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黒沢清の映画『カリスマ』を久しぶりに観返してみたので感想なぞ

黒沢清監督は学生時代に『CURE/キュア(1997年)』を映画館で観て衝撃を受けて以来、かなり好きな映画監督の1人。

彼の監督作は10本以上は観ているが、『ニンゲン合格(1998年)』『ドッペルゲンガー(2003年)』『トウキョウソナタ(2008年)』『クリーピー 偽りの隣人(2016年)』あたりが特に自分の好み。

『カリスマ(1999年)』も2002年頃にレンタルして観て面白かった記憶があるなか、今回Amazonプライムビデオで久しぶりに観返してみたので、ネタバレなしで、感想を記しておこう。

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つくづく感じたのは、この時期の黒沢清は神がかっているなあということ。

はっきり言って、ストーリーが面白いかっていうとそんなことはなく、夢を見ているような内容でありつつも、主役を演じる役所広司をはじめとする絶妙なキャスティングにより、ところどころメリハリが効いてて眠くはならないし、不思議な説得力を備えている。

考えずに感じながら観るべき作品といえる。

難解なストーリーではないから、ストーリーの意味することは理解できるのだが、ストーリーの意味を考えても仕方がないし、おそらく、あらすじを読んでも、この映画の面白さは伝わらない。

セリフはところどころ印象的なものがある。
黒沢清節といもいえる、意味深な感じで使われるのでなおさら印象に残る。
自分にとってはそれも楽しめたが、わかりやすく意味深なので、作り物っぽさを嫌に感じる人もいるかもしれない。

暴力的なシーンもある。
しかし、例えば同監督の『クリーピー 偽りの隣人』のような生々しさはないし、『回路(2001年)』のようなホラー性もない。
だから、暴力シーンに怯まずに済む。さほど心も乱されない。

上でも書いたが、キャスティングが素晴らしいのも魅力の1つ

役所広司のまっすぐに突っ走る感じもいいし、坊主頭が似合う池内博之の純粋そうな役柄もハマっている。風吹ジュンの、人当たりは柔らかくも、頑固な感じのうまさ。大杉漣は、発する一言一言が、それだけ聞くと攻撃的でないにもかかわらず、不穏さをヒシヒシと感じさせる強さを持っている。

まとめると、ふわふわっとした話を、適度に引き締める要素が散りばめられている、そのバランスが神がかっている、ということになるかなあ。 

なお、映画内で、森に生えてる毒キノコを食べて登場人物がラリってるようなシーンがあるってこともあるし、ストーリーがふわふわしているってのもあるので、軽ーく酔っぱらってるときに観るのが、個人的にはお薦め

Amazonプライムビデオでは、現在『ニンゲン合格』も観れるので、近々こちらも観返してみようかと画策中。小泉今日子主演のドラマ『贖罪』も最近Amazonプライムで観たばかりで、ここ最近めっきり黒沢清づいている私でした。

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