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頑張りすぎない教師がいい

 「眼鏡変えられましたか。」
 以前、献血ルームに行った際、看護師の方に言われた。確かに2ヶ月前に眼鏡を変えたなと思い、「はい。実は、その通りです。すごい、分かるんですね。」と答えた。答えながら、私は、なぜか「気持ちがほっこり」していた。数ヶ月ごとに献血に来るとは言え、良く覚えておられるなと感心したからだ。と同時に何だか「とても大切にされている気持ち」になった。

 献血を終えてから、ふと自分自身を振り返ってみた。
「学校で子どものことをどのくらい見ているだろうか。」
「子どもの変化に気付けているだろうか。」
「子どもの変化を言葉にして伝えているだろうか。」

1,忙し過ぎる日常


 学校の一日は忙しい。登校してから、次々とやることがあり、気が付くと、放課後なんてこともざらで、自分がトイレに行くことを忘れていたこともあるくらいだ。そんな中で、子どもの変化に気付くことは、正直、無理かも知れない。そして、その変化を言葉にしているかというと難しい。
 とはいえ、ここで諦めてはいけない。何か工夫できるはずだ。そう思いながら、闇雲に子どもたちの様子を見ては、声をかけてみたが、いつも以上に疲れる自分がいた。そのうち、それも辞めてしまった。

2,システムを作る


 闇雲だから続かなかったと思い、教室の座席の列ごとに子どもたちを観察するようにしてみた。一週間は5日なので、座席の1号車から4号車までの列ごとに月~木曜日まで見ていき、金曜日は、予備日とした。
 すると、34人学級だったので、一日に8人か9人だけ見ればいいので気楽になった。そして、何より、一週間で必ず全員に目配りできるので漏れもなくなった。毎週のうち、一日はちゃんと子どもを見取るシステムができた。

3,全員との関係性が強くなった


 一週間、続けてみるとおもしろい。
「あれ、消しゴム新しくなったでしょ。消しやすいの。」
「ランドセルに付いていた防犯ベル、変わったでしょ。いいねえ。」
「下敷き、最近2枚もってきて、使い分けているの。気分転換できるね。」
「給食の時間、野菜の完食が増えてきているね。頑張っているね。」
「休憩時間、図書室に行って本を借りているんだね。おすすめの本教えてね。」
これまで、見ていたようで、全然、子どものことを見ていなかった自分に気付くことができた。

4,全員を見ようと欲張らない良さ


 改めて考えてみると、一日でクラス全員の様子を見ようと目配りしていた自分がいた。でも、実際は、一人ひとりを見る時間が短すぎて、結局誰も見ていたかったことに気付くことができた。
 全員を見ようと欲張らないことが重要だった。そう考えるときも楽になった。一人勉強ノートのコメントに気付いたことを書込むようにすると、子どもたちとの関係性も良くなり、話題も増えてきた。

5,頑張りすぎないことが大事かも


 毎日、全力で学級の子ども全員と関わろうとする教師がほとんどだと思う。でも、気持ちはあっても、続かない。そのうち、自己嫌悪に陥ったり、自己肯定感が低くなったりする。頑張りすぎず、一日の目標を下げる。「頑張り過ぎないこと」これも大事だと感じている。
                             大賀重樹


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