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フェミニズムについて〜誤解を恐れずに書いてみる

こんにちは精神科医のはぐりんです。
※この記事は全て読むのに5分ほどかかります。お時間がない方は太字の要点だけでも読んでいただけたら嬉しいです。

先日、『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』という本を読みました。

フェミニズムに関しては個人的に以前から興味を持っていた分野で、入門書を探していた中で最も読みやすそうで、かつ読者レビューの評価も高かったこの本を選びました。

初学者が軽々に語れる分野ではないとは思うのですが、今回は誤解を恐れずに書いてみたいと思います(と言っても内容的にはほとんど書籍紹介です)。

本の題名にもある上野千鶴子先生、言わずと知れたフェミニズムの第一人者で、上野先生と言えば、2019年の東大入学式での祝辞が大きな話題を呼びました。

東京医大の不正入試問題の翌年でもありその話題にも触れ、女性というだけで東大生と堂々と名乗れないそもそも東大入試を目指さない、その背景には女性に対して「かわいくいなさい」「男性を脅かさない」といったジェンダーバイアスがあると述べられました。

祝辞で語られた内容はもちろん、日本の最高峰の大学ともいえる東京大学の入学式の祝辞に、フェミニズムの第一人者である上野先生が選ばれるということ自体が当時はセンセーショナルで、かなり話題になりました。

前置きが長くなりましたが、本の内容に関して、上野先生と漫画家の田房さんの対話形式で進みます。対話形式の口語体のためスラスラと読みやすく、またフェミニズムの歴史上の出来事(ウーマンリブなど)関わった人物用語解説(ホモソーシャルなど)、また家庭や社会の中での女性蔑視について具体的な場面を通して分かりやすく説明されていました。

特に印象に残った言葉が「一人一殺」「既得権益」。夫婦関係において、夫は自分で変わろうとはしないため、とことん妻が向き合い口論して夫を変えていくこと(また変えていくべき)を指して「一人一殺」をスローガンに、それを積みあげて社会も変えていこうというものです。

「既得権益」は、歴史的経緯により維持している権利や利益、のことを指しますが、男性は既得権益を自覚した上で寄りかかっているとも述べています(育児しなくても育児放棄と言われない、女性よりも賃金が多い等)。

「結婚をナメたツケは子供に回る」も強烈でした。前述の「一人一殺」にも共通しますがとことん夫婦お互いの人生に向き合う覚悟がなければ結婚するなということ。両親の様子を敏感に察知する子供をあなどってはいけない、とまさに当たり前のことをピシャリと仰るあたり、書面を通しても上野先生の圧倒的な存在感が伝わってきます

読破後の感想。やはり本を一冊読んだだけで軽々に語れる分野ではないということ。「読みやすい」と「理解できる」はまた別物で、女性でなければ感覚的にわからない部分が実際にはあると感じました。

フェミニズムは基本的に思想自体は自由人によって捉え方があり「一人一派」とも書かれています。

私個人の解釈でフェミニズムを一言で表すなら、社会的に期待される役割(結婚、出産、仕事や家庭内の役割、容姿、女性らしさ)に縛られない、また周囲もそれを期待しないし強要しない、その人らしく振る舞えることがフェミニズムなのではないかと現段階では解釈しています。

最後に、男性にこそ、この本を読んでもらいたいと思いました。多数の女性患者さんを診ている精神科医として、共働き世帯の夫として、また子を持つ親としてそう感じました。

最後までお読みいただきありがとうございました。








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