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社会科授業を変える!〜学習方法の複線化〜

以前の記事で「変わらない社会科授業①」を以下のように示しました。

教師の説明を聞きながら、黒板に書かれたことをノートに写す。提示された資料から、みんなが同じ情報を読み、そこから分かったことや考えたことを発表し合う。発表を聞き、教師がうまく黒板にまとめる。

なぜ、社会科授業は変わらないのか?

市区町村単位の研究授業や社会科を研究している学校の授業を参観すると、多くがこのパターンです。

社会科を研究していても、私たちが子どもの頃に受けていたような従来の授業スタイルのままであることが多いことに、私は驚きました。

たしかに、附属校や書籍を出している方の実践は、さまざまな改善や提案がなされています。

しかし、それが多くの教員、とりわけ社会科の苦手な教員には届いておらず、社会科好きの一部に止まってしまっているのが現状です。

そうした実践を学ぶか否かは、一人一人の意欲次第。意欲や余裕のある人はどんどん学んで授業を改善し、そうでない人は特に考えることなく従来の授業スタイルを踏襲していきます。

その結果として、社会科授業の多くは変わらないままになっているのだと思います。そこで、大事になってくるのが、教員であれば必ず所属する市区町村単位の研究会です。

社会科の研究会に参加している人がどの学校にもいます。(時々、誰も社会科に所属していない学校もあります)その人たちで力を合わせて社会科授業の在り方をアップデートし、よりよい形で校内へ普及することが緊急の課題だと感じています。

そのため、私は現在、研究会の役員として公開授業の検討や提案に努めています。私が昨年度、提案した一つが「学習方法の複線化」です。これは、従来の授業で当たり前とされていた「教師の説明を聞きながら、黒板に書かれたことをノートに写す」に対する改善です。

教師の説明を聞きながら、黒板に書かれたことをノートに写すことのメリットは、こちらが知ってほしい知識を効率的に伝えられること。教科書に書かれたことを解説したり、豊富な知識を披露したりと教師から子どもに一方的に伝えられます。私が小中高と受けてきた社会科授業は、まさにこれでした。

この授業スタイルでは、問題解決型で子どもが追究・解決していく授業を実現することは難しいと考えます。先生が問いも答えも一方的に示している状態は、今求められている子ども自ら問いをもち、追究・解決していく姿と真逆です。

最近の授業は、個々で調べたり、ペアやグループで交流したりする活動が、かなり見られるようになりました。しかし、導入や授業後半では、教師が説明しながら板書し、それをノートに写す時間が圧倒的に多いです。

まず手をつけるべきは、この単線型の典型である教師の説明に依存する学習方法を脱することです。どういうことかというと、教師からの説明は必要最小限にとどめ、情報収集の方法と情報を整理・分析するための方法は子どもに選択させます。

私の学級では、教科書・資料集をベースとしながら、WEB資料、NHK for school等の動画も活用してよいことにしていました。また、それらから得た情報は、ノートかタブレット端末のどちかで整理・分析するよう年間を通して伝えていました。

ここで大事なのが、「調べる」の解像度を高めて、その手順を子どもに明示することです。

①問いを確認し、予想・仮説をもつ(問いを解決するために必要な情報を集める意識を)

②教科書・資料集をベースにして情報を集める(WEB、NHK for school 動画も)

③集めた情報をノートかタブレット端末で整理・分析する(思考ツールの活用)

④問いに対する答えを文章でまとめる

この4段階を踏むことです。これが以下の「変わらない社会科授業②」に対する一手となります。

教師から与えられたテーマをもとに、教科書やネットから自由に調べる。調べたことをノートにまとめ、発表し合う。発表を聞き、教師が黒板にまとめる。

なぜ、社会科授業は変わらないのか?

「教科書やネットから自由に調べる」といった曖昧さでは、学びの深まる追究・解決にはなりません。「調べる」の解像度を高めて、その手順を明示することが必要です。

このようにして、学習方法が選べるようになり、どのように調べればよいかが明確になると、子どもたちの意欲は一気に高まります。私の学級の子どもたちはあっという間に学びの楽しさを実感するようになりました。

さらに、教師からの一方的な説明では思考停止状態に陥りがちでしたが、子ども自ら追究・解決していくプロセスは子どもたちの思考を活発にします。


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