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ここにいる人たち、みんなが好きなんだね【映画けいおん!】

2011年12月3日、朝一番の回。訪れたのは新百合ヶ丘にあるイオンシネマだった。

当時大学生の私にとって、新百合ヶ丘のイオンシネマはたまのご褒美にひとりで訪れる場所。友達と行く映画は、もっぱら新宿ピカデリーだったけど、1人で行くならしんゆりだった。

考えてみれば、私はオタクに向いていないオタクである。毎週決まった時間に何かをするというのがとにもかくにも苦手だし、サーバーが繋がりづらいなんて出たら「んじゃあ、いいですわ」って、すっと幕を引く。小学5年生からアイドルなどを応援してはいるが、こんな自堕落でよくもオタクを名乗っているなと思う。

そんな私が公開初日、朝イチの回で行くほど肩入れしていたのが映画『けいおん!』だ。

例にも漏れず、アニメもリアタイしていたわけではない。バイト優先だったので、録画してまとめてみるのがデフォだった。

ただ、なんでか知らないけど『けいおん!』の映画だけは公開初日に絶対行きたいと思っていた。相当ハマっていたというのもあるけれど、グッズを買うほどではないし、うーん、今となってはなぜ事前に手帳に書いて、絶対行くぞ!!と意気込んでまで初日の初回ひ行ったのか思い出せない。

しかも当時私には『けいおん!』好きな仲間、大学の同級生がいたのだが、一緒に行ったのも、映画の感想を語り合ったのも公開から1ヶ月をすぎたころ。初日は、寝起きのまま、1人で乗り込んだと記憶している。

いざ会場に着くと、周りは友達同士で来たと思われる人たちばかりだった。女性単身で乗り込んでいるのは私くらいなんじゃないかってくらい。

でも、映画が始まってからはそんなことどうでもよかった。静かな劇場でみんながおんなじところで笑い、たまに「かわいい……」などという心の声が漏れ出ている人もいて。かと思えば、終盤にかけて、私を含めた多くの人が涙を啜っていた。そんな音を聞いて「あ、この空間にいる人みんな、けいおん!が好きなんだな」と思うとすごく嬉しい気持ちになった。

この日以来、1人で映画館に行くのがすごく好きになった。感想を無理に言語化しなくても、好きを共有できるってなんて素敵なんだろうって。

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