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主演女優のように別人になりきってみる

最近観た映画の「TAR」
すでにオスカーは2個も受賞済みのケイト・ブランシェットは、今年2023年もアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされ、さらにパワーアップして、恐るべき演技力を見せつけてくれます。

噂通りに、神がかったというか憑依といってもいいほどの迫力でした。

リディア・ターは架空の人物。
ベルリン・フィル初の女性マエストロで、レスビアン。ジュリアード音楽院の教授で、メディアにもひっぱりだこで、カラヤンですら成し遂げなかったキャリアを築き上げる目前。

見たこともない人物を、まるで実在するかのように演じ切ったケイト。

映画では高級テーラーで採寸し、スーツをオーダーするシーンも出てきます。世界最高峰のオーケストラに君臨するリディアに相応しい洋服=衣装です。リディアの動きを優雅かつ権威的に見せるジャケットやシャツ、パンツの素材感が、ハンサムで優雅です。まさに、リディアにしか着こなせない衣装です。

リディアになりきるには、この衣装の力も大きい。それしか選ばない、選べないというくらい、リディアが選択したものです。

さらに、リディアのキャラで選ばれた部屋着には、高級ワインとクリスタルグラスが相応しいのです。ワインに合わせるのは、おそらく高級デリカテッセンで買ってきた盛り合わせでしょうか。でもレモンのスライスくらいは、フレッシュなものをわざわざ自分でナイフを使う。

……といった具合です。

私自身もチョコを食べても太らない体質になるために、役作りと同じように考えています。

着るもの、食べるものを、ひとつひとつ、キャラクターになりきって選んでいます。

何もケイト・ブランシェットのレベルでなくとも少しずつ、できるところから、キャラを創ってきました。

チョコを丁寧に食べる美人キャラは?
指に着いたチョコは舐めたりしないよね?
あ、そもそもネイルはジュエリーのようにきれいに塗られているから、ちゃちなチョコは似合わないよね?
ティータイムにハーブティーに合わせてチョコを食べる?
どんなお皿に盛り付ける?
まさか箱から直喰いしたりしないよね?
まさか、立ったままとか、テーブルの端に腰掛けて食べたりしないよね?

……といった具合です。

〈ひとりアカデミー賞ごっこ〉ですが、ささやかながらも演技力を磨いてきたおかげで、チョコを食べても太らないキャラが確立されました。

さて、2023年の本物の、〈第95回米国アカデミー賞〉では、ミシェル・ヨーと主演女優賞を競り合って、惜しくもオスカーを逃したケイト。私は2人の主演作を見比べましたが、甲乙つけがたく、そもそも2つの作品は全く別物で、どちらも素晴らしく、優劣をつけるわけにはいがないなぁと思いました。

ただ、ミシェル・ヨー主演の『エブリシング・エブリウエア・オールアットワンス』の方が老若男女を問わずポピュラリティーがあり、コミカルで愛すべき女性像だったところが、大多数の支持を得たのかもしれません。

レッドカーペットならぬシャンパンベージュカーペットでのケイトのドレス姿もまた別人級に美しかったことも記しておきますね。

シルキーな青いブラウスはルイ・ヴィトンのアーカイブコレクション。スカートはサステナブルなシルクが使われおり、ケイトが実践しているというエコなスタイルを堂々と披露してくれました。

美しく、優雅なだけでなく、環境にまで配慮しているケイトは、レッドカーペットのドレスも一回限りにはせずに着回し、映画のプレス資料もエコロジカルな印刷法にしているそうです。

これぞケイト!
自分自身を最高に演じていますね。

今季のルイヴィトンのハイジュエリーコレクションのアンバサダーも見事にこなす、大人の貫禄。

ルイ・ヴィトン公式HPより

ちなみにケイトは『オーシャンズ8』でも、めちゃくちゃカッコ良いロックなちょい悪シェフのファッションスタイルを披露しています。

こう見ていくと、ファッションの力って、内面を変えていくレバレッジでもありますね。

どんなファッションもこなせる、ということは、どんなキャラにもなりきれる。

自分のなりたいキャラを設定し、ファッションを選び、そこから世界観を広げていく。

少しずつ
少しずつ

アイディンティが変わっていき、人生が変わります。

あなたのなりたいキャラは何ですか?

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