一杯のコーヒーに温もりを
デージーの花が咲く頃、とある街に旅行に来ていた。一緒に行くはずだった人は隣にいない。綺麗な街並みも美味しい食べ物も一人で味わうことになるなんて。私の頬を冷たいものが零れ落ちた。
どのくらい歩いたのか、気がつくと一軒のカフェの前に辿り着いていた。
店頭に置かれた見慣れない道具を見つめていると、中から店主らしき人が出てきた。
「お客様。よろしければお召上がりください。」と穏やかな笑顔でカップを差し出してくれた。
「こちらは、店へ次に来る人や貧しい人達のために、あらかじめ2杯