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【ショートショート】正義の味方「餃子の皮マン」の虚無

「 え~ん、え~ん、お腹がペコペコだよ~ ToT 」

お腹を空かせた子どもが泣いている。


そこに現れたのは?!

そう、正義の味方、我らが「餃子の皮マン」!


「正義の味方、『餃子の皮マン』参上! ボクが来たからもう大丈夫だよ! 具は別売りだけどよろしくね!」

子どもは泣き止み、チラッと「餃子の皮マン」を見た。
そして、「うわわわわ~ん!! もののけ~っ!」と、さっきより大きな声で泣き出した。

「もう泣かなくても大丈夫! お腹が空いたのなら、ボクの顔を食べるといいよ!」

そう言って、「餃子の皮マン」は自分の顔を千切って、子どもに分けようとした。

しかし、お腹ペコペコな子どもは、「もののけ」のように「餃子の皮マン」の顔に食らい付き、そのまま丸ごと平らげた。

「ペッ! 具の入っていない餃子なんて、おいしくも何ともないやい!」

すっかり食べてしまった後で、子どもは毒づいた。

しかし、人間の「口」に相当する部分もすっかり食べられてしまった「餃子の皮マン」は、子どもに何ら言い返す術もなかった。

それどころか、人間の「脳」に相当する部分もすっかり食べられてしまった「餃子の皮マン」には「切なさ」や「悲しさ」、「悔しさ」などといった如何なる感情も沸き上がることはなかった。

そこにはタダ、、、「無」、、、永遠の「闇」が横たわるだけであった。。。

小腹を満たした子どもは、胴体と下半身だけになった「餃子の皮マン」を置いて、どこかに行った。

フードロスが発生しなかったことが、唯一の救いだった。

(完)



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