ミノーシュ・シャフィク著・森内薫訳(2022)『21世紀の社会契約』東洋経済新報社

稀代の経済学者が記す、新時代の世界に求められる社会契約の具体的な中身を示す指南書。パンデミックも一つのきっかけとなり、変わり続ける社会は旧来の社会契約による公共と個人の役割分担の限界を露呈させている。それならば社会契約を作り変えることを私たち契約の当事者はためらうべきではないと説く。

本書で提示されている具体的な処方箋は、幼児教育の充実・健康管理プログラム・育休の取得・平均寿命と連動した定年の変更・生涯学習と再就職の推進・将来世代の政治参加である。こうした議論に触れるたびに思うことだが、どれも真っ当な案であるのだから、政府は取り敢えず実行すればいいのに。「やりゃあいいじゃん」という思いである。

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