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丹色をならべた朝の裾野

朝が来ることは呪いじゃないんだってこと、初めて知ったんだ。
髪の毛一つですら優しいあなたを困らせたくないんだ。それだけなんだ、空っぽなあたしの中

大好きなの。笑っていて欲しい。

自分でも笑ってしまうくらい何も知らないあなたのことを笑顔だけで好いてしまったのだ、声だけで胸が鳴った、ふくらはぎのかたちが愛しいと思ってしまった。

何も知らないくせに綺麗だと言って、大好きだというわたしのことを馬鹿にして欲しいのに、丁寧な声がわたしを丹念に傷つけていくだけだ。

あかるく取り繕えないほどの傷になってしまったよ、とぼんやり告げる。
パンケーキも食べて思ったより甘くなかったことにじんわりかなしくなって、それから遅れて自分が今すごく弱々しくて甘さを求めているんだってことに気がついたよ。

今これを読んでくださっている人に、空を見て胸が締め付けられたことがあるといい。秋に吹く風が腕にふれ、体に染み、巻き上がった時に感じた既視感を波のひた寄せるようにときどき覚えてしまう人だといい。

もしすきじゃなくなったらさ わたしはどんな顔で空を見るのかな?
すきな子のことが、からだめいっぱい好きで、今はもうそれだけしか考えたくないけれど、子供じゃないから砂のかたまりを崩した後の未来のことも頭に想像してしまうんだよ、それでも、好きですよ。あたしの一番をかけて。ちっぽけななんの価値もない一番だとは言いたくないから、振り返った道に散りばめられた星屑をかがんで拾いながらとりあえず歩いていきたいとおもいます。
すきなこが明日もあんな顔で、あたしを好きにさせてくれた顔で、そんなふうにわらって。そしたら、それでいいよ。

嫌いにならないでいいよと言って欲しい。だれかに。

日々に疲れてしまうあなたのために、日の光を何時間も浴びた若草の匂いのすっとするような、ハチミツをかけたベーグルを食べていたいよ。この世の全てのつかれちゃった人のために明日があるならいいのにな。ね。

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