久しぶりの映画館!『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方(2021/香月秀之)』を観ての感想
いやぁあああああ、1年以上ぶりに、映画館に足を運んだ。
映画館に行ったってだけなのに、なんだかやたらと感慨深い。。。
前回映画館で観たのが、2020年3月、渋谷シネマヴェーラでの「
ソヴィエト&ジョージア映画特集」でのカルト映画として名高い『炎628(1985/エレム・クリモフ)』で、今回の作品とは大きなギャップがあることに、我がことながら笑ってしまう。
自分の嗜好性の問題かもしれないが、ここ最近、観る映画といえば、小難しかったり、芸術性がやたらと高かったり、プロットが入り組んでいたり、メタファーだらけで1度じゃよくわからなかったりと、真剣に映画に向き合う!みたいな気合いをもって臨むものが続いていた。
そこに、ちょっとしたきっかけがあり、この作品を観ることに。
ポスターからしても、橋爪さんの顔がパッと目に入るし、色使いからしても、『家族はつらいよ』的なテイストで、自分はターゲット外であろう。
実際、客席は、シニアの方が大半だった。
そ、れ、で、も、、、観てよかったと思える作品だった。
何が良かったのかを考えてみると...
一番は、松下由樹と高畑淳子の、大御所女優さん2人のパワー。どちらも名前はよく知っている女優さんではあったが、ドラマをほとんど観ない自分にとって演技自体を目にするのは初めてに等しく、スクリーン上で躍動し、安心感を与えてくれるさまを新鮮に堪能することができた。
特に、主演の水野勝が若いこともあり、オープニングから場があたたまるまでの間、果たしてこの作品大丈夫かな?とハラハラしながら観ているところに、上司である松下由樹の芝居の安定感、場を作る能力の高さが、非常に効いているように感じられた。
それに加えて、橋爪さん演じる夫を攻めまくる高畑淳子が作品のリズムをアップテンポにすることで、水野勝と剛力彩芽の若い2人もいきてくる。
こうなってしまえば、腕がある脚本・監督に委ねればOK。ストーリーはスピードを上げて展開し、少しずつ妻への暖かみを取り戻してくる橋爪さんがとどめをさして大団円。
"終活"ってことで、シニア世代がメインターゲットのホームドラマではあるが、30~50代の自分のような世代が見ると、自然に親のことを思い出し、連絡をとりたくなってしまう映画でもある。
昔は山のようにあったホームドラマだが、なかなか最近は観る機会が減っている。たまにはこういうのいいなと、素直に思えたひとときだった。
なお、高畑淳子が所属するコーラスグループのコーラスシーンで2度歌われる、チューリップの「虹とスニーカーの頃」がやたらと印象に残る。
「わがままは男の罪♪ それを許さないのは女の罪♪」というくだりが、劇中の内容とも合っていたのも良かったのだろう。観終わって数時間、リフレインし続けること間違いなし!
そうそう。劇場で他の観客の笑い声が聞こえたときって、なんだかささやかな幸せなを感じるんだよあ、とちょっと忘れて感覚にもとらわれたひとときだった。
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