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成長期のジュニアにとってストレッチは大事な練習の一部です!

 今回のテーマは、成長期のケガ予防です!ジュニア選手の皆さんはもちろん、家族や指導者の方々にも知っておいてもらいたい知識をお伝えしていきます!

この記事のポイント

 今回の内容でポイントとなるのは次の2つです。

・成長期には身体が硬くなりやすく、ケガのリスクが高まる!
・身体が硬くなることによるケガを防ぐために、ストレッチをしっかりすることが大切!

 今回はこれらについて、科学的なデータに基づいて解説します!多少専門的な用語が出てきて分かりづらい部分もあるかもしれませんが、ポイントはこの2点に尽きます。細かいデータなどが面倒な方は飛ばし読みでOKです!

成長期には身体が硬くなりやすい?!

 成長期特有のケガのリスクとして、身体が硬くなりやすいということがあります。もう少し具体的に言えば、身長発育のピーク前後で柔軟性が低下するのです。

画像1:身長発育のピーク前後で柔軟性が低下する

 そもそも筋肉は複数の骨で作る関節をまたぐようにして骨に付着していて、筋肉の伸び縮みによって関節が動く仕組みになっています。そのため、筋肉の柔軟性は、画像1の図に示されているように関節がどれくらい動くか(これを関節可動域と言います)の角度で確認できます。画像1の表は、中学サッカー選手の身長発育のピーク前後で可動域を測定し、柔軟性の比較を行った結果です。一部の筋肉で柔軟性が低下していることが読み取れます。
 なぜこうした柔軟性の低下が起こるのでしょうか?それは、骨と筋肉の発育に時間差があるためだと考えられています。

骨と筋肉の発育には時間差がある?!

 骨と筋肉の発育の時間差とは何か、もう少し掘り下げて見ていきましょう。
 画像2のグラフから、発育のペースとして身長(≒骨の長さ)の方が除脂肪量(≒筋肉量)より早く増加のピークを迎える事が分かります。

画像2:骨と筋の発育のピークには時間差がある

詳しく見たい方への用語解説
除脂肪量(正確には除脂肪除骨量)=体重−体脂肪(と骨)≒筋肉量
・発育年齢=暦年齢(実際の年齢)−最大身長増加年齢(最も身長の伸びる年齢)
※成長期の始まる年齢には個人差があるため、ここでは発育年齢を基準に比較しています。

 骨の長さが筋肉より先に成長すると言うことは、骨に付着している筋肉は両端を引っ張られたゴムのような状態になり緊張が高まります。身長発育のピーク前後で身体が硬くなるのはこのためだと考えられているのです。

身体の硬さが原因となる成長期のケガの例

 こうした成長期の身体の硬さが原因で起こるケガの一例として、オスグット病を紹介します。
 これは、太ももの前側の筋肉が硬くなることでその付着部である膝下の骨に引っ張る力が加わることで、画像3左の写真のように骨が隆起してきて痛みを発するというスポーツ疾患です。重症化すると、筋肉の付着部の骨が剥がれる裂離骨折に至ることもあり、注意が必要です。
 成長期にはこのように筋肉の硬さに由来する骨や関節のトラブルが起こりやすい事が知られています。

画像3:成長期に多いケガの例(オスグット病)

ストレッチをしてケガを予防しよう!

 ここまで見てきたように、成長期は身体が硬くなりやすいためにこの時期特有のケガのリスクがあります。そこで、ストレッチをしっかり行って身体の柔軟性を高めることがケガの予防に重要なのです。
 ケガをしてしまっては当然ベストなプレーはできないので、成長期のジュニア達には、ボールを打つ練習と同じくらいストレッチも重要だと言っても過言ではないでしょう。

 身体の硬さの原因となる筋肉の緊張を緩めるには、ゆっくりと反動を使わずに筋肉を伸ばし数秒から数十秒キープするスタティックストレッチと呼ばれる方法が適しています。長くなったので具体的な方法については別の機会に紹介したいと思います。
 ジュニア選手やその家族、指導者の皆さんはぜひ、ストレッチをしっかり行ってケガの予防に努めていってくださいね。

 最後まで読んでいただきありがとうございました!この記事が皆さんのテニスライフのお役に立つものであれば幸いです。

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