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【いつか絶対来たかった】ナチスのダッハウ強制収容所にて、特許の死体焼却炉やガス室など。

こんにちは。

ドイツ・ミュンヘンで留学生活を送る大学生、桜です。


先日、ミュンヘン郊外にあるかつてナチスドイツのホロコーストに使われた強制収容所、ダッハウ収容所に行ってきました。

日本で通っている大学のドイツに関する授業のプレゼンで、このダッハウ収容所を取り上げたこともあり、留学したら必ず訪れたいと思っていたこの場所。

ナチス・ドイツに関する負の遺産としてはあまりにも有名なポーランドのアウシュヴィッツ収容所などがありますが、数でいえばドイツ国内に圧倒的に多いナチスの強制収容所。

その中でも最古のものが、今回のダッハウ収容所です。



ダッハウ収容所


実は今回ここへ来たのは、大学が提供する留学生のための遠足プログラムのようなもの。
ダッハウ収容所へは、ミュンヘンからバスで小一時間ほどで到着しました。

入り口には、アウシュヴィッツの入り口にもあることで有名な

Arbeit macht Frei」=仕事をすれば自由に

の文字。
アウシュヴィッツとは違って“B”の文字は上下逆さまにはなっていませんでした。

先述のとおり、ここダッハウ収容所はナチス・ドイツの収容所の中でも最も古いものであり、30か国以上の国々から送り込まれた20万人以上がここで強制労働をさせられました。

そのうち3分の1がユダヤ人であったと言い、現在でも収容所・ガス室・焼却場が残されています。

まずは、政治犯などが収容されていた独房施設から。

主要政治犯の独房


ここは独房になっていて、思想統制に反した行為で捕まり政治犯とされた人たちが収容されました。

廊下も房も当時のまま残っていて、(と言っても使われていた時代からまだ100年もたっていない)夏にもかかわらず入るとひんやりしたすごく重苦しい空気が体にのしかかるようでした。

どこまでも
どこまでも続く独房

部屋の中を覗いてみましたが、本当にただの箱に人間が閉じ込められていた様子が想像できます。

トイレだけがついていました。


人体実験


そしてこのダッハウ収容所は、凶悪な「冷却実験」や「超高度実験」が行われたというおぞましい歴史を持っています。

人間の体を限界まで冷却するとどうなるんだろう?
人間を高いところから落とすとどうなるんだろう?

と、正気とは思えない人体実験の数々。

その実験が行われた部屋も、独房と同じようなただの空間だけですが残されていました。

「医療実験部屋」

入る前は白壁で案外綺麗だなと思った建物も、通り抜けてから振り返ると胃の底に何か重いものが落ちてくるような気持ちになります。


有名なモニュメント


これはダッハウ収容所を象徴するモニュメント。
調べてみると出てきますが、この収容所で犠牲になった人々のご遺体の山を想起させる形です。


集団の居房


続いては、一般人(という扱いすら当時は受けられない人々)が収容された集団房。

ここ、実は終戦後難民用の施設として使われており、その際に内装がすべて一掃されているので当時の収容者がそのままこのベッドで寝ていたわけではないようです。

しかし、ご飯もろくに与えられず1日中こき使われた後に横になるこの堅いベッドで、ユダヤ人らのどれだけが解放の未来を夢見ることができたのだろうかと考えると、胸が詰まる思いです。

点呼の際に使った表の画像。

ここは集団のトイレ。個室などという概念が存在しないのですね。


完全効率化された処分用施設


日本でプレゼンをした際からずっと訪れてみなければと思っていたのが、ダッハウ収容所が持つこの施設。

ここには、建物の向かって左から順に
待合室→ガス室(シャワー室と称された)→焼却炉→死体置き場
のように、完全に効率化した収容者処理のシステムが確立されていました。

煙突があるのが焼却炉の部屋です


ガス室


収容者がまず連れてこられるのが、このドアより手前の待合室のような部屋。

ここで彼らはシャワーを浴びるために服を脱ぐよう指示されます。

しかし、緑のドアを潜り抜けて待っているのは、暖かいシャワーではなく死の毒ガス。

全員が入るとドアや窓が締め切られ、上の黒い穴からお湯ではなく毒ガスが放出されました。

異様な天井の低さと冷たい空気に、立っているだけでも身震いが。


特許を受けた死体焼却炉


そしてここが、この収容所で見られる一番重要なホロコーストの痕跡。

これはトプフ&ゼーネという会社が造った「一度に二体焼ける効率的な死体焼却炉」として特許を取った死体焼却炉で、この会社はその後ナチスと専属契約を結ぶに至ります。

これについては去年日本の大学で何週間もかけて調べ尽くしプレゼンしたので、実際に見てみて初めて予備知識の意味を大いに実感しました。

(ちなみにアウシュヴィッツのガス室の排気設備もこの会社が担当しています。)

隣の部屋で息絶えたばかりの人間の体をここに二体も詰め込んで作業的に焼いていたのかと思うと、本当に神経を疑います。

焼ききれなかった体や灰はそのまま一番最後の部屋にどんどん溜めていったそう。

企業の社会的責任のありかが問われる、極端かつ最適な例です。

私もたくさん考えさせられました。


今はほとんどが更地


ここまで見てきた施設以外は殆どが更地になっていて、ダッハウ収容所「跡地」としての扱いですが、ここにも先ほどのような集団房がいくつもいくつも建っていたのです。


以上、ダッハウ収容所の見学でした。

留学生のツアーで行ったのですが、当然そこには実際に先祖が被害を受けたチェコスロバキアやポーランド出身の学生たちがいて、
皆黙って見学していたので言葉を交わすことはありませんでしたが、
「ホロコースト」、これは人類が共通して向き合わなければならない過去なのだと思い知らされた日でした。


近いうちにポーランドのアウシュヴィッツも訪れようと思います。



追記
サッカー日本代表、アジアカップ負けちゃいましたね。。
カフェのWi-Fi使って昼間から見てて、決勝の日バイト休みにしてたくらい気合い入ってたし週刊誌に負けて欲しくなかったし…

あー!悔しい!

ここで流れが変わると思ったんだけどな

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