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ラクロスに必要なフィジカル 1

(最終アップデート日:2023年7月21日)

今回はラクロス選手、特に男子プレーヤー、に必要なフィジカルを書いていければと思います。特に男子プレーヤーと断ったのは、現在自分はラクロス男子日本代表のS&Cコーチであり、女子チームのS&Cコーチではないからです。もちろん今から書くことは女子にも当てはまると思います。が、当てはまらないこともあると思うので、女子ラクロスの方は注意して読んでみてください。ちなみにラクロス関係の方々はご存知だと思いますが、男子代表がやってくれましたね!日本ラクロス初の銅メダルです。あまりにも嬉しすぎるので、三位決定戦のリンクを貼っておきます。笑 (2,022年の出来事です。)

そして、更に2,023年の世界大会でもイングランドを撃破してくれました!!

さて、本題のラクロスで試合に勝つ、特に代表レベルで勝つためにはフィジカルサイドから見ると自分は2つに分けられると思います。

フィジカルフィットネスレベルとリカバリーステータスだと思います。ここではフィットネスレベルを中心に書いていきます。ここでいうフィットネスレベルは国際試合の場合は総当たり戦で連戦があるという背景を元に書きます。リカバリーステータスに関してはまた別の機会に。


フィジカルフィットネスとは?

フィジカルフィットネスの定義

フィジカルフィットネスとはなんぞや?ということになります。これはコンディショニングみたいに和製英語化された意味ではなく、スポーツ科学/健康科学における定義を使います。Charles CB et. al.(2014)ではフィジカルフィットネスは11個の要素がありそれが健康関連要素=6個、スキル関連要素=5個に分けられます。

健康関連:

  1. Cardiovascular Endurance: 心肺機能持久力

  2. Strength /筋力

  3. Muscular Endurance /筋持久力

  4. Flexibility/柔軟性

  5. Body Composition/身体組成

  6. Power/パワー

スキル関連:

  1. Balance /バランス

  2. Coordination/コーディネーション

  3. Speed/スピード

  4. Reaction Time/反応速度

  5. Agility/アジリティ

ラクロスで必要なフィジカルフィットネス

上記がスポーツをする上で必要になってくる一般的なフィジカルフィットネスです。が、代表レベルとなるとここに比重が生まれてきます。いわゆる特化していくと言った方がいいでしょう。で、*ゴーリーを除くフィールドプレーヤーに関してのフィジカルフィットネスの話を進めていくと自分が代表練習でアスレティックトレーナーである秋山さんと話し合った上で大事だと共通認識ができたのは”Repeated Sprintability”、つまり何度も何度も、そしてどの局面、どの時間帯になっても前半も後半も変わらないスプリントが出来る能力です。もちろん前半と後半では疲労度が違いますし、初戦と最終戦の疲労度は一緒ではありません。ですがオンフィートやオフフィートのコンディショニングやウェイト、そしてリカバリーを通して出来るようにします。
(*但し2023年の男子代表はこのスプリント能力の低下はほぼほぼ見られませんでした。)

ラクロスのフィジカルフィットネスを向上させるために

ラクロスに必要なスプリント能力を養うために:フィジカルディマンドを知る

Akiyama K. et al (2019)(はい、先ほどの秋山さんです笑)が2017年6月から2018年3月に行われた3つの国際試合の総走行距離などをGPS(Polar Team Pro; Polar Elec-tro, Kempele, Finland)で調べています。対象となった選手数は合計で50人。アタッカーが11人、ミッドフィールダーが22人、そしてディフェンダーが17人です。1試合の総走行距離としてはアタッカーが4505±1438 (m)、ミッドフィールダーは3028±786(m)、そしてディフェンダーは4239±1093(m)です。1試合のスプリント(時速21.6km/秒速6m以上)の総走行距離としてはアタッカーが121±74(m)、ミッドフィールダーは261±125 (m)、そしてディフェンダーは169±111 (m)です。優位な結果にはなっていませんが、基本的には試合を決定づけるのは基本的にスプリント(交代の早さ、ボールを持ってハーフラインを超えてゴールまで待って行くなど)なのです。日本代表になって国際試合で戦う場合は最低でもこれぐらいは走れないといけません。

(*ちなみに2022年に限っていえばSIXESを戦った選手達や今年の世界大会に出た選手達は練習でこれよりも走ってます。理由は色々ありますので、やみくも走るのはやめておきましょう。)

Akiyama K. et al (2019)より抜粋

ラクロスに必要なスプリント能力を養うために:試合のフォーマットを知る


World GamesやWorld Championshipなどの国際試合は基本的に総当たり戦からトーナメント方式なので連戦です。なので初戦と最終試合までどれだけ質の高いスプリントが出来るのか?が勝利の鍵の一つを握っています。インドアの6人制ではありますがHauer R. et al (2020)ではオーストリア男子代表が8日で7試合する際の走行距離やリカバリーマネージメントをどうしていたかを記しています。8日で7試合ですよ?これはしんどいです。

リカバリーに関しては以下を参考にしてください。(無料と有料があります。)

練習でのオンフィート・オフフィートのコンディショニングをどうしたらいいのか?

和製英語ではなく、本来の意味でのコンディショニングは”試合に使える体力を作る”というのが正解の意味合いに近いと思っています。体力を上げるためにはどうかしたらいいのか?それは走る(On-Feet/オンフィート)か自転車などを漕いだり(Off-Feet/オフフィート)、もしくは走り過ぎている場合は足への極端な負担を避けるために格闘技などの要素を入れたコンバットコンディショニングなどをします。ちなみにコンディショニングのドリルは自分の担当でしたが、ラグビーやサッカーなど他のフィールドスポーツのコンディショニングドリルからアイディアをもらっています。ラクロスだからと言って、必ずしもラクロスに特化する必要は全くありません。もちろん違う部分は違うようにしていいのですが、無理に特化させて迷走している人も色んなスポーツで見てきているので。

オンフィートでのコンディショニングの例

自分が好きなコンディショニングの一つがラグビーのThe Malcomです。

フィールドセットアップはこんな感じ:

Weapon of Metabolic Destruction by Ashley Jonesより抜粋
  1. 腹ばいの状態から立ち上がって10mスプリント

  2. ダウンアップをしてから反対方向に20mスプリント

  3. またダウンアップをしてスタート地点へスプリントを10m 

1−3で1レップ。3セット6レップスを行う。セット間のレストは2分

次は筋力などウェイトトレーニングに関することを紹介します。

では、また

Reference:

  1. Anon, What is physical fitness? Human Kinetics. Available at: https://us.humankinetics.com/blogs/excerpt/what-is-physical-fitness [Accessed July 24, 2022].

  2. Akiyama, K., Sasaki, T. and Mashiko, M., 2019. Elite male lacrosse players’ match activity profile. Journal of sports science & medicine, 18(2), p.290.

  3. Hauer, R., Tessitore, A., Knaus, R. and Tschan, H., 2020. Lacrosse athletes load and recovery monitoring: Comparison between objective and subjective methods. International Journal of Environmental Research and Public Health, 17(9), p.3329.

  4. The World Games. 2022. Lacrosse. [online] Available at: < https://twg2022.com/sports/lacrosse/ > [Accessed 29 April 2022].

  5. World Lacrosse. 2022. Playing Rules | World Lacrosse. [online] Available at: <https://worldlacrosse.sport/sport-development/playing-rules/> [Accessed 29 April 2022]

  6. Jones, A., 2017. Weapons of Metabolic Disruption. [online] Elite FTS. Available at: <https://www.elitefts.com/education/weapons-of-metabolic-disruption/> [Accessed 24 July 2022].

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