【読書】 リバース 湊かなえ
先日の記事で「告白」については書きましたが、その勢いのまま図書館で湊かなえ作品を借りてみました。今回はその「リバース」の読書感想文です。
あらすじ
感想
図書館で借りる際、著者の作品は4冊ありました。少し悩んでいたのですが、この「リバース」をパラパラっとめくった時に、”コーヒー”の文字が何回か見えたので無事に「リバース」は予選通過、本戦出場になりました。
さて、そんなこんなで読んでみましたが、ミステリーとしての難しさというか、重さというか(ミステリー素人なので適切な表現が分かんない😭)は割と軽めで、「告白」の半分くらいの衝撃・読後感でした。
それよりも、深瀬のコーヒーに感じた幸せや、人間関係においての苦悩に共感し感情移入することが多く、やはり湊かなえ先生は複雑な人間の心理を詳細に正確に描写するのが上手なんだと感嘆しました。
私自身も「どうせ自分なんかいない方がいい」だとか「相手に迷惑なんじゃないか」とか考えてしまうことが多く、親友だと思いたいけど相手は違ったらどうしようと勝手に落ち込み自分から連絡できないという状況になることがあります。それに加えて、深瀬に似ているなあと感じたのは責任に関してです。
ある友人が事故で亡くなってしまった日。様々な状況が重なり合い、誰もが望まない結果が招かれてしまったのですが、その時も深瀬は自分がこうしていれば良かったんだと自分を責めつつも、「あいつがこうしていれば」と他の因子に原因を追究するような考えを引き合いに出し、あたかも責任が元々なかったかのように振る舞うのです。ただ、意図的な事件などでなければ本来責められるべき人は存在しないと思います。そこにどうしても責任を生じさせて悲しみや罪悪感から逃れたいのではないのかなと思いました。
改めて第三者視点で見てみると、全く合理的ではない思考だなあと身につまされる思いです。
読み始めは友人との間に隠された謎を解き明かしていく物語だと思っていましたが、実は自分自身の人間性や見えていなかった親しい人物の本当の姿が謎であり原因であるというのが分かっていくにつれて、カタルシスとともに私の経験にもグサリと刺さりました。
おまけ コーヒーについて
コーヒーオタクの私が読んでしまったばっかりに、コーヒーに関する記述がど〜しても気になってしまったのでここで供養します(決して批判する意図はなく、あくまでコーヒーに対する解釈の違いが大きいと個人的に判断したものです。)
深瀬が常連として通うようになったコーヒー屋ですが、夫婦二人で営んでいて、たくさんの生産地のコーヒーが置いてあるようです。ここまではよくある話ですが、このマスターである旦那さんの行動力と経済力がすごいんです。というのも、お店で取り扱っているコーヒーの生産地に自ら足を運んで買い付けているそうです。しかも何ヶ国もです。
もちろん街のコーヒー屋さんで直接買い付けに行く方は多いですが、店舗で扱っている全ての豆が買い付けたものであることは珍しいかと思います。流通量が安定している豆は商社から買ったり、品評会などで良い成績を残した農園のコーヒーなどはオークションで落札したりといくつかの方法で入手している印象があります。
抽出について。
そしてこのお店ではどうやらエスプレッソで提供することが多いようです。深瀬がエスプレッソショットやそれをお湯で割ったアメリカーノでコーヒーを楽しんでいる描写がありました。日本のコーヒー屋、喫茶店などではドリッパー(抽出器具)に紙のフィルターをセットして抽出するいわゆるドリップコーヒーが多いと思います。なので少し珍しいなあと思いました。しかも、豆を挽く時に手動のグラインダーを使っていたので驚きです(めっちゃ疲れそう!)
大きく気になった点をピックアップしてみましたが、こうやって自分の馴染みのある分野に触れたときに疑問や違和感が浮かんでくることは多いですが、全く知識のない分野が出てきたときに想像が難しかったり、スムーズに話を飲み込めなかったりすると悔しいし、もっといろいろ学びたいなあと思ったりもします。その積み重ねでより多くの作品を楽しめるようになるのが大きな目標だったりもします。
ただ弊害として、ストーリーよりも細かい描写が気になって集中できないという病が発症するのでほどほどに。
紹介した本
湊かなえ『告白』の記事
今日は少し投稿が滞ってましたが、旅に出て読むことができた本の感想を書いてみました。
普段は、今回のようなゆるい読書感想文に加えて、映画や日頃の考え事について記事を書いてますのでよければ覗いていって下さい☺️
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