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永遠は短い。

また夏が過ぎようとしている。
今年はどんな夏だった?
そう問われて、言葉に詰まる。
それは、誰か、何かのせいではなく、
ましてや環境や時代のせいでもない。
今年も気付けば、夏が過ぎようとしてる。

今年の夏もまた一人、お世話になった人を見送った。そして、過去に見送った人たちのことを思い出した。
みんな、夏にいなくなってしまうのは何故だろう。

幸い、家族や大切な人たちの数人はまだ生きていて、僕の身近にいてくれている。
それでも、病気をしたり、さまざまな事情で終わりを迎えた人もそれなりにいる。
冠婚葬祭の中でも葬儀に出ることが増えてきた。「死」について考えることが、思うことが、増えている。

30代も半ばを過ぎて、まさか自分がこれほど早く見送る側になるとは思わなかったよ。つい最近までは誰かの結婚式だ、出産祝いだ、の声が多かったのに。

今年はどんな夏だった?
去年の夏、やり残したことはできた?
来年の夏が、ましてや明日が、
当たり前にくるなんて、本気で思ってる?
そんなの誰にもわからないんだよな。

今年の夏、僕はひとつ歳をとった。
去年の夏、その前の夏と同じように、
ひとつ歳を重ねた。
一年ごと、一月ごと、一日ごと、
なんなら一時間ごとに歳をとっている気さえする。恐ろしいことにそれは真実なんだよね。

どこかで聞いた言葉に「永遠は短い」とあった。
「人生は短い」と言う人もいた。
「永遠も半ばを過ぎて」と書いたあの酔いどれ作家はどんな気持ちで書いたのだろうか。

でも、きっと、そうなんだろう。
その言葉の意味が少しだけ、少しだけ現実味を帯びて感じた夏だった。

夏の終わりには、ただ貴方に会いたくなるの。
そう歌った歌手もいたな。
そう、僕にも会いたくなる人がいる。
過ぎ去った夏の日に思いを馳せながら。
同じ風を感じながら。
いなくなっても、まだここに在るかのように。
その存在を感じる人たちがいる。

永遠は短いらしい。
退屈で無駄に感じることも多い。
けど、きっと、そういうものなのかもしれない。

これを書きながら、いまはもう離れてしまった人たちを思った。僕はたくさんの人に支えられて、そしてたくさんの人に迷惑をかけ、傷付けてきたのだろう。いつだって自分のことばっかりで反吐が出る。どうか元気でいてくれたら、それくらいは願わせてほしい。

みなさん、どうかご自愛くださいね。
では、また。

2023年8月31日

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