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変わるもの、変わらぬもの

コラム:フェスティバルディレクター 三浦宏之


梅雨半ばの猛暑日、中野の街を歩く。
昨年のClap!では一番最初の街歩き開催地だった中野ですが、今年は6番目の開催順となりました。昨年はフェスティバルの開催地を東から順に西に進めていったのですが、今年の街歩き開催地の順番は、フェスティバル開催駅名を50音順に並べて、それを逆さまに(ワ行→ア行の順番で)進めるという、至極分かりづらい方法で決めたわけです。
そのような訳で、昨年の中野の街歩きは4月上旬、まだ肌寒い季節の中行われたのですが、今年は梅雨半ばの猛暑の中の開催となったのです。
特にこの日はとにかく暑かった!それでも、街を歩きます。それがClap!。

北口ロータリー広場から見上げる、南側の新しいビル

待ち合わせの場所となったのは、中野駅北口のロータリーにある小さな広場。お昼に差しかかろうとしている広場には、色んな人がいました。
改札から出てきて足早に街に流れてゆく人を背景に、広場のベンチでうなだれている(半ば寝っ転がっているとも言える)若者、レモンサワー缶を傾けているおじさん、ぼんやりしている人、誰かを待っている人(私はこの部類に入る)等々。
その中に、広場に散らかった缶やペットボトルを一人で回収しているお兄さんがいました。前日が土曜日だったということもあってか、広場には結構たくさんのゴミが散らかっていたのだけど、それらのゴミを一人で集めて袋に入れている姿に、なぜか心が締め付けられるような思いがしました。その光景を脇目に、缶ゴミを置き捨ててゆく人もいたりして、こんな風景からも都市のあり方について深く考えてしまうものです。
このままでよい、ということもないだろうと思う。

缶やペットボトルのゴミ箱に貼られたステッカー

中野駅北口広場の状況を背に、街歩きを開始します。
サンモールの東側に並行するように広がっている「ふれあいロード」は所謂飲屋街なのですが、やはりコロナの閉塞した気分から解放されて、昼からけっこうな賑わいです。
昨年のClap!の記事にも書きましたが、私はかれこれ20年近く前に中野近辺に住んでいたので、その頃は「ふれあいロード」で友人とお酒を飲むことも多かったです。こうやってのんびり歩いてみると、やはり懐かしさを感じずにはいられないですね。
当時よく利用していたお店がなくなっていたりして「変わったんだなー」と感じる部分もありますが、商店街自体の雰囲気というものは「変わってないなー」とも感じます。

細かな看板の表記は変わっても、通りの雰囲気は変わらない
外飲み、昼飲みも復活
「ふれあいロード」から路地を折れたところにある、中野新仲見世商店街
映画のオープンセットのような佇まいです

「ふれあいロード」を抜けて、早稲田通りを渡り、薬師通り商店街へと進みます。こちらは「ふれあいロード」と比べると、昔のお店がまだまだ残っている印象でした。もちろん新しいお店もいくつか見られるのだけど、古くからのお店が現役で営業していらっしゃるのは、あるいは地元住民が頻繁に利用する商店街という側面があるからなのかもしれません。

昔からある店
軒先のタライがいい味だしてます

そんな薬師通り商店街に、今年のフェスティバルプログラムが開催される(新しい)ギャラリー“meee”Gallery Tokyoがあります。こちらのギャラリーでは10月28日(土)29日(日)の日程で、アートユニットWorks-Mによるインスタレーション展示「Trash move」を開催することになっています。この「Trash move」という作品は、フェスティバルの会期中に開催地域周辺のゴミ拾いをして、そのゴミを素材に作品を作るという「環境+アート+アクティビズム」が紐付いたコンセプトとなっています。こちらの展示は入場無料プログラムとなっておりますので、ぜひお気軽に足をお運びくださいね。

てくてくと歩いて薬師通り商店街を抜けると、そこにあるのはもちろん「新井薬師 梅照院」です。こちらのお寺には、以前中野に住んでいた時に毎年大晦日の晩に初詣に参るのが恒例となっていました。やはりここも、足を踏み入れるのは20年ぶり(?)になるので、懐かしさがひとしおでした。。。

春には見事な桜の花で彩られます
こじんまりとした山門

さらに薬師さんを抜けて進んでゆくと、新井薬師公園があります。
あまりに暑いので、こちらの公園で一休み。

奥に見える緑のエリアが新井薬師公園です
公園では鳩も一休み

新井薬師公園を出て、中野通りを渡るとそこには池のある小さな公園があります。その池の名は「ひょうたん池」。私が学生の頃、友人がこの「ひょうたん池」の詩を作っていたことを思い出しました。「ひょうたん池」は、なぜ「ひょうたん池」なのかという、当て所もない詩だったような気がします。どうでもいい話ですが。。。

ひょうたん池

薬師さんと公園巡りを終えて、中野セントラルパークへ。

BBQイベントが開催されていたセントラルパーク

私にとって、この中野セントラルパークというのは「新しい中野」の象徴とも言えます。今日も週末のイベントなどが開催されていて、家族連れなど多くの人で賑わっていました。

セントラルパーク近くには、新しい中野区役所が建設されます。以下に現在の建設状況の写真を掲載しますが、昨年のClap!街歩きで全く同じアングルで撮影した同じ場所の写真を掲載していますので、よければそちらも見てみてください。この地の1年の変化が見てとれると思います。来年はさらに大きな変化が見られると思うので、この場所の一年おきの定点観測として続けてみようかと思っています。

巨大なモノリスのよう

この場所の去年の写真は↓こちら。

セントラルパークから中野駅に戻ってきました。

西口開発の景色

西口の一大開発に加えて、南東側のビルはほぼ完成している様子。さらに、先日話題となった「中野サンプラザ」の営業終了、解体や、現区役所の移設などもあって、いよいよ中野が大きく生まれ変わろうとしているんだなと実感します。

一旦、その役目を終えた中野サンプラザ
サンプラザ前の広場の時計は、まだ時を刻んでいます

中野区役所脇にいる犬たちの銅像は、どうなるのかなというところがとても気になるところです。できれば、移設するなどして、なんらかの形で残して欲しいものです。

中野の犬たち

昔の中野があって、今の中野がある。その中で変化してゆくものもあるけれど、変化ぜずに残るものもある。未来に向けて、変わってゆくものと変わらないもの。
これからも時間をかけて、ゆっくりと眺めてゆきたいなと思います。
そんなことを感じた、2回目の中野の街歩きでした。

中野で拾ったアートの種


東・南・中・西・北
ライン・パース・グラデーション
透明のバルーン

Center line art festival Tokyo(中央線芸術祭)2023 は「The time to sense.」をテーマとし中央線沿線地域で美術展示やパフォーマンス、ワークショップ、トークイベントなどのプログラムを開催します。
市民生活へと深く浸透する芸術創造の場を創出し、東京中心部における文化圏を西東京地域に緩やかに拡大してゆくためのプラットフォームとして継続することによって、地域コミュニティ、民間を主体とした文化創造を促進してゆくことを目標におきながら、西東京地域から全国に向けた発信を市民とともに行ってゆきます。 

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