見出し画像

走ると決心→挫折、の繰り返し ◇うつ闘病記 その7◇

2019年春にうつを発症し、その後まもなく3か月は10時から16時までの時短勤務にしてもらったが、思い返せばこの期間、やたらと動こうとしていた。

会社は休養をとって早く元気になるようにと時短にしてくれているのに、じっとしていると不安という怪物に羽交い絞めにされているようで、そこから抜け出そうと必死になっていた。

ヨガ教室は1度しか行けずに終わったので、会社の昼休みにウォーキングをすることにした。
お弁当をほんの少し食べて(この頃は再び食欲不振で食べ物が喉を通らなかった)、30分ほどオフィス周辺を歩いたが、まったく気持ちが安定しない。
午後の仕事もさらにしんどくなる。

数回歩いた後、やめてしまった。

◆◆◆

回復方法を求めてネットサーフィンを続ける中、有名なランニングコーチの金哲彦氏がうつ病患者たちにランニング指導をした際の記事を見つけた。
程度の差はあれど、どの人にも良い影響が見られたという。

もともと走ることはけっこう好きで、30代の頃は遅いながらも、それなりの距離を走っていた。そのおかげで心身共に安定していた。

よし、やっぱりランニングだ!と奮起した。
(昼休みのウォーキングも挫折したのに・・・)

◆◆◆

仕事から帰ってきて夕方に走るのはとてもではないが無理だったので、朝走ることにした。7時過ぎ。太陽が輝き、気温もちょうどいい。ランニングには快適な季節だ。

不眠で重い体を家から引きずり出して、まずはウォーキングから開始。
通り過ぎる人を見ても、木々の緑を見ても、恐怖心がつのる。頭を抱えてしゃがみこんでしまいたくなるが、ぐっとこらえて、しばらく歩く。

「朝散歩をすると、幸せホルモンのセロトニンが出て精神が安定する」

それが定説なのに、セロトニンらしきものは私の脳にちっとも分泌されてこない。

それでも少し気分がましになってくると、ランニングに切り替えてみた。うつむいてゆっくりゆっくり、足を交互に前へ運ぶ。
それも長くは続かないが、少しでも走れれば上出来だった。

◆◆◆

そんな感じのゆるゆるランニングでも、続けていけばきっと元気になれるはず。無理せず、1日おきぐらいでいいだろう。

そう決めて継続しようとしたが、すぐに挫折。
しばらくして再びトライ。また挫折。

それを繰り返しながら、回復の兆しが見えないまま、日々が過ぎていく。

◆◆◆

そもそも、深刻なうつ状態の時にランニングなんて、どだい無理な話なのである。

当時、時短勤務とはいえ、あの心身状態でよく仕事を続けていられたと思う。というか、ちゃんと仕事をこなせていたといえるかも怪しいところだ。同僚にずいぶん助けてもらいながら、なんとかだましだまし会社で過ごしていた。

そんな中、さらにランニングだなんて。
症状が落ちついている2023年5月現在の私は、当時の私にこう叫びたい。

「それ以上動くな~~!家で寝てなさ~~~い!!!」

何もしないでいるのが最善策だったろうと、今となっては思う。
だが、当時の私はじっとしているとこの世に身の置きどころがないように感じて、怖くて怖くて、そんな状態から逃れようと、体を動かして回復を図ろうとしていた。

◆◆◆

頼みの綱と思っていたランニングもだめならば、何をすればいいのだろうか。

途方に暮れながら、次第に人生が行き詰まっていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?