くりそら

指す将。居飛車党のようなそうでもないような。

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    相掛かりの記事をまとめました。

最近の記事

端角と右玉~対嬉野流の手筋の研究

はじめに居飛車党が対嬉野流でなんとなくノリで駒組みをしていると「△3四歩を突いた相掛かり」みたいな陣形になりがちである。 すると、手強いタイプの嬉野党はこの浮いている横歩を狙って▲2四歩△同歩▲同飛と動いてくる。 そして、この動きへの対応が悩ましいのである。 後手はすでに一歩損が避けがたいが、その後の方針をしっかりと持っておかないと、腕力自慢の嬉野党の思う壺となる。力戦で競り負ける未来が見える。 この記事はこの嬉野流からの横歩取りへの対策、一歩取られた後の後手の方針を検

    • 歩を二枚、持っててもなくても端攻めだ!〈持っていない時編〉

      前回歩を二枚、持っててもなくても端攻めだ!〈持っている時編〉|くりそら (note.com) この記事は前後編の後編である。 前編を未読の人は、まず前編を読まれたし。 金無双への端攻め手筋Ⅱ今回は応用的な内容だと言える。 基本的には前回と同じ手筋なのだが、一枚だけの持ち歩で攻めをつなごうというのである。 結論から言うと、前回題材にとった局面では持ち歩一枚での攻めも十分に有力だった。 一枚での攻めが成立するかどうかはケースバイケースだと思われるが、この記事はそのケー

      • 歩を二枚、持っててもなくても端攻めだ!〈持っている時編〉

        実戦の“相振り手筋”研究相振り飛車は定跡化が難しい。 いや、できないこともないのだが、しかし、相振りは実戦の局面が準備した定跡とまったく同じになる確率の低い戦型だと言える。 なので、よく言われるのが、相振りは定跡を覚えるより手筋を覚えるほうが早い、という意見である。 もっともな意見である。 この記事は相振り飛車の手筋についてのものだ。 筆者の実戦の局面を題材にとり、実戦手順に現れなかったが水面下にはあったかもしれない手筋を調べる。 部分定跡 ところで、将棋には「部

        • マジで腰掛けられなかった5秒後のこと

          腰掛け銀と中飛車腰掛け銀が好きな人というのは一定数いる。 相居飛車でも対抗形でもその銀が悪い形であろうはずがない。 ところで、そういう人は5筋位取り中飛車相手にはどう戦うのか。 相手の歩が進んで来てしまうため、腰掛け銀には当然ながらできない。 たぶん困る。 でも、それで終わりじゃあ記事に書くことがなくなってしまうので、どうにか戦う方法を研究してみた。 なお、検証はしてない。 エアー銀(と呼ぶかはさておくとして)中飛車はふつう△5五歩と位を取る場合は、△4四歩のほうの

        端角と右玉~対嬉野流の手筋の研究

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          7本

        記事

          金無双の諸悪の根源

          相振り飛車と金無双相振り飛車の定番の囲いといえば、一つは金無双である。 ただし、美濃囲いと比べてその人気は低いように思う。 原因と思われるのが、もはや金無双の代名詞とも言うべき壁銀である。 横からの攻めを受けた時に囲いの右側が壁になってしまう弱点を嫌う人は多いのではないか。 この記事は金無双の壁銀を巡るアレコレに思いを巡らせるものである。 3手目▲6六歩、向かい飛車VS三間飛車、金無双VS美濃囲いこの記事では▲7六歩△3四歩▲6六歩……の立ち上がりから先手向かい飛車に

          金無双の諸悪の根源

          序盤のこと覚え書き、あるいは、仕掛けと突き捨てについて

          この記事について序盤のことは書いておかないとすぐに忘れてしまう。 そのためにせっせと書いたものは、もちろんどこかにしまっておいてもいい。 いいのだが、今回はその文章にこじつけてなにか語れそうだと直感したので、こうして記事を書くことにした。 テーマは歩の突き捨てについてだ。 これを、雁木の研究の覚え書きと合わせてそれっぽく書いていけたらいいなと思う。 分岐点下図は雁木VS矢倉の中盤戦である。これを後手の目線で見ていく。 中盤だとはいえ、ここはまだまだ研究できる範囲だと

          序盤のこと覚え書き、あるいは、仕掛けと突き捨てについて

          変化簡単! △4二金でお手軽早石田対策

          乱戦定跡とのつき合い方石田流が苦手! という人には2パターンいると思われる。 一つは、石田流本組みが手強くて苦手というパターンの人。 そして、もう一つが、早石田の乱戦がワケワカランので苦手というパターンの人だ。 乱戦に踏み込んでいってヨシと解説された定跡もあるが、それを実際に指しこなすのは大変だ。 そこで今回の記事では、お手軽さを大事にした後手居飛車での早石田対策を紹介する。 乱戦の変化はあるのだが、わかりにくい展開にしないですむため、お手軽さは失われていないと思う

          変化簡単! △4二金でお手軽早石田対策

          角換わり棒銀対策! なんでも△4四銀

          今もなお棒銀は強い腰掛け銀最強! 腰掛け銀最強! ―――という定説が広まりつつある昨今の角換わりだが、昔は角換わりの戦法は三すくみだと言われたりもしていた。 いわく、腰掛け銀は棒銀に弱い、と。 棒銀に負けて、棒銀最強! 棒銀最強! と言われないように、腰掛け銀でも棒銀を受けられるようにしたい。 実際に、強い人の棒銀は強いのである。 なお、棒銀は早繰り銀に弱いとも言われていたので、早繰り銀で対策するのは有力である。 ただし、これは今回の記事では扱わない。 今回の記事は

          角換わり棒銀対策! なんでも△4四銀

          空振りのあと

          横歩も取れないような男に以下省略横歩取りあるある~! 先手が横歩を取ってくれない! というわけで、後手横歩取りの準備としては、このツイートの横歩取り拒否の展開にも対策が必要である。 今回は、先手が初手から▲2六歩~▲2五歩とズンズン歩を突いてきて拒否される展開について書く。 その中でも、珍しい形だが、先手が矢倉に組みきってくる形がテーマだ。 仕掛けの一例(角交換にならない変化)初手の近くから見ていく。 先手が▲2五歩を決め、後手が△3三角と上がったというあたりだ。

          空振りのあと

          今こそ角交換のない相振りを!

          流行りは角道クローズ相振りであるいま最新の相振り飛車の棋書は『角交換相振り飛車 徹底ガイド』だと思われる。 確かに、相振りの最先端は角交換相振りだという時代があった。 しかし、流行は巡る。今はふたたび角交換をしない、片方が角道を止める相振り飛車がアツい!(……と筆者個人は思っている) 特に、今回は先手が角道を通したままにし、後手が△4四歩で角道を止める先手オープンVS後手クローズのパターンに注目した。 3手目▲7五歩の場合先手が角道を通したままにする、角交換含みの相振

          今こそ角交換のない相振りを!

          簡単! 後手急戦矢倉(1/3)

          相居飛車の講座をやるのが将棋Vのあいだで流行っているそうだ。私もそれらの配信や動画を見ている。 そのうちの一つのものに、筆者がツイッターにて、下品な方法でツッコミを入れたところ、お叱りを受けるような格好で「お前も講座をやれ」という流れになった(ような気がする)。 そこで、筆者が急戦矢倉の講座に挑戦することとなった。なぜなら、将棋Vには矢倉を担当しそうな人が少なく、それが急戦矢倉となればほぼいないと思われるからだ。 対象棋力は、中級~初段くらいをイメージしている。 前置

          簡単! 後手急戦矢倉(1/3)

          局後KENTO 1

          最近は、対局後のソフト検討をしていておもしろいと思った局面についてはツイートしたりしている。 ただ、ツイッターで書くのに適した分量の範囲はあり、あまりにも長く複雑になるようならnoteなどにしておくべきだろうと思った。今回は終盤の検討だったのだが、長くなりそうなので記事を書くことにした。 後手が△3七金と打って攻め合った局面が今回のテーマだ。 先手玉は左右から挟撃されている格好となっている。後手玉は囲いの中にいる。そして、囲いの金銀が竜と角で横から攻められている格好だ。

          局後KENTO 1

          相振り分類の叩き台

          発端ツイッターにて ツイッターでのこんなやり取りからnoteのネタをいただいた。 ネタ提供はありがたいことだけれど、もらってしまうと書かねばならないので大変でもある。 なんとなく退路もなさそうな感じである。 とりあえずやってみることにした。 しかし、ひと息には完成させられないテーマだと直感したため、やれるところまでやって、未完成でもできたところまでを記事にすることにした。 レベルで考える 分類のやり方は、この記事をパクってにならって段階を分けるものにした。だんだん細か

          相振り分類の叩き台

          常盤台メイのコショコショ

           休憩だったので、メイドは歳の近い同僚とおしゃべりをしていた。やがて同僚が先に戻っていき、それを待っていたようなタイミングで、メイちゃんが部屋に入ってきた。 「先輩、廊下にも聞こえていましたよ」 「うぐ」  メイドは声が大きい。直さなきゃと思うのだけれど、ずっとこのままである。  メイちゃんは意地悪を言っているのではなく、メイドが直したいのを知っているので言ってくれるのだ。 「どうやったら直るかなあ」 「そうだ。先輩、耳を貸してください」  メイちゃんがグイッと近くに来る。メ

          常盤台メイのコショコショ

          栗研次の一手 #1

          前置きはなし。早く更新しないといけないのだ。 問題数は4問。問題を続けて出した後、答えと解説を続けることにする。 問題1 後手番。5手。 (※後手が素直に応じた順を答えとします) ☗ 寄せの問題。 後手玉はゼットなので、思い切った手順が可能だ。 王手や詰めろの連続で迫る速い寄せがないかを考えたい。 問題2 後手番。3手。 ☗ 角を打たれたところ。 ひとまず自陣に目を向けて、相手の角の周りを見てみよう。 この角は意外と狭い。 問題3 先手番。1手

          栗研次の一手 #1

          栗研次の一手 #0

          最近、仲間内で次の一手を出し合う遊びをやっている。これがなかなか楽しいのだが、出して答えを発表し終わった問題をそのまま埋もれさせるのはもったいないと思った。 そこで、私の出した問題はnoteの記事に再利用しようと考えた。何問か溜まったら記事を書くのだ。 ツイッターのアンケートで、何問で記事にするか決めることにした。1問がいいという人の意見には応えられないが、結果を見て1記事4問とすることに決めた。 問題数が溜まる前に、0回目として、今回は1回目以降こんな感じの問題を出す

          栗研次の一手 #0