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運転手に「水飲むな」という苦情はなぜおきる? – こころの視点からのニュース解説

連日の猛暑で熱中症をめぐる報道も多いですね。
「運転手さんが乗客の目が気になって水分補給をしにくい」という朝日新聞記事についての鴻上尚史さんのツイートが目にとまりました。今日は「こころ」の視点からこのニュースを取り上げてみたいと思います。

さて、私が最も興味を持ったのは、記事そのものではなく、鴻上さんの発言そのものです。こちらですね。

しかし、運転手さんが水飲んでるって苦情を言う人ってのは、どういうメンタリティなんだろうなあ

さあ、どういうメンタリティなんでしょう。
わたしが思いついたのは、次の2つの理由でした。

1. 水分補給が「命を守ること」に見えていない。

「運転手が(運転中に)水分補給する」のは運転手の心身の安全、ひいては乗客の安全を確保するためです。
それに「苦情」をいうのは、そのことがわかっていないか、わかっていてもどうにも許しがたいからでしょう。

たとえば、運転席でペットボトルのドリンクを飲んでいる姿が、「安全のための水分補給」ではなく「運転に集中していない」ように見えたら、苦情につながるでしょう。

また、「さぼっている」ように見えると言うこともあるかもしれません。

記事のイラストでは「水を飲む」「窓をあける」が熱中症対策として推奨されているとありますが、それを知らない人も多いでしょうね。

飲み物を飲む行為は、「休憩」に見えることも多いもの。

人は自分の尺度でしかものを見ることができませんから、なかなか考えが及ばないこともあります。

2. 苦情を言いたくなるくらいの生きづらさを抱えている

もう1つの理由は、
苦情を言った乗客が何らかの事情で慢性的にストレスが高くて生きづらい状態だということです。

たとえ
運転手がさぼってるように見えてたとしても、こころに多少のゆとりがあれば
「この暑さだものね、わかるよ」
「水飲んで安全運転してほしいよね」といった理解や共感が自然と生まれるでしょう。

それだけ、こころに余裕がなくて、視野が狭くなっているということ。

余裕を失う直接の原因が鉄道や運転手にあるわけではないこともあります。
わかりやすい言い方をすれば、水を飲んでいた運転手がたまたま八つ当たりの矛先になったということもあるでしょう。

ほんとの仕事、「安全運転」に立ち戻れるように

運転士さんの本来の業務は「安全運転」です。
この本来の業務ができることが、企業の信用にも繋がります。

記事の見出しのイラストから、安全運転のための暑さ対策は「水分補給」「窓を開ける」と既にいくらか対応していることがわかりますね。

ただもし暑さ対策への苦情が実際に多く寄せられているのだとしたら
運転士が「暑さ対策」を気兼ねなくできて本来の安全運転に集中できるよう、企業は「暑さ対策」(など)の啓蒙など乗客との信頼関係を築いていく必要があります。

 --- 🍀 ---

また「乗客の目」がきになる運転士さんたちのメンタルの状態も気になるところ。

案外と、心の中にある「乗客像」に自分が縛られているだけということも多いからです。

また実際に乗客とトラブルがあったり、
乗客とのトラブルに端を発して仕事やプライベートでつらい経験があったり
そのほかの事情で仕事に対するプレッシャーが強ければ
運転士も乗客対応について神経質になるかもしれません。

そんなときは、運転士のこころのケア、メンタルサポートも必要になるでしょう。
「休む」まえに「円滑に仕事を進められるように」するためのメンタルサポートです。

運転士さんたちは、わたしたちの命をあずかって列車を走らせてくれています。
そんな、命を預かる人たちに、こころのケアを。
わたしたちの命のためにも。

そしていつも「乗客」になっているみなさんも
電車の運行に、怒りを感じることがあったら、どうぞ一回深呼吸。
溜まったストレス、ふぅうううっと、息抜きしましょう。

特に暑いとね、イライラしがちですから。

今日も読んでくださってありがとうございます。
自分にやさしくお過ごしください。


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