古今中国

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こんにちは!「古今中国」の編集長です。 目に飛んでくる中国経済・企業・ベンチャーに関するニュースをより正しく理解するために、そしてより理性的な意見を作るために、中国に関するリテラシーを面白く、分かりやすく提供したいと思います。

最近の記事

Tencentを辞めた人はAAAゲームを目指している

今年8月頭に、一つのビデオゲームのデモ動画は中国インターネットを騒がせました。それは西遊記を背景にした「Black Myth: Wukong(黑神话:悟空)」というコンソールゲームのデモ映像です。 動画共有サイトBilibiliでアップされてからわずか1日で700万人の閲覧数が達成し、一時期6万以上の人は同時にその動画を見ていました。コメント欄には多くの人の絶賛の声や、「出たらすぐ買う」といったコメントが残されています。中国人ゲームユーザーが中国産の高品質コンソールゲームに

    • 20年にわたる友情:孫正義とAlibabaのジャック・マー

      2020年6月25日に、ある20年も続いた日本と中国の伝説的創業者二人のビジネスパートナーシップの幕が降りました。その日に、ソフトバンクの創業者の孫正義氏(以下、孫氏)とアリババの創業者のジャック・マー氏(以下、マー氏)は、お互いの会社の取締役を退任しました。 2000年にソフトバンクが設立されたばかりのアリババに投資してから、ソフトバンクとアリババの関係、そして孫氏とマー氏の関係はいくつのステージを歩んできました。今回の記事では、「孫マー同盟」を4つのステージに分けて、紹

      • コカコーラより時価総額が高い中国白酒メーカー「茅台酒」の成功秘訣とは

        2019年9月のある日に、上海のCostco一号店が開業しました。数千人の長蛇の列ができ、店のドアが開いた瞬間、店内になだれ込み、人気商品を奪い合いました。多くの人気商品の中でも特に人気が集まったのは「飛天牌 貴州茅台酒」(以下:茅台酒)です。茅台酒は、広東省の少し北西にある、中国で最も貧しい省の一つとして知られる貴州省の茅台鎮で作られる白酒(中国発祥の蒸留酒)です。アルコール度数53で、中国ダントツナンバーワンの白酒ブランドとして名を轟かせています。一瓶(500ml) 14

        • アジア最大の同性愛者向けのSNSを作った元中国人警察官

          今年の6月16日に、男性同性愛者コミュニティアプリのBluedを運営しているBlueCityという中国企業はアメリカ証券取引委員会に新規上場申請書を提出しました。Bluedはどういうアプリかというと、「男性同性愛者に特化したLINE+ライブ配信機能」と考えればイメージが掴めると思います。現在、210カ国4900万人の登録ユーザーを保有しています。月間アクティブユーザー(MAU)の600万人のうち、半分ぐらいは中国以外の地域からのユーザーです。2019年の売上は約115億円で、

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          世界ゲーム業界の「闇将軍」 Tencent Gamesが投資した会社たち

          中国大手IT企業のテンセントは(以下、Tencent)は世界最大規模のゲーム会社として知られています。2019年の決算資料を見ると、ゲーム関連の売上は約1.8兆円もありました。それを聞いて驚く人もたくさんいると思います。なぜかというと、任天堂やソニーと違って、Tencentのゲームは中国国外の存在感が薄いと感じられているからです。確かに、Tencentの自社開発ゲームはアメリカや日本ではあまり発売されていないのは事実です。しかし、海外ゲーム領域において、Tencentの大きな

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          中国企業なのに、会長がアメリカ人?! 中国インターネット企業のトップ人事の話

          先週、世界の若者の間で一世を風靡しているスマホアプリTikTokの開発会社、中国インターネット企業のByteDanceは、世間を驚かせる人事発表をしました。The Walt Disney Company(以下Disney)の動画配信事業の責任者を務めたKevin Mayer氏をByteDanceのCOO兼TikTokのCEOとして任命したという発表でした。 急成長している中国インターネット企業がアメリカ人を会社のナンバーツーにさせることは、確かに一見すると異常に見えます。し

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          ラーメンはどう生まれたか? 日本における中華料理の歴史を辿る

          中華料理は日本でもよく食べられる料理の一つになっています。麻婆豆腐や春巻はすでに日本の食卓でよく見かけられるものになっています。同時に、寿司や天ぷらに代表される和食の店も中国で人気を集めています。地理的にも、文化的にも近いので、日本と中国は「食」という軸でお互いに絶えずに影響を与え合っています。今日本の中華料理は、中国にはない素材を利用し、日本人の職人が魂を込めて、中国本土に勝るとも劣らない味を演出しており、ある意味、独自の料理の一つになりつつあります。実は、私は中華料理とい

          ラーメンはどう生まれたか? 日本における中華料理の歴史を辿る

          三国志の舞台 武漢の歴史を辿る

          最近、中国湖北省の武漢市は、新型コロナウィルスが最初に流行した地域として世界的に知名度が上がってきました。日本において、「武漢」という単語は三国志や孫文が率いた革命などの歴史イベントで登場したりするので、少し聞き覚えがあるかと思われます。今回の記事では、その1000万人もいる都市のことをより知るために、歴史という軸で武漢を紹介したいと思います。 古代中国における武漢北京の南、広州の北、成都の東、上海の西にある武漢は、ある意味、中国の真ん中にあります。長江沿岸でもあり、昔から

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          中国一調味料の創業者「老干媽」

          中国人に「中国で最も有名な調味料は何?」と聞いたら、出てくる答えは「老干妈(日本語名:老干媽、発音:ラオガンマー)」というブランドになる可能性が非常に高いと思います。ラー油に豆チ(黒大豆を発酵させたもの)などの具を加えて作られる独特な風味を持つ、一回食べたらクセになる辛い調味料です。麻婆豆腐や炒飯にはもちろん、餃子のタレにも、麺のスープにも、幅広いシーンで使われます。実は、私は忙しい時に、「老干媽」を大さじ一杯ほど白いご飯に乗せ、それだけを食べる時もあります。健康的ではな

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          Huawei(ファーウェイ)創業者任正非さんの生い立ち

          以前もHuaweiという中国の代表的なIT企業を紹介する記事を書きました。様々な面で注目を浴びている企業ですが、創業者兼CEOの任正非さん(以下、任さん)は未だに得体が知らない男という印象が強いです。業界の人に聞いても、任さんについてあげられるのは恐らく次の2点しかないと思います。任さんが元軍人であることと、HuaweiのCFOを務めた娘がカナダで逮捕されたことです。今回の記事は、特に任さんの生い立ちと創業経験(2005年まで)について紹介したいと思います。 生まれからファ

          Huawei(ファーウェイ)創業者任正非さんの生い立ち

          中国のインスタントラーメン市場がV字回復した理由

          最近、我が家のインスタントラーメンの消費が増えています。外出を自粛しており、できるだけ自炊したいと思いますが、手間がかかるし、作る料理が思いつかない時もあります。そういう時に、インスタントラーメンはたぐいまれな食品になります。実は、健康によくないことが十分分かっているにも関わらず、時々どうしても辛くて熱々で旨み満点のインスタントラーメンを食べたくなります。 最近、NetEase Newsで中国のインスタントラーメンに関する面白い記事を読みました。近年起きているインスタントラ

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          中国の医療制度が直面している課題

          最近、新型コロナウイルスを発端に、中国の病院の動画や写真がメデイアでよく見られるようになっています。私がそれを見て思い浮かべたのは、中国にはどのような医療制度があるか、病気になって病院に行かなければいけないなら、誰が費用を負担するかという疑問です。特に医療費用を負担できない人たちはどうするのかということです。今回の記事は、中国の医療制度について述べたいと思います。 まず、中国にはユニバーサルヘルスケアがあるのでしょうか。世界保険機構(WHO)の定義によれば、ユニバーサルヘル

          中国の医療制度が直面している課題

          中国の販促ライブストリーミングについて

          アリババの創業者のJack Maは、主にビジネスマンとして知られています。しかし、2018年11月11日、すなわちアリババが開催した世界最大規模の販促イベントの日に、そのJack Maは経営者の服を抜ぎ、スマホのカメラの前に座り、アリババ自社のライブ配信アプリをONしに、「販促ライブストリーマー」に変身しました。それだけではなく、隣に座っている中国ナンバーワン販促ライブストリーマーとして知られているLi Jiaqiと対決しました。どちらがストーリーミング時間中により多くの口紅

          中国の販促ライブストリーミングについて

          「合食」文化について考えること: 中華料理を人数分で分けるべきか

          「食べ方という面で考えたら、中華料理は日本料理や西洋料理とはどう違うか」と聞かれたら、どう答えるでしょうか。色々なイメージが浮かんでくると思いますが、その中の一つは「どのようなお皿に分けるか」ということではないでしょうか。日本料理や西洋料理の場合、基本的に、料理を人数分に分けて、自分の分の料理だけ自分の目の前に置かれるという分け方です。例えば、一人に一皿のステーキ。中華料理の場合、基本的に、一つの大きめのお皿に全員分の料理が載せられています。その料理を食べたい人は、大きめのお

          「合食」文化について考えること: 中華料理を人数分で分けるべきか

          Bilibiliがどうやって「中国のYouTube」になったか

          Bilibili(ビリビリ)という中国発の動画プラットフォームはご存知でしょうか。2020年年初の時点で、時価総額約8000億円、月間ユーザー数約1.3億人の中国最大規模の動画プラットフォームの一つになっています。 2009に発足したBilibiliは、最初、「中国のニコニコ」と言われていました。アニメや漫画コンテンツに特化し、さらに「弾幕機能」も備え、中国の若者を中心に人気が広まりました。しかし、近年、徐々に大衆的な動画プラットフォームになりつつあります。2019年の大晦

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          中国火鍋市場の最新トレンド

          火鍋は日本で最も人気がある中華料理の一つでしょう。大きめの鍋の中に香辛料たっぷりのスープを注いだ後、火を付けっぱなしにし、食材をスープに入れて、数分間煮た後に、熱々のうちに少しタレをつけて口に運びます。ある意味、しゃぶしゃぶとお鍋の間のイメージです。特に寒い冬の日に、数人の友達と一緒に、テーブルを囲んで火鍋を楽しむのは至福の時間に間違いありません。 最近、中国の経済メディアの「36KR」は中国の火鍋市場に関する調査レポートを発表しました。とても興味深いので、今回の記事では、

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