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現役院生が"卒論"の意義を考察する

大学生活最後の砦、卒業論文。略して"卒論"。

ほとんどの学部では卒業要件の一つに卒業論文の提出がある。学生にとって卒論とは手間や労力はかなりハードなもので、文字数のハードルもかなり高く、避けることができないイベントである。一体卒論に何の意義があるのだろうか?

この記事では私なりの答えを以下の「5つの力」として大事な順で書こうと思う。答えはもちろんそれぞれ異なるのは当然であり私の一意見に過ぎない。ただ、卒論の存在意義がわからずやる気の出ない学生や、これから大学に入りたいと考えている将来の大学生らの指針になれば嬉しい限りである。

人に頼る力

意外であろうか。私は人に頼る力というのも卒論を書き切るためにとても大事な力であり、卒論を通して培うことが十分に達成できるものだと考えている。

卒論では一般的に「個人で考える」力が重視されている。確かにその力は非常に大事である。しかし研究はそもそも一人でできるものではない。大御所の先生でも周りの先生や院生と多くの時間を使って議論をする。学部生にはそのような機会を目にすることはほとんどないと思うが、大学の先生でもたくさん人に頼っているという事実を知るべきである。

先生レベルでも人に頼って研究を進めるのである。学部生が独力でできるわけがない。相手に「聞いたら失礼かな?」「うざいと思われないかな?」という考えを捨てよう。実際頼られてみると気づくと思うが案外嬉しいものである。そこに気づくことができるのも卒論の醍醐味だ。

論理的に考える力

論理的とはなんだろうか?

文章できちんと論理的に書くことは実際に書いてみると非常に難しいことであることが分かるだろう。論理的に話す人が良いと巷で言われているが、あれは「論理的」に話しているのではなく「構造的」に話しているに過ぎない。

ーーー結論から話し、具体例な理由を根拠を紹介しながら述べて、最後に結論をもう一押しする。

側から見れば論理的に見えるかもしれないが、よくよく話を聞けば、ここには論理の飛躍がたくさんあることに気づくだろう。

論理的思考とは難しいのである。この難しさに気づける機会は社会人になるまでにそう多くない。これは滅多にないチャンスである。このチャンスを利用しよう。

文章表現する力

正直私は文章表現力に自信がない。しかし、大学3年までと比べて格段にマシになったのは確かである。実際に文章として書く経験は少ない者がほとんであろう。レポートを書いたとしても多くて5000字前後である。私の書いた卒論では4万字を超えていた。この分量で論理の飛躍がないように書くのは非常に大変である。ただ、それなりの力はつくことは保証できる。なので、文章を書くにあたって内容,書き方について大いに悩んでほしい。時間を費やした分だけ文章表現の力はつくだろう。もちろん、社会でも通用する力だ。

リサーチする力

「車輪の再発明」という言葉を一度は聞いたことがあるのではなかろうか。端的に言えば、「既にそれがあると知らずに発明すること」である。これは研究の文脈で言えば全く意味がない

研究する上では先人がどこまで開拓していて、どこからが未発見なのか知る必要がある。「巨人の方に乗る」という言葉があるように先人たちが見つけた知識は全力でリサーチしなければならない。あとは未発見のところを一つ発見できればそれは立派な研究である。

このリサーチ力は、新しいことを発見する上で大事な力である。これは研究のみならずマーケティングなどの社会における仕事にも大いに役立つ。これまで自分の働いている分野で活躍されている人はどのようなことをしてきたのか、そのような失敗があったのかなど、リサーチすることは場所,時代を問わず力になるはずだ。

分析して考察する力

定性的・定量的な研究にしろ、実際に自分の持っているデータを分析して、その分析結果に伴い、意味のある考察をしなければならない。得られた分析結果から何が言えるのか、逆にどこからは言えない(過解釈はしてないか)などを言語化しないといけない。これもやはり重要であり、これからの方向性を決めるために重要なフェーズである。

ここがしっかりできないと、次に取る手段がガタガタになってしまいます。

個人的に言いたいこと

これは私の周りの複数の友人の話になってしまい大変恐縮なのだが、卒業前に口を揃えて「大学で結局何を身につけられたのかわからない」と言っていた。

これほど虚しいことがあるだろうか?確かに大学では遊ぶ時間はもちろんお酒を飲みまくったりすることも大事である(学問と同等くらいに大事と私は考えている)。しかし、年間100万〜200万円を4年間支払い続けて最後にこの言葉が出るのは悲しい限りである。読者にはこのような経験をして欲しくないと思う。卒論の研究と思うと堅苦しくなるので身近な疑問から出発点としてテーマをいろいろ考えてみてほしい。卒論での取り組みと最終的に得られる達成感はきっと大学生活の優秀の美を飾るだろう。

さいごに

どうだっただろうか。どれも生きていく上で大事なものばかりではないだろうか?しかも、自分の関心に合わせて探究できる時間など人生の中でそう多くない。せっかく多大なる労力を費やすのだ。じっくり取り組むのも悪くないので人生で最初で最後の卒論を楽しんでみてほしい。



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