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心理系大学院生が「データサイエンティスト」になってみた

ーー心理の院に行く人ってほとんど心理士になるんでしょ?

 久々です。最近、データサイエンティストのインターン生として某企業で働いていました。インターンといっても2ヶ月間、膨大なデータを扱いながら、社員の方と同じように働かせていただいていたため、できることの制限はほとんどありませんでした。ただ、心理出身の学生or社員が少ないものですがら、この体験は相対的にもみて貴重だなと感じ、今回の記事を書くことになりました。

 心理系の学生は一体データサイエンティストとして働くならどのような価値提供が発揮できるのだろうか?そんな内容について100%主観の記事でつらつらと書いています。記事に書いていることはあくまで個人的な見解に過ぎないのでご了承ください。「こんな考え方もあるか〜」くらいに留めておいてください。

 僕は以前から、データサイエンティストって結局なんやねん?と常々考えていたのですが結論からいうと「全く今もわかっていない」が答えです。ただし、働いてみることで見えてきたこともありました。

データサイエンティストは一つの型に当てはまらない

これ、どういうことかと言いますと、僕はインターンをしてみてすごく痛感したことがありました。

ーー同じ企業でもデータサイエンティストとしての働き方が様々すぎる

 本当に職場には様々なインターン生や社員がいらっしゃいました。例えば、皆さんがイメージするであろうゴリゴリ機械学習を駆使して予測モデルを立てる人。他にも厳密に統計学の視点から吟味して広告の効果検証を行う人。持ち前のプログラミングスキルを使ってデータ整形&可視化して企業にとって有益な資料を作成する人。研究者のように専門的とまでは言わないが、データを扱える人として営業にてコミュニケーションスキルを大いに発揮する人など様々でした。

その時の僕の感想はこんな感じです。

ーーあ〜kaggleとか別にやらなくてもいいんだ〜。よかった〜

 いや、大真面目です笑。Twitterとか拝見すると巷ではでータサイエンティストになるためにkaggleでメダルを取れるように頑張っています!機械学習の勉強をして予測モデルバリバリ作っています!みたいな人が多過ぎて僕は常に、

ーーえ?データサイエンティストってkaggleマスター必須なの?笑

くらいの感想しか持っていませんでしたが、そんなことは別にありませんでした(少なくとも僕が勤務させていただいた会社では)。ビジネスにおいて職場は研究所ではありません。結局、稼ぎになるか/ならないか的な割合がかなりを占めています。断っておきますが、結局は統計/機械学習の分野について精通していないと意思決定を誤る可能性があるので、ドメイン分野の知識量/思考力があるに越したことはありません。というより絶対あった方がいいと思います。

 少し話がそれましたね。では心理系の人がどのように価値を発揮できるのか?実際働いてみて感じたことや、僕なりの考えを書いていきます。


機械学習や予測モデルは工学・情報系に中々敵わねぇ

 これはわかっていたことですが、ここで僕は勝負するのはナンセンスかなと思いました。これらは工学系や情報系の庭です。ここは譲りましょう。心理出身の人がここを勉強するタイミングはほとんどないわけですから、おいおい知識を得ていく他ないでしょう。もちろん自戒も込めてです笑。素直にその分野の方から、知識を提供してもらうのが良いでしょう。

一方で、彼らの弱みとしても当然ありました。それは

理論的・概念的なところから仮説を導出する点は得意ではない点

データを自ら収集した経験がない(逆にいうと手元にあるデータをいじったり予測精度を向上させる点はとても長けています)。

 この点に苦手を感じている人が多い印象でした。様々な手法を駆使することが好きで得意だと言っていた同期でしたが、その分野では自らデータ取得したりする経験はほとんどないと言っていました。これは先ほどと同じ議論になりますが、ドメインの違いから生じる、ある種当たり前のことだと思います。このドメインはどの分野出身の人が得意でしょうか?

そうです。ここに心理出身の人が活躍できる点があります。

数理・工学・情報系が苦手とするところが心理界隈の得意分野である。

 工学・情報系が苦手としていた点は心理学系の得意分野です。

 社会科学を専門としている人にとっては理論的・概念的なところから知見を生み出すのは何度も訓練してきたと思います。

 先行研究における理論から仮説を導出して、仮説を生成し、実験/調査計画をたて、そしてデータを自ら取得する。仮にデータを取得しないにしろ(すなわちビッグデータが既にある)、手元にあるデータから分析を行う際にこのデータだといかなる選択バイアスが生じうるか、交絡要因はどこにあるか、必要な共変量は何であるかなどの思考プロセスはかなり強みだと思います。また、アンケート調査を用いた分析などはその際たるものでしょう。アンケート調査でも用いたのが名義尺度なのか、順序尺度なのか間隔尺度として分析するのかetc..。

 心理で学んだことはデータサイエンス業界でも活きると自信を持って言えます。数理的な部分に弱いと自覚している(特に自分)方は、今から勉強すれば全然いけるのではないかなと思いました。

 こんな風に、統計学を専攻しているクセに少ないサンプルからのゴリゴリ主観な内容となってしまいましたが、一意見としてこんなものがあるんだなぁと思っていただけたら幸いです。

さいごに

 かつて、後輩の学部生に、「心理の院に行く人って臨床or公認心理士になる人がほとんどじゃないんですか?」と言われたことがありました。僕にとって心理の院に進む人=心理士というイメージが全くなかったので正直驚きました。また、

「文系なのに院に行ってどうするん?博士課程行って教授を目指さないのなら就職大丈夫なん?」

これも非常に多い声でした。特に地元の友達や、大学の同期に言われたことが多かったのですが、やはり院で心理学の道に進む人がデータサイエンスの道に進むといったイメージは全くないのでしょう。僕はこのようなイメージのずれを少しでも解消できたらいいなという意図もこの記事にはあります。心理学出身の人にもデータサイエンティストとしての道もあるよっている事実にも、併せて認識していただけたらなと思います。

Sta_note



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