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『現代短歌新聞』2023年7月号

①佐藤通雅「斎藤茂吉没後70年 実相観入説と美術文」
〈対象を目のまえにし、その核を手にするには、まず、自分を限りなくゼロにしなければならない。そのうえで、自分の眼力によって、対象の秘め持つ核へと迫ることを必要とする。なぜなら、対象は、(…)それをまえにする鑑賞者の力量分しか、姿を見せてくれないからだ。〉
 斎藤茂吉の実相観入説について。佐藤の文は抽象的なようでいて実は実践的に思える。特に挙げた最後の部分は実に刺さる。

②小島ゆかり「短歌の筋トレ」
馬と驢と騾との別を聞き知りて驢来り騾来り馬来り騾と驢と来る 土屋文明『韮菁集』
〈この歌の本歌取りに挑んだ作品も紹介しておこう。〉
穴子来てイカ来てタコ来てまた穴子来て次ぎ空き皿次ぎ鮪取らむ 小池光『草の庭』
〈回転寿司「トリトン」の連作。〉
 小島は、小池がこの歌をのりにのってやったように見せながら、それだけではないことを最後に付け加える。その結論がすごく納得だ。今回の記事は文語口語、字余りなどに言及していてとても示唆に富む。

2023.7.26. Twitterより編集再掲

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