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for others|連載小説

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「他人のために生きて、何がいけないって言うの?」 思いやりをもって、いつも自分を犠牲にして生きてきた「他者チュー」の美香は、そのせいで彼に振られてしまう。 「自分を変えたい」と願… もっと読む
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#自己啓発

短編小説「for others 私の私は誰のため」第6話

「みなさん、今日は、『わがまま力で思い通りの人生を手に入れる』出版記念セミナーにようこそお越しくださいました」

モニターの前に立って挨拶する川崎加穂子の印象をひと言で言うなら、「かわいらしい人」だった。

本に載っている写真はいかにも切れ者のシャープな美人というイメージだったけど、実物は思ったよりも小柄で表情も柔和だ。童顔もあいまって年齢よりずっと若く見える。

自信を持ってゆっくりとはっきりと

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短編小説「for others 私の私は誰のため」第5話

短編小説「for others 私の私は誰のため」第5話

セミナー会場は、川崎加穂子が経営するウーマンパワー社のオフィスだった。

本郷とお茶の水の間に位置する8階建てビルの5階に、定刻よりもずいぶん早く着いてしまった。一番乗りで気恥ずかしい。

コンクリートの天井がむき出しで、ところどころに大きな植物が配された流行りのカフェのようなオフィスで、中央には無垢材の大きなテーブルが置かれ、そろいではない品のいいスツールの数々がセンスを感じさせる。

窓からは

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短編小説「for others 私の私は誰のため」第4話

短編小説「for others 私の私は誰のため」第4話

【あなたのなりたい自分を明確にイメージすることが大事です。ゴールが見えない人生はスタートしようがありません。あなたは10年後、5年後、1年後、明日、どうなっていたいですか】

相撲中継に夢中の母の横で、私は本を読みふける。

リビングの扉が開き、由佳が入ってくる。

「ただいまー。あれ、お姉ちゃん。早かったね。デートは?」

「あ、うん、早く終わって」

と、由佳は手元から本をぱっと取り上げる。

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