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ヴェネツィア特有の名称

迷路のように入りくんだ、ヴェネツィアの街を地図を片手に歩くとき、きちんと読み取りたいのが上記の写真のような表示板です。
これは「nizioletto」(ニショエット=小さなシーツという意)と呼ばれるもので、白地に黒文字で道の角、広場、橋の付近などの建物の壁に直接、ヴェネツィア方言で記入されています。

イタリアのみならずヨーロッパの街ではたいてい、通りの名前と番地に広場の名称を把握しておけば目指す場所に着くことができます。
が、ヴェネツィアでは住所表示も例えば「Dorsoduro 3136」のように地区名のあとに番地があるだけのもので、そこがどの通りにあるのか、どの広場や橋の近くなのかということが分からなければ、地元住民でも簡単ではありません。

ニショエット

例えば写真にあるCAMPO(カンポ)は広場と言う意味で、「ドルソドゥーロ地区のサンパンタロン広場」ということです。
また、SOTTOPORTEGO(ソットポルテゴ)はトンネル、CALLE(カッレ)は建物に挟まれた通りのこと、RAMO(ラーモ)は通りから枝分かれした細い道のこと。

RIO(リオ)は小運河、RIO TERRA(リオテラ)はかつて運河だったのが埋め立てられた所、FONDAMENTA(フォンダメンタ)は運河沿いの通り、またSALIZADA(サイザーダ)は舗装された道と言う意味です。
昔は主要な通りだけが石畳が敷かれていて、他は雨が降るとぬかるみになる土や、よくてもレンガの道だったからです。

sestiere(セスティエレ)というヴェネツィアの六つの地区が制定されたのが、西暦1200年前後で、六人のそれぞれの地区代表であるconsigliere(コンシリエーレ=評議員)が選出され始めたということです。nizioletto(標識)の中の呼び名もこの頃にはすでに使われていたといいます。

800年前から、そしてナポレオンの侵攻によりヴェネツィア共和国が終わりを告げた18世紀も、かつてはヴェネツィア共和国の公用語として、また現在は方言として地元の人に親しまれ使い続けられている言葉です。

その独特の音には、いにしえの夢多きリアリストであったヴェネツィア人たちの心意気やたましいが宿っています。

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