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記憶が無くなりゆく父の話と思い出箱を開けてタイムマシーンにのっちゃった2023年のこと


2023年が慌ただしく終わり、なんとか2024年が無事にやってきました。

「なんとか」と書いているのは、生まれて初めて年末に
「今年一年やり直したい!!」って心から思った一年だったのです。
いいことも山ほどあったにも関わらず、特に秋冬がほんと良くなかったなって一年。体調も壊したり大反省会
そんなこと今までなかったので、驚いています。
30代の時は子育てと仕事、毎日お料理の仕事と家庭での料理三昧の日々でした。コロナあたりから過ごし方が大きく変わり40代の後半って、びっくりです。
よく、「育児が終わると介護が始まる・・・」なんて噂を聞いていたけれど、本当にやってくるのだな。という実感の2023年後半。
【タイムマシーンに乗ってしまった体験】を記そうと思います。


2023年は、記憶をどんどん忘れる父との会話がすごくきつかった一年でした。認知症です。日によって、父は短期記憶がおかしくなり、最初はここ数日、数ヶ月を覚えていない。そんな具合から始まり、とにかく昔の話を昨日のことのようにするという現象の父と過ごしていました。

タイムマシーンって、本当にあるのかもしれないぞ。私は少しそんな風に思ったくらいでした。

ちなみに丁度一年前の1月頃、父は体も足も頭もまだギリギリ元気だったのです。足の具合が良くないと言いながらも、自宅で母と一緒にのんびり暮らしていました。それが、2023年の5月から父の手術や入院、リハビリ入院からの、続く要介護3の生活。

近所の病院にて、入院中の父から「今旅先の韓国でちょっと入院することになってしまって、どうしたらいいかな?」と連絡があって
「え?お父さん旅先ってなに?そこ日本だよ?!」なんて具合。
母はお手上げ。
父の短期記憶は日々頼りなくなってきて、最近生まれた孫の記憶もなくなり、弟が「息子が生まれたよ」と伝えるたびに、まるで初めて知ったように驚いて、そしてちゃんと毎回の感動して喜ぶので「めでたいなぁ」という具合です。

私の結婚とかって18年前だし、流石に古い記憶だろうし覚えているだろうと思いきや、
「え?あっちゃん?結婚したの?」とこれまたちゃんと喜び「子育てしてるの?え?3人も? それは偉いね」なんて言うんです。
「・・・うそでしょ?」って程に驚く日も出てきました。

めちゃくちゃ複雑。(だってもう長男は17歳)なんとなく、ネガティブモードになった日には、「必死で頑張ってきた私の30代40代がすっかりないみたいな感じ」って拗ねちゃう程です。

みなさん、認知症とどう関わっていらっしゃるのだろう。まだまだ私は初心者で翻弄されています。

父との会話に慣れていくと、時々一体今は何年?私は何歳?とわけわからなくなる錯覚に襲われます。それがまさにタイムマシーンに乗った感覚というわけです。

父は、不思議と昔のことはすごく覚えていて、「忘れる」と「覚えている」って脳の仕組みはどうなっているのかな?って不思議です。
そんな風にタイムマシーンに乗っている感覚でいると、私の日常も不思議とリンクすることがあるのも不思議。
私も、父がよく話す1990年代後半の世界へタイムマシーンで行ったしまったみたいな日々。

昔々、よく通った打出駅周辺を歩く機会が増えたり(娘の高校のPTAで)
新しく来た留学生が高校生?の時に流行ったCKoneの香水を付けていて懐かしい匂いで驚いたり。
高校卒業の時に訪れたシアトル旅のチューリップ畑のカレンダーを留学生のママさんからもらって眺める時間が訪れたり。という具合です。

すっかり懐かい引き出しを開けて、隅々の記憶が鮮明に思い出されるような不思議な秋を過ごしました。同じタイミングでその頃行ったお店の美味しかったわらび餅の写真をもらって、その時の時間と会話とか空気とかを鮮明に思い出しててタイムマシーンですっかり過去旅をしていました。

桜林直子さんの娘さんの日記の言葉を引用させて書かせていただくと、
「懐かしい思い出を思い出したら、息が苦しくなるくらい夢中で思い出の記憶の海の深いところに行けるけれど、深く行くと息が続かない感じ。潜りすぎると楽しくて、興奮して帰って来れなくなっちゃって。楽しすぎて。」
という具合です。

今は私は子どもの保護者であり、父の用事や子どもの用事。何かとあちこちマーチです。
30年前のその時代の呑気で守られてた子ども時代。
信用して、信頼して、高校生、大学生の日々楽しくてハートがいっぱい!音符いっぱい🎵みたいな時間を過ごしていたことを思い出したら、懐かしくって懐かしくって。

それでいて私の思い出は私だけが覚えていると勝手に思っていたのに、一緒に過ごした時の思い出を共有できたりしたら、さらそれがすごく特別嬉しく感じました。
思い出の深いところからあがる時には酸欠になっちゃっていて、急に言葉にできない悲しみがすごい勢いでやってきて、なんだなんだ??ってややこしすぎた秋冬でした。。
過去の握力って恐ろしくすごいもの。その時の匂いとか感情も思い出すんです。

愛しくて最高なものだけじゃなくて、なんかこうトラウマ棚みたいなものから色々出てきて、感情もその時のまんま感じる不思議。
「え?昨日のことですか?」くらいに「まるで昨日起こった出来事のように悲しみ怒る私」という意味不明な醜態をさらし、情緒大丈夫?という具合でした。思い出しすぎて、具合を悪くするという滑稽な時間を過ごしていました。

【幼少期の五感で感じた「感情」「感覚」が大人になった時の自分を救ってくれる】という言葉が好きなのですが、今回は真逆。

というわけで、2023年は、父の記憶の遡りとともに、私まで昔のことを引っ張り出して楽しんだり、再度怒ったり悲しんだり今まで味わったことがないほど、現在をちゃんと生きてなかった・・・今年一年をやり直したいと思った年でした。
でも、2024年はちゃんとやってきて、新しい一年が始まりました。

今年は自分の気持ちを無視しないで、上手く距離をとりながら無理をせず大事に過ごしていく一年にしようと思います。

タイムマシーンに乗って、大学時代に私のお菓子の先生が教えてくださったことも沢山思い出しました。
お料理やお菓子を作ることってとにかく楽しくて、作ったものを食べてもらえるのは幸せで、喜んでもらえると更にすごく嬉しかった気持ちなんかも鮮明に思い出しました。だから自宅教室の先生になることを憧れて教室をしたいと思ったことも。おいしい食べ物って幸せな気持ちになるんです。そうそう。
挫けないで、やさぐれないで過ごしていきたいです。

大好きなpodcastに過去の握力半端ないというフレーズがありましたが、いやいや、本当です。自分の問題。その時の気持ちはきちんと自分でお炊き上げしないといけないなって思って棚卸しの40代後半です。
今年年末は、やり直したい!なんて思いませんように!

末っ子の好きなチョコレートケーキ


cocokitchenの自宅料理教室 コロナで辞めようかと思ったりしましたが、細く復活しています。
今までより少人数で、対話を大事に過ごしたいと思っています。
興味持ってくださった方ぜひ!

オンライン料理教室や 子どもたちが何を作りたいか会議をしてからメニューを決める教室もしています。
言葉にして相手に伝えるって大事!とリトミックの先生と一緒に取り組んでいます。



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