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『短歌往来』2022年10月号

スマイルを意識しながら出社せり席までに二度挨拶をして 田村元 にこやかに挨拶をしているかのようで、それを意識的にしていることが却って職場の同僚との打ち解けていない感じを伝えてくる。若手とベテランの狭間。スマイルという語もやや古めかしく響く。

「複数路線利用可能」が売り文句 わが家は何線からも遠くて 田村元 確かに不動産屋の売り文句に多い言葉。それが下句のような場合も多々ある。車が普段の足でも鉄道の駅に遠いのはとても不便。特にお酒を飲みに行くときは。あきらめの表情が浮かぶような一首。

③藤島秀憲「今月の視点」〈「塔」の2022年7月号の特集は「読みとリズム」。河野美砂子の「こんなふうに読んでます」等、句跨り・句割れ・破調がある歌の読み方についての論考が並ぶ。(…)句またがりが、表現の幅を広げ、作品の世界を深くしているのは確か。〉
 この『塔』の特集は本当に読み応えがあり、勉強になるんですよ!藤島のこの論の0.5秒の句跨り説、面白かった。こういう細かい読みの話、もっと深めていけたらいいなと思う。

④恩田英明「玉城徹を読む 相棒方代」〈山崎方代の歌は、徹が幾たびか書いているように、虚構(方代のいう本当の嘘)と叙事詩的な面白さが際立つ。〉〈方代の作風は徹とは真逆であるが、方代を「相棒」と呼んでいる。〉玉城徹と方代の関係についてもっと知りたいと思った文。

2022.11.1.~4.Twitterより編集再掲