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これからの広報デザイン③ 大きな変革を迎える採用広報6つのポイント

こんにちは、広告デザイン会社、自然農園の村瀬です。
私たちは、新たに広報デザインを通じて企業の新卒採用活動を支援しています。
なぜなら、採用活動においては、企業と学生のコミュニケーションが重要だからです。広報デザインの真価がここで発揮されます!

企業における「採用活動」「採用プロモーション」どれも似た意味ですが、広報のデザインを重視する私たちとしては、企業と学生をつなぐコミュニケーションを創る活動の総称として「採用広報」という言葉も使わせていただきます。

現在、学生の就職活動や企業の採用活動には大きな変化があります。
以前は企業が学生を採用する「人的獲得活動」が主な目的でしたが、今では「継続的な関係構築活動」が重要になってきました。
今回は、採用広報のデザインに関わってきた視点から、今後注目すべき6つのポイントを解説します。


point1:「情報を検証する」Z世代と関係性が築けるか?が最も重要!


昨年は、2024年に卒業する学生を採用するのが難しかったと、中小企業様から多くの声が聞かれました。これからも困難な状況が続くと予想されますが、その原因は大きく3つあると考えます。

1つ目は、2025年に向けた学生の数的変化です。

現在、学生数は減少傾向にあります。2025年までに、大学・専門学校の入学定員は約10万人減ると予想されています。さらに、この傾向は続くため、企業間の採用競争もますます激しくなることが予測されます。

2つ目に、「情報を検証する」Z世代の登場です。

Z世代とは、1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代です。
彼らは、デジタルネイティブであり、デジタルリテラシーが高く、情報収集や判断に積極的です。採用サイトだけでなく、SNS、評判を調べる比較サイトなどを横断し「情報を検証」する能力が優れています。
実態の薄い情報などは、すぐに見破られてしまうでしょう。

3つ目に、就活マインドの変化

Z世代は、就職活動に対する意識が大きく変わっています。「自分のやりたいことを実現できる会社に入りたい」という意欲が主流であり、会社の考え方や信念を重視することが増えています。

<point1   確認>
自社の採用広報において、企業理念や事業の意義をメッセージとして発信できていますか? また、Z世代学生の共感を得られる実感はありますか?
 


point2:RJP理論の重要性


学生の価値観が変わってきていることを考えると、情報を発信する際に正確さを重視することが大切です。その正確さに関して注目されているのが、RJP理論です。

「RJP理論」とは、「Realistic Job Preview」の略で、学生が就職後に実際に経験する仕事内容や職場環境などを、事前に正しく伝えることが重要だという考え方です。様々な情報発信の中で、良いイメージや聞こえが良い言葉だけでなく、現実に即したリアルな情報を伝えるべきだという理論です。また、「RJP理論」には学生に対してリアルな情報を伝えないことも反するとされています。この理論を実践することで、以下のような効果が得られると言われています。

  • 学生と企業のミスマッチの防止

  • 応募者の入社意欲の向上

  • 人材の定着率の向上

RJP理論を導入する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 情報の正確性と信頼性

  • 情報のバランス(ポジティブとネガティブ)

  • 情報の伝え方(伝えていないことの確認)

採用広報においては、RJP理論に基づいて、求職者が就職後に実際に体験する仕事内容や職場環境を、採用広報で誠実かつ正確に伝えることが重要になります。

<point2   確認>
自社の採用広報において、RJPに即した、リアルな実態を伝える情報発信はできていますか?
 


point3:三省合意によるインターンシップ改正


2023年4月から、新しいタイプのインターンシップが始まっています。
このなかで、タイプ3と呼ばれるインターンシップは5日以上の期間で行われ、参加した学生は企業からの採用選考の対象になります。これにより、企業と学生の間での採用活動が早くなると予想されています。

経済産業省:インターンシップの推進に当たっての基本的考え方
https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220613002/20220613002.html

新しいインターンシップを採用活動全体としてどのような位置付けで組み込むか?例えば、タイプ3の5日間のプログラムをどう設計するか?などは、とても重要なテーマになります。

<point3   確認>
3年生、もしくは2年生の夏休み期間にむけ、タイプ3インターンシップの準備、大学への案内は進んでいますか?
 

自然農園が実施するタイプ3インターンシップの様子(上2023年8月、下11月)

point4:就職活動の早期化、そして複層化


インターンシップの改正により、就職活動はより早期化し、企業間の獲得行動も早くなりました。これに伴い、1年という期間内に2年生、3年生、4年生の活動が重なる複数化が起きています。それぞれのマインドや視点が異なるため、これに対応するコミュニケーションが求められます。

  • 2年生:企業研究、情報収集がメイン(web、SNS、1day・オープンカンパニー、タイプ3インターンシップ)

  • 3年生:情報体験・検証がメイン(タイプ3インターンシップ、合同説明会)

  • 4年生:情報確認・条件確認がメイン(単独説明会)

<point4   確認>
採用広報は、2年生、3年生、4年生、それぞれに対応した施策、情報発信になっていますか?


point5:採用ファネルに合わせてコミュニケーションを最適化するための、採用広報の3つの機能。


採用活動一連のなかで、興味関心から内定までのプロセスを採用ファネルと呼びます。これを自社の戦略と重ね、採用広報を組み立てる必要があります。

複層化したターゲットに対し、どの年次の学生に、どんな目的で、どんな情報を、どの媒体を使ってコミュニケーションをはかっていくかの具体化です。
採用広報には、採用ファネルに即して3つの機能が重要であり、最適なメデイアや施策と合わせて設計していきましょう。

  1. 情報発信としての機能(初期認知と認知継続の2種)

  2. 情報共有、理解形成、醸成としての機能

  3. 体験提供・創出としての機能

1つ目の、情報発信としての機能
初期認知と認知継続。2つの機能をおさえたデジタル情報発信
①初期認知メディア/・自社採用サイト ・SNS ・イメージ動画
②認知継続メディア/・オウンドメディア ・SNS(ショート動画含む)
・採用コンセプト、コミュニケーションメッセージの作成

採用対象が複層化したことで、特に②の認知継続メディアが重要になります。
例えば、3年を通じて更新変化の乏しい採用サイトは、Z世代の目線では情報発信に重きのない怠惰な企業というマイナスイメージになりかねません。
①の自社サイトは、情報掲示的な要素が強く、RJP要素も薄いのが実情です。
②の認知継続メディアを運用することで、社内の実際の声などをリアルに届けていくなどRJPを実践し、年次ごとの関係性を作り、継続することが可能になります。

2つ目の、情報共有、理解形成、醸成としての機能
直接的コミュニケーション場面の情報共有
①合同会社説明会/・採用ピッチ資料(スライドデザイン)
②単独説明会・内定説明会/・詳細説明資料(スライドデザイン)
他/採用パンフレット、採用動画(長編)

学生と企業が初めて接触する場面であり、学生が調べてきた情報との答え合わせを行う場です。企業は、この場で自社について共感を得ることができるかどうかが重要になります。理解を深めてもらい、共有と共感を創り出すために、ピッチ資料やプレゼンテーションの準備を整えていきましょう。

3つ目は、体験提供・創出としての機能
リアルな初期体験と共感体験
①オープンカンパニー(1day、2day)
②タイプ3インターンシップ(5日間以上、長期)

インターンシップは、従来は会社説明会の延長や職業体験として行われてきましたが、選考が前提となるため、学生と企業双方が意識を変える必要があります。
学生にとっては、貴重な時間を使っての体験であり、より深く関わることで自分の未来を考えることができます。また、企業にとっても選考も視野に入れ、表面的なスキルだけでなく、深層のポテンシャルを見極め、自社とマッチする人物を探す重要な機会となります。

企業と学生の婚前マッチングのような機会ですから、双方が真剣に、有効活用していくのは当然です。そこで、5日間のカリキュラムの設計は緻密な内容が必要であり、人事担当者の大きな課題になります。また、インターンシップの獲得競争も始まるため、自社の取組みを広報し、継続的な関係を作ることが大切です。

<point5   確認>
採用広報において、情報発信、情報共有、体験共有の3つの機能が連携した施策をとれていますか?


point6:採用マーケティングから、採用ブランディングへ


学生の動向を踏まえ、RJP理論に基づいた採用広報の機能についてご紹介しました。採用広報は、インターンシップを含めたコミュニケーションの全体の仕組みを創るものとなっています。ここで、あらためて重要になるキーワードがあります。
採用マーケティングと採用ブランディングです。

これまでの考察を含め、それぞれの定義をしてみましょう。

  • 採用マーケティング → 事業戦略に即す「短期的な人的獲得活動」

  • 採用ブランディング → 企業ブランドが核の「長期的な関係構築活動」

採用マーケティングと採用ブランディング。採用広報は、どちらの方針に属するかで、あり方や中身が変わります。point1からpoint5の流れからも、今後は採用ブランディングが主流になるでしょう。
一方で、採用ブランディングは企業ブランドが中心であり、経営方針や戦略が必要なため、取組みの規模は大きくなります。

進みやすい流れとして、採用マーケティングとして採用広報を始め、変化する時代に対応しながら自社らしさを見つけ、採用ブランディングに進める。採用から見える変革の状況と自社の事業、社内状況を比較し、ブランドを再構築していく。そんな採用広報からのボトムアップ型ブランディングも実践的であり、推奨しています。

<point6   確認>
自社の採用広報は、採用マーケティング、採用ブランディングのどちらですか?


まとめ:採用広報から自社のブランディングにつなげ、理想の採用へ


来年いよいよ訪れる2025年問題も影響し、採用市場はますます大きな変革が訪れるでしょう。その結果、人事担当者の負担は増大していきます。この課題を解決するために、RPO(Recruitment Outsourcing)などの外部サービスを活用することが注目されています。

ただし、採用に関する業務を外部に委託することは、ブランディングの観点から疑問が残ります。そのため、採用計画などの中核業務は社内で行いながら、広報や専門的な領域は外部と協力することが理想です。

自然農園では、採用広報の専門家として、採用サイトのデザインやオウンドメディアの運用、会社説明スライドのデザイン化、インターンシッププログラムの制作など、総合的なサポートを提供しています。

また、これらの活動を通じて、企業のブランディングに貢献できます。
採用広報や採用ブランディングに関しまして、お気軽にお問い合わせください。


お問い合わせはこちら https://www.cizen.jp/contact/

 

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