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【帰ってきたラーニングバー2023】 に参加してきました!

経営学習研究所主催の【帰ってきたラーニングバー2023】に参加してきました。

ラーニングバーとは、「共に食べたり飲んだりしながら、リラックスした雰囲気の中で、真剣な議論や学びが交わされる場」だそうです。

今回のラーニングバーのテーマは、「経営に貢献する『組織開発』の実践!株式会社デンソーの取り組みに学ぶ!」というもの。デンソーさんで実際に組織開発に取り組まれているお二方のご講演や、参加者同士の対話を通して、組織開発への学びを深めました。


ラーニングバーの流れ

一日の流れはこのような感じです。

①中原先生からラーニングバーについての説明
②株式会社デンソーの組織開発の取り組みについてお二方からご講演
・総務人事本部 執行幹部 原雄介さん
・事部人財・組織開発室 キャリアエキスパート 中川浩人さん
③お二方への質疑応答
④中原淳先生のラップアップ

ご講演のあとに近くの人と講演内容について対話する時間があったり、講演の前後に飲食をしながら参加者同士で自由に話せる時間があったりなど、対話の時間が多く設けられていたのが印象的でした。ただ聞いて終わりのイベントにならないように「聞く、考える、対話する、気づく」のプロセスを重視した仕掛けになっており、充実した学びの時間を過ごすことができたと感じています。

原雄介さんのご講演 「経営と全社」

原雄介さんは「経営と全社」という観点でデンソーさんの組織開発についてお話しされていました。原さんのお話で印象的だったことは「トップの本気度」です。

デンソーさんは、自動車産業界の大変革や品質問題などをきっかけに、組織を変えるべく組織開発へと踏み切りました。組織開発をはじめた初期のころ、まず最初の取り組みとして「変革の日」というイベントを行いました。「変革の日」とは、全社員が仕事を一日止めて、組織が抱える課題について話し合うイベントです。わたしは、この「全社員」というのが社長から新入社員まで、ほんとうに全社員を示しているということに驚きました。仕事を一日止めることは、そうかんたんにできることではないはずです。全社員の本気さが伝わってきました。

そして、たとえ耳の痛い意見であっても、社長や上役などが若手社員の声に耳を傾け、そこで出た意見をトップが真剣に検討し、決断し、実行したそうです。トップが本気で変わろうとしてくれるからこそ、現場で働く社員にもそれが伝わり、「トップがそこまでやってくれるなら」と力を貸したくなるのではないでしょうか。トップだけの責任するわけでも、現場だけの問題にするわけでもなく、全員で組織を変えていこうというデンソーの本気の組織開発に感銘を受けました。

中川浩人さんのご講演 「現場実践」

中川浩人さんは、「現場実践」という視点で、実際に現場ではどのような取り組みをされてきたのかをお話しされていました。中川さんのお話で印象的だったことは、「泥吐き」「本音のプレゼント」です。

デンソーさんは組織開発に取り組むにあたって、「AI :アプリシエイティブ・インクアイアリー」の手法を使ったそうです。「AI :アプリシエイティブ・インクアイアリー」とは、「メンバー全員が各自の強みを語り合い、自分と組織の未来を明るく対比する」手法です(『組織開発の探究』ダイヤモンド社 より引用)。

しかし、中川さんは「いきなりポジティブに考えることはむずかしいだろう」と考え、まずは、不平不満などの本音を吐き出す「泥吐き」を行ったそうです。ネガティブな本音をすべて吐き切ることで、ポジティブな思考に切り替えることができ、いい未来づくりにつながります。

そして、わたしが興味深いと感じたのは、中川さんがその「泥吐き」を「本音のプレゼント」と言い換えていたことです。デンソーさんでは、上司に対する感謝のメッセージと本音を紙に書いてきれいにラッピングし、本人に渡すという取り組みをされたそうです。
人材開発・組織開発は、暗に「あなた(の職場)は悪い状態なので、変わってください」のようなメッセージを与えてしまい、社員が前向きになってくれない場合もあるかと思います。組織開発では、いかにポジティブな言葉に言い換えて、組織開発にポジティブな印象を持ってもらうかが大切だと感じました。

勇気を出して質問!

ご講演のあとに質疑応答の時間がありました。僭越ながら、わたしも一つ質問をさせていただきました。(とても緊張して、顔は真っ赤、マイクを持つ手は汗でびっしょり、足はガクガク震えていました・・・笑)
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〈質問したこと〉

わたしみたいな新入社員や若手社員だと、なかなか上司に本音で話すことはむずかしい場合がある。若手社員が安心して意見を言える対話の場をどのようにデザインされているのか。

〈いただいたご回答〉

「定期的に『よりそいトーク』という上司と部下の1on1の機会を全社的な施策として導入している。しかし、1on1といっても、その場では、上司は聞く側に徹するようにしてもらっている。若手社員が話せる環境を上司がつくってあげて、そこで若手社員の意見を聞いている」

「先日、ちょうど新入社員が集まって座談会をしたときがあった。1人の新入社員が本音をカミングアウトしてくれた。カミングアウトしてくれた本人もすばらしいが、その本音に共感し、受け入れているまわりの空気感もよかった。そういう雰囲気を今後つくっていきたい」
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立場も年齢も関係なく「本音で話す」というのは、かんたんにできることではありません。しかし、デンソーさんではそれを実現されている。そこにはさまざまな工夫が仕組まれているのではないかと思います。「いい対話」をデザインするためのヒントを得ることができました。今後に活かします! 原さん、中川さん、お答えいただきありがとうございました。

そして、ラーニングバーが終わった後に、参加者の方が何人か声をかけてくださいました。

「あの場で勇気を出して質問する姿に、感銘を受けました。森さんにしか質問できないような新入社員ならではの質問で、大変興味深かったです」
「新入社員だったんだね〜。そんなふうには見えないくらい立派でした!」
「もっともっと知りたい・学びたいっていう思いが伝わってきました」

とてもうれしいお言葉をかけていただき、勇気を出して手をあげてよかったなと思います。

参加して感じたこと

組織開発に関する書籍を読んでいると、「これって、ほんとうにこんなうまく実践できるものなのかな」なんて思ってしまうことがあります。しかし、それをほんとうに実践されているのがデンソーさんです。その過程にはさまざまな困難があり、すべてが一筋縄でうまく進んだわけではないとお二方もおっしゃっていましたが、みんなで組織開発を学び、悩みながらもアカデミックな手法のあの手この手を使って、見事、組織の変革に成功されている姿に感動を覚えました。

そして、講演内容はもちろん大きな学びだったと感じていますが、それ以外にもたくさんの学びがありました。

人材開発・組織開発の分野で活躍する方々との対話に必死についていったこと、最後の質疑応答の時間に勇気を出して手をあげ、注目を浴びる中で顔を真っ赤にしながら質問をしたこと、帰りの新幹線で「もっと知識もスキルも経験も身につけて、みなさんと同じ景色を見ながら話せるようになりたいな」と反省をしたこと。

このラーニングバーで経験したことのすべてが、わたしにとっては価値のある学びになりました。

ラーニングバーで知り合ったみなさんと、いつか一緒にお仕事をしたり、一緒にラーニングバーを開くことがわたしの目標です。来たるその日に向けて、ますます学びに励んでいきたいと思います!

主催の経営学習研究所のみなさま、ご登壇された中原先生、原さん、中川さん、共催・協賛企業のみなさま、運営スタッフの学生のみなさま、ほんとうにありがとうございました。

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