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きままにあるく

コラム:Clafters 伏田茉莉香


猛暑日。高円寺を歩きました。私にとって初めての街歩きです。
今回私は地図を全く見ず、ただぶらぶらと散歩したのですが、そのせいで写真を見返してもこれはどこにあったか…などということは殆ど思い出せなくなってしまいました。
たまにはそういう気ままな散歩もありでしょう。

さて、高円寺と言えば壁に書かれたラクガキ(グラフィティ)です。どこを歩いても必ずと言っていいくらい出会います。ストリート文化が、まるで街全体に染みわたっているように感じられました。もはや、アートの域です。

凄い迫力
ラクガキかと思ったら、阿波踊りの広報イラストだったり

魅力的なお店や施設もたくさんあったけれど、私はあえて今回は住宅地を周回することにしました。なんでもない場所に潜む些細な物事も、深く見つめると小さな面白さを見出すことが出来るのではないか、と考えたからです。

階段を境に、鏡越しの世界が生まれてるみたいです
公園にあるオブジェ。丸の部分を切り取ると一つの絵になりそうです

この日はとにかく暑い日で、空も刺すような快晴だったものですから、光と影のコントラストが良く映えていました。喉がカラカラな中汗をきかながら歩いていると、ペットボトルの光をみるだけでなんだか喉が潤うような、オアシスを見つけたような気分になったのです。きっとこの日でなければ生まれなかった気づきでしょう。こういった天気由来の感情は、写真では伝えきれないのがもどかしいところです。

暑すぎて二度カフェに寄ってしまいました。本当に、汗がすごい

一人で歩いていると、鏡が良く目につきます。話す相手がいないからわけもなく周りを見渡す、という無自覚の行動によるものかと思います。鏡とは自分を映し出すものですから、見つけると自分の存在に改めて気づかされます。
単なる鏡の中ではなく、鏡の周りのものに注目してみるとこれもまた面白い。
こちらはむしろ、写真にするからこそよい画になったりします。

色のコントラストがいいかんじ
鏡の中の私に注意して、という意味になっている?

街を歩いていると、ふとこんなものを見つけました。よく見ると、中におもちゃの宝石がぽつんと置かれています。誰が置いたのか、何を思って置いたのか。暗い中にもかすかな光を感じて、チープで切ないながらなんだかおしゃれです。

なんでもないような立ち入り禁止コーン。よく見ると、左上からZ方向に行くほど、形が崩れていっています。あきらかに偶然の産物ではありますが、まるでコマ撮りのアニメーションを一枚に収めたようなドラマチックさを感じませんか?

この日は阿波踊りが行われており、途中から太鼓の音や掛け声が聞こえてきました。縁日も催されていて、仲通りではおじさんが焼きそばを焼いていたり、風船職人さんがいたり。子供たちがたのしそうに笑っていたのが印象的です。各地にポスターも貼ってあり、夏祭りを高円寺全体で盛り上げようという意気を感じました。いいですね。

音に導かれて段々人が集まってきていました

こんな感じでだらだら歩き、阿波踊りを見送りながら集合場所へ行きました。

今回の街歩きを通して面白いなと思ったのは、高円寺特有の文化集積、カオスさといったものが、商業施設があるわけではない住宅地にまで及んでいるように感じられた点です。町中に当然のようにグラフィティがあるし、建物もなんだかオシャレ。加えて寺院もあるということで、高円寺らしさが前面に出ているように思いました。

もしくは、私が高円寺に住んでいないからこそ、高円寺に対して新鮮味を感じることが出来たのかもしれません。
この日はあまり訪れることが出来ませんでしたが、レトロでかわいいお店や古本市もたくさんありました。また行きたいな、そう思わせてくれる魅力的な街でした。


Center line art festival Tokyo(中央線芸術祭)2023 は「The time to sense.」をテーマとし中央線沿線地域で美術展示やパフォーマンス、ワークショップ、トークイベントなどのプログラムを開催します。
市民生活へと深く浸透する芸術創造の場を創出し、東京中心部における文化圏を西東京地域に緩やかに拡大してゆくためのプラットフォームとして継続することによって、地域コミュニティ、民間を主体とした文化創造を促進してゆくことを目標におきながら、西東京地域から全国に向けた発信を市民とともに行ってゆきます。 

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