えてその言葉を使おうよ…と思うのだ。

皆さんはどう思われますか?


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