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イタリア最大の料理プラットフォームGiallo Zafferanoの創業者Sonia Peronaciの話を聞いて。料理はエンパワメント。

先週末ボローニャのイベントGUSTOで、日本のクックパッドのような、イタリアで最大の料理プラットフォームGiallo Zafferanoの創業者Sonia Peronaci(ソニア・ペロナチ)さんの話を聞いた時のこと。

期せずして、涙ほろほろ。

「料理はエンパワメント」

クックパッドで働いていた頃の熱い想いが蘇ると共に、当たり前に正しいこと、それで結果を出して社会にインパクトをもたらす彼女が、私にはただただ眩しかった。

その話を少しばかり。

「Sogni di Sonia(ソニアの夢)」

料理は家族の課題解決

彼女がなぜこのプラットフォームを始めたか。

スーパーで、目の前で出来合いのトマトソースの瓶を箱買いする子連れの女性を見た時のこと。こんなシンプルなトマトソース、家で10分でできるのに、なぜ出来合いのソースを買わなければいけないのか。その疑問が原点だった。

足りないのは時間じゃなくて、アイデアなのだ。

作り方さえ知っていればできること。子供をもっと健康に育てることが出来て、出来合いを食べさせている罪悪感がなくて、料理の余白がバリエーションとなって家族を楽しませられる。

こういう家族の課題解決を目指して、レシピをインターネットで自由に見られる世界を作った。

余談ながら、まさに私自身が料理家として、オンライン料理教室やコミュニティで目指していることと同じ。うんうんと、首を縦に振っていました。

でも、これって、言ってみれば当たり前のこと

世界で同じようなこと考えてる人はすごく多いと思う。

彼女自身、1967年生まれ、ちょうど私の母と同じくらいの歳で、3人の息子を育てた母で、物事を見る視点は普通のお母さんそのもの。話し方も身なりも、良くも悪くも普通の人に見える。

ベースは当たり前のことで、イノベーションとかそういうキラキラしたものではなくて、普通の人が普通に考えたことでサービスを作った。

でも、正しいこと。

これが良いんです。ポイントなのです。

このサービスがあることで、確実に社会は豊かになる。このサービスが大きくなることの負がない。普通はありますね、車が沢山走ればCO2増える、的な。スローフードの「Buono(美味しく) giusto(正しい) e pulito(きれい)」のような。

良いですよね、胸がキリキリするくらい良い。

そして、社会に起こしたインパクトは、当たり前や普通を超えたもの。

だから、彼女はすごいのです。もう私には眩しくて仕方がない。

では、彼女と私で、何が違うのか。

Good question. 熟考します。

料理は人を繋ぐこと

それから、彼女が言っていたことで、もう1つ印象に残っていること。

料理が作れれば、人が集まれる。

料理が出来れば人が呼べるでしょう。人が集まって食事をすることは、イタリア社会の大切な側面。だからそれを失いたくなかった、と。

これは、私がイタリアに来てすごく感じることでもある。

人が集まる場は「家」が多い。

日本で「今日ランチしようよ」で家に来ることは5%もないと思うが、イタリアでは半分以上は家だ。

費用も抑えられるし(イタリアは外食が高い!)、品数増えるからバランスよく食べられるし、好きなもの好きなだけ食べられるし、ゆっくりできるし、人が来るから家もいつも綺麗に保てる。メリットだらけ。

しかし、料理ができないと、全てが始まらない。

食卓を共にするというのは、古来からDNAに刻まれるコミュニティの原点だ。

が、料理が出来ないと、人を呼べない=人が集まれない。

Soniaさんは、現代のイタリア社会は、やっぱり料理の作り手は減っていて、昔のように人が家にきてゆっくり料理をすることがなくなったという。(彼女はミラノに住んでいるから余計そうなのかもしれない。)

だから、料理を作れる人を増やすのは、人を繋ぐためのサービスでもあるわけだ。

料理のエンパワメントなのだと信じ、クックパッドで働いていた頃の熱い想いが蘇ると共に、当たり前に正しいこと、それで結果を出して社会にインパクトをもたらす彼女に刺激をもらいました。

会場を出ると、奇跡の空が広がっていました。

ボローニャより。

Aoi

ちなみに、このGUSTOは年に2回くらいボローニャでもやってる食の祭典で、今回は、私の働くFuture Foodが女性起業家のフードスタートアップのビジコンをやっていたり、有名なフード・インフルエンサーと直接お会いできたり、色んな生産者がブースを出していたり、とても面白かったです。


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