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Blend is So Beautiful.

 ブレンドコーヒー。ブレンデッドウイスキー。葉巻。チョコレート。改めてお店を見渡すと、ブレンドされたものに囲まれていることに気づきます。さらに数種類のお酒を日々ブレンドしてカクテルを作っているとなると、どうやら「ブレンド」について、しっかりと向き合う必要がありそうです。

ルーツとしての90's culture

 平成元年生まれのぼくからすると、ブレンド、つまり異なる複数の要素を混ぜ合わせて新しいものを生み出すという創作方法に馴染みがあります。きっとそれは、90年代カルチャーに触れてきたからでしょう。一回り上の年齢の人たちが当時は、ファッションにしても音楽にしても異なるジャンルを混ぜ合わせた作品を作っていて、「ミクスチャー」なんて言われていました。(ロックとヒップホップを混ぜ合わせたのが分かりやすいでしょう。)個人的なぼくの創造性の地盤は、ジャンルの壁をクロスオーバーする感覚、または何を混ぜ合わせるかのセンスをぶつけ合う当時のカルチャーの洗礼を受けているところに帰結するのでしょう。

ブレンドと調和

 「ブレンド」に付随している言葉に「調和」があるでしょう。むしろ、調和していないものはブレンドと言えないかもしれません。例えば、小学校のころ、絵具のパレットに色を足して筆で混ぜ合わせていたあの作業は、色をブレンドしているわけです。しかし、うまくいかなければ汚い色に成り果て授業の終わりに水道で水に流すことになった経験は誰もがあるでしょう。また、カクテルメイキングに関しても同じく、レシピ通りにお酒を入れたとしても、ちゃんと混ざりあった完全に一つの液体にならない限り、美味しいカクテルにはなりません。色にしろ味にしろ何でも、二種類以上のものを混ぜて一つのカタチにするには必ずバランスの均衡がとれている必要があり「ちょうどええ塩梅」にならなければ新しい創作物にはなりません。

 調和は手探りで

 では調和を図るためには、何が要るのか。コーヒーやウイスキーにはブレンダーさんがいて、彼らがブレンドの割合を事細かに決めます。葉巻はトルセドール(葉巻職人)さんが手巻きで葉っぱを巻くし、チョコレートはショコラティエさんがレシピを司るわけです。カクテルならバーテンダーさんですね。全く同じ割合で作っても、ベテランと若手とでは完成度に違いが出てくるのは当然で、まさに職人さんが長年手探りで確立した技術、経験、知恵、データが結集して初めてブレンドが生まれるわけです。最上位のブレンダーさんをマスターブレンダーと言い、バーテンダーさんのことをマスターと呼ぶ通り、まさに彼らこそブレンドのマスターです。

 組み合わせは無限大

 再びお店に話を戻します。"Coffee", "Cocktails", "Chocolate", "Cigar", "Communication"の5つの「C」の組み合わせを楽しんで頂くのが当店のコンセプトです。コーヒーとチョコレート、葉巻とカクテルなど、組み合わせの妙をあてに会話を楽しんでほしいというのが、開店してから一貫してブレずにあるお店の核心です。組み合わせるとは、言い換えるとブレンドするということです。コーヒーも、お酒も、チョコレートも葉巻を、最終的にブレンドするのはお客様自身です。お客様自身がブレンダーとして、その日の気分や体調、好みに合わせてお店の「C」を混ぜ合わせることができるのです。ぼくたちは、全力でそのお手伝いをするために存在しています。お客様が調和のとれたブレンドを作ることができたなら、これ以上嬉しいことはございません。

 5つの「C」。それはその日のあなたとブレンドし、調和するからこそ美しい。


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