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忘れてもいいんだよ。




昔の恋人の、声が思い出せない。


終わったときは、あんなに泣いて、
もうこんなに誰かを好きになれない
なんて、感傷に浸ったのに。


でも、それでいい。
思い出せないのは、思い出になったから。




過去を、美しい思い出にするために、
必要なのは「忘れる」こと。




忘れるのは、寂しい
悲しいと、いわれるけど。

それは必要で、たいせつな行程だ。






爪の形やシワ、
もわっとした熱やしょっぱさ。

そういう細部から削ぎ落とされていき
全容が、ボヤけてきた頃
より尊く、愛しくおもえるようになる。





脳は、騙されやすい。
私たちはすぐ、錯覚する。

選択したりラベルを貼ったり入れ替えたり、
そうやって、少しずつ
最初とはちがう景色になっていく。


結果すら、どっちでも良かったりして。
「真っ赤なスカーフ」の歌詞のようなもの。





鮮明じゃないからこそ、
古い記憶は、きらきら輝く。


なんとなくでも、いい。


だからこそ、愛情に気付けたり
拠りどころがうまれていく。









私一人が忘れたって、
過ごした時間が嘘になるわけじゃない。

だれも思い出せなくなったって、
そこにあるのは変わらない、事実。




今はただ、忘れてしまっただけ。
過去は、消えたりしないから。


今はただ、思い出せないだけ。
あの幸せも、愛情も、確かにあったから。






あなたが今を生きるのに、
要らないのなら、忘れてもいいんだよ。


みていたいのは過去じゃない。
今のあなたが、笑う姿。







忘れても、無くならない。

亡くなっても、無くならないよ。

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