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入院中にスマホでゲーム!?

こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。

今回は精神科病院での入院生活について、特に
スマホの扱いについて書いていきたいと思います。
※長いのでお時間ない方は、まとめ〜だけでもお読みいただければと思います。

入院中はどんな生活を送っているのか

精神科病院に入院中の方は一体どんな生活を送っているのでしょうか?

比較的落ち着いている方を例に挙げると、起床と就寝、三食の食事時間は決まっています。薬も決まった時間に配薬され、退院が近くなると自己管理をしてもらったりします。ここら辺は身体科の入院と変わりありません。

食事の合間には作業療法(OT活動)に参加します。体操やクラフトワーク、書字や計算などを行い、外出の許可が出ている患者さんは、院内の敷地内で軽く体を動かしたりして過ごします。

外出と言えば、退院が近くなると試験外出・外泊を行う方もいます。いきなり退院して調子を崩さぬよう、段階的に退院後の環境に慣らしていくためです。

他には主治医の診察、必要な患者さんには心理士のカウンセリングや心理検査を受けてもらいます。他の空いた時間には、新聞を読んだりテレビを見たり、あるいは他の患者さんと談笑したりトランプやボードゲームをしたりして過ごされています。

こうして書き出してみると結構いろいろと出てきますが、結論を申し上げますと、入院生活は時間を持て余す方が多いです。

そこでスマホ問題が出てきます。多くの患者さんが、中には入院直後から、スマホの使用を希望されます。

入院中にスマホは使用できるのか?

病院にもよるとは思いますが、おそらくほとんどの病院でスマホの使用は可能となっていると思います。私の病院ではコード類は危険なためお預かりし、ナースステーションで充電し、許可した時間内でスマホを患者さんにお渡しし使ってもらっています。夜間は全員預かり、患者さんによっては1日1-2時間と時間制限を設けたりします。

私の場合ですが、入院当初はどんなに短くても1週間はスマホの使用を禁止しています。理由としては御推察のとおり、スマホは精神衛生上良くないからです。スティーブ・ジョブズやビルゲイツが、自身の子供にスマホを買い与えなかったのは有名な話です。

一方で状態が改善してくると、スマホの使用を許可しています。家族や友人に連絡を取ったり、公共料金の支払いやアパートの大家さんに連絡する必要性も出てくるからです。

「入院中にスマホを使わせるなんてとんでもない!」と思われるかもしれませんが、考えてみれば身体科に入院する際には、体調さえ良ければスマホは使いたい放題です。精神科の場合は、むしろ制限がキツイと言えます。

入院中にスマホでゲーム!?

入院中にスマホの使用許可がおりると、ゲームをしたり映画を見たり、あるいはYouTubeを見る方が出てきます。

ベッドに横になりながら、空いた時間はずっと使用している方も珍しくありません。傍から見ると一体何のために入院しているのかわからないような状態です。身体科の入院と違って、治療のゴールとなる指標がないので、余計にそう感じるのでしょう。

そうすると先ほど申し上げた、精神衛生上悪影響が出る、こと以外にも様々な弊害が出てきます。

まずは患者さん間の不公平感が出てきます。同じ部屋でスマホを使用している方がいると、「なぜ自分は使えないのか」、と不満が噴出します。加えて音量の問題もあります。あたりかまわず大音量で音楽を聴いたり動画を視聴する方もいるため、患者さん間のトラブルの原因や治療の妨げにもなり得るのです。

まとめ~入院中のスマホ使用に関する私の見解

ということでまとめますと、

・入院中は時間を持て余す
・スマホの使用を許可している病院も少なくない
・スマホの使用は精神衛生上良くない
・病棟内でスマホを使用している患者さんがいると、使用できない患者さんの不満が噴出、トラブルの原因や治療の妨げにもなり得る

私なりの見解ですが、入院患者さんがスマホを使用できるような状況/状態であれば、病状的に退院も近い状態、ということが言えるかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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