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がん保険てどんな保険?

今や2人に1人がガンになると言われているこの時代。私達は何を考え、何をすべきなのでしょうか?国立がん研究センターによれば一生のうちにがんと診断される確率は男性65.5%、女性51.2%
(2019年データ)となっています。ガンを発見する医療技術も進んでいる事もあり、確かに2人に1人が罹患しています。男性に関してはそれ以上です。下の表は小さいですが、年齢別に罹患する確率を表した物です。

2015年国立がん研究センター資料

男女共に40代から徐々に確率があがっています。
これを見ると2人に1人がガンに罹患する確率は大分年齢を重ねてからとなります。なので若い年齢層にはあまり関係がないような気がします。ましてやがん保険などは必要なく感じてしまいます。
更に下の表は男女別、部位毎の罹患順位です。

国立がん研究センター資料参照

男性は前立腺、女性は乳がんが一位となっています。前立腺ガンは60歳以降に罹患者が増えている傾向にありますし、乳がんは40代後半からピークを迎えると言われています。しかし、罹患する年齢や部位はあくまでも統計ですので、いつ自分がどうなるかは分かりません。女性特有の婦人科系ガンは若年層でも罹患する話をよく耳にします。
そこでガン保険は不要説がありますが、本当に不要なのか、必要なのか見ていきたいと思います。


高額療養費制度

よく保険不要説論の中に高額療養費制度の名前を聞きます。高額療養費制度とは医療費が高額になった場合に、その方の収入に応じて支払う医療費の限度額が決められている制度です。参考に下記表は69歳以下の場合になります。

厚生労働省保険局ホームページ参照

例えば、年収400万の方が30万窓口負担があった場合80,100+(300,000-267,000)×1%=80,430円となります。30万の医療費は3割負担分になりますので、実際には100万円の医療費がかかっている事になります。それが高額療養費制度を使うと80,430円しか払わなくて済むと言う事になります。どうでしょう?100万の医療費を80,430円で受けられて安く感じましたでしょうか?それとも高く感じましたでしょうか?

一回位の治療費なら何とかなるかもしれません。ですが、ガン治療は長期に渡る事もありますのでこの金額が毎月かかったとしたらどうでしょう?
そんな時の為に多数回費用がかかった場合に負担を減らしてくれる仕組みがあります。これも年齢や収入によって違いますが、上記の例だと12ヶ月以内に3回以上限度額を超えた場合には44,400円となります。

ちなみに高額療養費制度は同じ月にかかった医療費が対象となります。なので月をまたいで高額になってしまった場合には対象にはなりません。
また、差額ベット代や食事、先進医療費は対象外となります。(先進医療費は保険適用外の為)


傷病手当

傷病手当とは社会保険加入者が病気やケガで休んだ時に4日目以降健保組合から給与の約3/4が支給される制度です。こちらもよく医療費関係の話しで出てきますが、手当の支給は最長で1年6カ月となっています。闘病生活が長く続き、1年6カ月を過ぎてしまった場合には延長はありません。その場合は雇用保険や障害年金の検討も必要になってくるかもしれません。但し症状が改善し一定期間経過後、また同じ症状で休む場合、又は違う症状で休む場合には再度支給される可能性はあります。その際は保険組合の判断になりますので確認してみると良いでしょう。


がん保険は必要?

ここまでお読みいただいてガン保険は必要と思いましたでしょうか?それとも不要と思ったでしょうか?
日本には公的な制度が充実している為、早期に完治したり、預貯金に余裕がある場合には必要ないのかもしれません。ただ実際になってみないと分からないですから、万一に備えておいてもいいのでは?と個人的には思います。

ガンに罹患した場合、約50%の人が収入が減少しているそうです。上記の高額療養費制度や傷病手当金を受け取ったとして、今まで通りの生活ができるかどうかが問題となってきます。
もし、教育費がまだかかるお子様がいらっしゃったり、住宅ローンを抱えていたらどうでしょう?
もしくは一人暮らしで他に頼る人がいない方もいらっしゃるかもしれません。保険と言うのはその方の年齢や家庭環境、収入、預貯金などによって加入の有無や保障内容が変わってくると思います。長い人生、何が起こるか分かりませんから、必要か不要かはご自身でよく考えて判断されると良いと思われます。


ガン保険の種類

ここからはガン保険の種類についてお話ししていきたいと思います。ガン保険には大きく分けて4タイプあり、診断給付タイプ、治療費給付タイプ、入院給付タイプ、実額補償タイプとあります。

1.診断給付タイプ
診断給付タイプはガンと告知されたら保険金が給付されるタイプです。シンプルで分かりやすいですが、条件や給付内容は保険会社によって変わってきます。
例えばガンと言っても上皮内ガンなのか悪性新生物なのかによっても変わってきます。上皮内ガンとは粘膜の上層部に留まっているガンで、転移する可能性が低く切除してしまえば完治する可能性が高いガンになります。
一方悪性新生物は血管やリンパ管があるところまで入り込んでしまいガン細胞が大きくなったり、他の臓器に転移する可能性があることから、治療の難易度が上がっていきます。その為上皮内ガンの場合は給付が支払われないことや、悪性新生物の場合の50%が給付と言う事があります。それとは逆に上皮内ガンでも悪性新生物と同額の保険金を支払う保険会社もあります。
また、給付は一回のみの場合もあれば複数回支払われる場合もあります。支払い期間も年1回又は2年に1回とあります。2回以上受け取れる場合は各保険会社によって条件が異なりますので、注意が必要です。

2.治療費給付タイプ
治療費給付タイプは治療ごとに毎月一定額給付されるタイプです。治療には抗がん剤、放射線、手術、ホルモン療法などありますが、治療法によって給付対象や給付回数が変わってきます。
例えば抗がん剤、放射線治療は無制限に月10万円給付される保険もあれば、ホルモン療法は通算120カ月までと制限がある保険もあります。
また手術給付はオプションだったり、逆に手術や入院も保障に含んでいる保険会社もあります。
治療は長期に渡る可能性もありますので、無制限と言う保障は安心できます。但し保障の対象にならない治療法だと保険金は受け取れませんので、よく確認しておくことが大切です。

3.入院給付タイプ
こちらは入院するごとに受け取れるタイプで、決められた日額分を入院日数分だけ受け取れます。
但し最近の治療は通院が主流になっており、入院日数は少なくなってきていますので、保険の効果としては薄いかもしれません。また、医療保険に加入している場合には保障内容が重複しますので必要はないかと思います。

4.実額保障タイプ
こちらは実際にかかった医療費分だけ支給されるタイプです。自由診療も含め医療費が高くなっても保障されていますので安心して治療を受ける事ができます。但し通院保障は1,000千万円など限度額が決まっていて、保険期間も他の保険とは異なり5年ごとに更新など定期タイプとなっています。更に更新の度に保険料も上がっていく特徴があります。

以上4タイプとなりますが、保険会社によって単体の保険もあれば、色々なタイプが組み合わさった保険もあります。その中でも診断給付タイプは人気があるようです。現金がまとまって入る為、治療費はもちろん、病院への交通費や食事代、働けない期間の収入補填など使い方は多様です。また、治療に対しても年々進化していますので、現在主流の治療法から変わったとしても対応できます。大体100万、200万と設定されているところが多く、金額と給付回数により保険料が設定されています。

ガンの治療はもし長期に渡った場合には経済的負担は大きくなると思います。その点、治療給付が無制限の保険では負担額が減りますし、診断給付と組み合わせている保険もありますので、選択肢の一つとして考える事もできます。
また、働き盛りの時だけ実額型の保険に入ると言うのも手だと思いますので、ご自身の考えにあった保険を選択されると良いでしょう。

特に女性は若い時に罹患する可能性もありますので、ガン検診と共に早めに保険に入っておくと安心かもしれません。保険と言うのは年齢を重ねるにつれ病気やケガのリスクが高くなってくるので、加入条件が厳しくなってきます。保険料も合わせて上がっていきます。気がついた時に慌てて加入しようとしても、思った保険に入れないかもしれませんので、若い内に手頃な保険に入っておくと良いと思います。また、保険だけに頼らず健康管理はもちろん預貯金も万一に備えておくと良いでしょう。 
男性は定年後に罹患する可能性が高くなっていますので、それまでに貯蓄をしっかりしておくのも良いと思います。定年後まで住宅ローンを組んでいる場合にもし万が一の事があったら大変です。
2人に1人が罹患すると言われているガン。参考になりましたでしょうか?どう向き合っていくか考えるきっかけになればと思います。


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