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草花とゴッホと分かち合う喜び

関東では昨日で春雨の一週間が終わり、今日からまた晴れの日が続くようです。

いよいよ春本番の暖かさ。🌸

私は、春になると思い浮かびふと会いたくなる景色の一つに、フィンセント・ファン・ゴッホの「草地の木の幹」があります。今年の春もそうでした。

フィンセント・ファン・ゴッホ「草地の木の幹」
1890年/クレラー・ミュラー美術館
(画像はアプリ「PINTOR」より保存)


絵画であることを忘れさせるほど隅から隅まで細やかに描かれた景色からは、春の匂いや暖かさまで、そよ風に乗って運ばれてくるような気がします。
木の幹も、小さな草花も、遠くを流れる小川までもが、全身で春の喜びをうたっているようです。

このように背の低い植物を題材にした風景画は当時の西洋絵画では珍しかったとどこかで読んだ記憶がありますが、足元の小さな幸せもおろそかにせず見ているようなこの構図が、私はとても好きです。


"木の根元に生えている黄色い花は、あのギザギザした葉っぱを見るに、きっとタンポポ。春には欠かせない存在だ。そういえば、ゴッホも暮らしたフランスでは、タンポポの葉っぱをよく食べるそう。
いっぱいに咲いている茎の長い白い花は、シロツメクサかな?子どもの頃、お母さんと一緒に花冠を作ったなぁ。"

そう考えている頃には、もう私は絵の中にいて、心は童心に帰っているのです。


手前で最も目を引く松の幹は、手を当てれば脈うつ音が感じられそうなほど、豪快にうねる線によって樹皮の粗さが表されています。
そして、さっと数えるだけでも十を超える様々な色で塗られ、その大胆さは見るものを「あっ」と言わせるほど魅力的。

しかし、これだけ豊かな色彩が集まっていながら、みんなが自然に調和してちゃんと一つの画面として構成されています。やはりゴッホの色を見る目とその色を創り出す技術には、驚かされるばかりです。


春という季節の心地よさとなつかしさ、さわさわと耳をくすぐる草花の話し声、爽やかな空気と新たに芽吹いた命の喜び。
そのすべてを閉じ込めて永遠にしてみせた画家ゴッホに、春らしい花束と心からの拍手を贈りたい。

同時に、植物もゴッホも私も時を超えて、同じように春の訪れに心を動かされ胸を躍らせているのだと思うと、嬉しくなる。
何度見てもそんな気持ちになる、穏やかな春の一作です。

 ◯


あぁ、記事を書きながらこの絵を見ていたら、
春の野の匂いや小川の音を求めて外に出かけたくなって、なんだかうずうずしてきました。

そういえばまだ桜も雨の日にしか見ていないから、今日はお散歩がてら見に行こうと思います。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました
(^.^)🌼

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