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■受験うつの定義


「受験うつ」とは受験勉強が思い通りにいかない、自分には価値がないなどと思うことが典型例です。強いストレスを受け続けることで脳の機能障害が発症機序となります。多感な時期である10代~20代前半は、周りの大人にとっては些細なことが深刻な悩みになり得ます。自身の状態を正しく理解して、言葉にすることができればいいのですが、できないことも少なくありません。

「新型うつ」の主な原因として多くの研究者が主張しているのが、自己愛の暴走。自己愛は、誰でも持っているものです。しかし、これが過剰に膨れ上がり、現実との間で折り合いを付けられなくなると、「自己愛性パーソナリティー障害」を起こします。受験生の場合、自分自身の能力を過剰に評価してしまうため、受験勉強で保護者や自分が期待している評価を得られない結果、ストレスとなり、うつ状態になってしまうケースが多く見受けられます。受験生の場合は、これが「新型うつ」の原因になると考えられています。

■なぜ子どものうつ病が多発しているのか


近年、うつ病を発症する未成年のお子さまが増加し、厚生労働省の調査では、未成年の気分障害患者数は、およそ15万人もいることがわかっています。特に「受験うつ」と呼ばれる症状を訴えるお子さまが多くなっています。「受験うつ」といっても、受験生特有のうつ病が存在するわけではなく、受験期に発症するうつ症状の通称のことです。

うつ病のお子さまが増えている主な原因としては、お子さまの精神面が弱くなっているということが挙げられます。これは日本に限ったことではなく、欧米などの先進国にも言えることです。物質的に豊かな世の中になり、ハングリー精神のないお子さまが増え、昔よりも精神面が弱まっています。

また、子どものころからゲームに慣れ親しんでいるお子さまが多いことも影響しています。自分が実際に体を動かし、努力した結果、快感を得るのではなく、手先だけを動かして簡単に快感を得られる習慣がついてしまっているため、一生懸命にがんばることが苦手なお子さまが増えているのです。そして、現在のように成熟しきった社会では、戦後の日本のように、これから社会が進展するという期待を持てないため、子どもたちも前向きな心理状況になれないのではないかと考えられています。

■10代のストレスの原因とは


「うつ病」はあらゆる世代にみられる精神障害ですが、厚生労働省の患者調査によると、10代から急増しています。また成人で、うつ病を患っている人を調べてみると多くが10代で発症しています。

他者意識の芽生える10代には様々なストレスがあり、周りと比べてしまうところがあります。受験生が「うつ病」を患うことは、決して珍しいことではないことがわかってきました。とくに中高生の約70%は勉強や進路に悩みを抱えており、毎日勉強しているにも関わらず、成績を上げることができなければ、自分のしてきた努力と現実のギャップによってストレスが強くなります。また受験勉強などしたくもないのに、周りの受験モードの雰囲気や行きたくもない塾に通わされることは、さらなるストレスになります。

医師家庭では、両親から大きな期待があり合格が難しい大学を受験しなければならないようなこともあるかもしれません。実際に私も高校3年生のときに周りが急に受験モードになり、成績が軒並み低下していった際に大きな不安から夏休みに動悸やめまいの症状に襲われ、勉強が手につかなくなりました。幸いにも小学校からの幼馴染に弱音を吐きだすことができたので救われましたが、学校では息苦しさを感じていました。

そう言うこともあり、私自身が親になった時には、抑えつけるような、「勉強しないとダメだぞ!」などということはしません。適度な学習刺激は必要ですが、加減が大事です。お調子者の1番上の娘には、少し厳しかったかも知れません。2番目の息子は言わなくてもやるので、たまに学習刺激をします。3番目の娘は自信がないようなので、陽キャ目指して褒めて伸ばすようにしています。

そんな風に、子どもの性格によっても対応を変えていました。では次の記事では、実際にどうしたらいいのかの考察も含めてお話させていただきます。

参考文献:

  1. Jane Garbutt, Sherry Dodd, Shannon Rook, Sharon Graham, Ruoyun Wang, Randall Sterkel, Katie Plax. Improving Follow-Up for Adolescents With Depression in Primary Care.: Pediatrics. 2022 06 01;149(6); pii: e2021051107.

  2. Laila Tanana, Asam Latif, Prasad S Nishtala, David Taylor, Timothy F Chen. An International Comparison of the Information in the Regulatory-Approved Drug Labeling and Prescribing Guidelines for Pediatric Depression.: ournal of child and adolescent psychopharmacology. 2021 05;31(4);294-309. doi: 10.1089/cap.2020.0154.

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